製作年:2004年 製作国:ドイツ
上映時間:110分 原題:「HAI-ALARM AUF MALLORCA/ SHARK ATTACK:TERROR IN THE MEDITTERRANEAN /SHARK ATTACK IN THE MEDITERRANEAN」
監督:ヨルゴ・パパヴァッシュリー
製作:ヘルマン・ヨーハ
出演:ラルフ・モーラ—/ユリア・スティンスホフ/カーステン・スぺングマン/オトフリート・フィッシャー/カティ・カレンバウアー/ジャネット・ビーダーマン
【あらすじ】
スペインのマヨルカ島で、ヘリコプターの操縦士を営む男スヴェン。彼には最愛の妻をサメの襲撃で失った過去があった。その事件がもとで、一人娘のマーヤともすれ違う毎日。
そんなある日、スヴェンは海洋生物学者の女性ベネットと知り合う。スヴェンは彼女との交流により、再び活気のある生活を取り戻す。
しかし、島では住民が謎の生物に喰い殺される事件が多発する。事件現場に残された巨大な歯が、妻が犠牲になった際に残された物と同じだと気づく。
スヴェンは、ベネットと共に事件の真相を探るが………。
●キャラクター………〇、キャラクターはしっかり作ってある。
しかし、サメ映画で、サメそっちのけでヒューマンドラマをやりだすのはどうなんだ?
●ストーリー…………△、作品の骨組みは『ジョーズ」+『ディープ・ブルー』と名作サメ映画のハイブリッド。
しかし、無駄にヒューマンドラマ&カーチェイスに力を入れた結果、テンポが悪い物になっている。ついでに、陸地の場面が多いため、サメ映画らしい緊張感はない。
さらに終盤、唐突に無駄に気合の入ったライブシーンが始まったりと、さっぱり展開が読めない。ヒューマンドラマ、カーチェイス、ライブシーンと出来自体はいいため、それがこの作品のカオスさに拍車をかけている。
●カメラ………………〇、謎の早回し、謎のスロー、不思議なカットで溢れている。個人的には好き。
●怪物…………………△、低予算映画、作られ年代を考慮すればかなり出来がいい。
しかし、残念ながらほとんど出て来ない。ついでにサイズがラストシーンまで分かり辛い。
そういった所を含めて 「古い」時代のホラー・怪物映画っぽい。
※以下ネタバレ注意↓
予告編はこんな感じ↓
《カルカロドン・メガロドン》
さて、(一部のクラスタの)2018年の一大ニュースと言えば、あのジェイソン・ステイサムが太古の巨大鮫”メガロドン”と対決する『MEG ザ・モンスター』が公開される事だろう。
こういった映画が大好きな一人としては嬉しい反面、若干不安になる。
映画監督の皆さん、大丈夫か?あなた達が仕事をしているのは、アサイラムじゃない、ハリウッドだ。
「世界は発狂しようと決意したらしい」
~by 伊藤計劃:著 『虐殺器官』より~
地球の海のかつての支配者、”カルカロドン・メガロドン”。全長が20メートル近くあったと言われる巨大ザメだ。そんなスター性抜群の素材をB級映画界が放っておくはずはなく、過去に何度か映画の題材にされている。
しかしだがBut!
(↑サメ襲撃シーンのやっつけぷりが酷いが酷い事で有名)
(↑もはや説明不要のブレッド・ケリー監督作品。「おのれ!ケリー!」)
………『ディープ・ライジング コンクエスト』と『ジュラシック・シャーク』が入っている時点で”メガロドン”映画の出来がなんとな~く伝わると思う。
(『ジュラシック・シャーク』がプライムビデオにあるのにビックリ(゚д゚)!だよ)
そんな(あまり良くない意味で)個性的な奴らが揃う”メガロドン”物の中で比較的まともな作品が、今回紹介する『ブルーサヴェージ』である。
前フリがずいぶん長くなったが、映画の感想に移ろう。
本作のあらすじは『ジョーズ』+『ディープ・ブルー』と思ってくれて問題ない。
平和な観光地に起こる惨劇。巨大ザメの仕業を主張する主人公サイドとそれを認めないお偉いさん。ここまでは『ジョーズ』のプロット。
やっぱり、この手の作品の骨組みを作ったスピルバーグ監督は偉大だ。
ジョーズ [ ロイ・シャイダー ]
(↑全てのサメ映画のバイブル。やっぱり偉大な作品)
さらに、現代にいないはずの古代サメ”メガロドン”の蘇った理由が、ほぼ『ディープ・ブルー』
アルツハイマーとガンという違いはあるが、科学者が「難病の治療のため」怪物を作ってしまう下りは一緒だ。
ディープ・ブルー【Blu-ray】 [ サフロン・バローズ ]
(↑サメの免疫機能は凄いらしい)
そういったよくあるプロットに加えて、地元の非恋伝説をバックに父娘それぞれの恋愛ドラマをブッコんだ作品と考えていい。それで本作の内容がだいたい説明できてしまう。
スター性はあるのに、いまいち実力が発揮できない不遇な存在。それがB級映画における”カルカロドン・メガロドン”だ。
《カーチェイス>サメ》
本作はサメ映画にしては長い。約110分ある。
そのため、やや冗長なシーンが多くテンポが悪い。
さらに、怪物映画なのに無駄にヒューマンドラマ、ついでにカーアクションに力を入れた結果、何が撮りたいのか、作品としてピントがづれた物になってしまっている。惜しい。
カメラ、音楽、俳優の質、肝心のサメのCG自体はある程度高いレベルでまとまっているため、それなりに楽しく観賞する事ができる。
但し、肝心のメガロドンはさっぱり出て来ないのは笑うしかない。
オープニングのスピーディーな展開とアクション、そこそこリアルなサメの群れをみせられた時は、期待できたのだ。しかし、残念ながらオープニングが映画の面白さのピークだったようだ。
肝心のメガロドンが、ラストシーンまで背びれなどの一部しか出て来ない仕様。その代わりに無駄に気合の入ったカーチェイスを延々と見せられる、本当によく分からない作品。
サメ映画の時点で、スピルバーグ監督の『ジョーズ』のパクリなのは覚悟していた。しかし、予想に反して同じスピルバーグ監督作品の『激突』のパロディを観るはめになるとは、全く予想できなかった。
劇中小型車で石畳の街中をかっとばすシーンがあるが、これはこの時期に公開された『ミニミニ大作戦』を意識して作ってあるのだろう。
監督の趣向が完璧に「カーチェイス>ヒューマンドラマ>サメ」のため、メガロドンが暴れまわる作品を期待して観賞すると、肩透かしを喰らう。そんな作品。
アルバトロスで配給される作品にしては、映画の基本的な技術はしっかりしていると思う。そこが却って残念でならない。
本日9月7日から『MEG ザ・モンスター』が公開される。アクション俳優のジェイソン・ステイサムを主役に起用しているが、果たしてステイサムは巨大サメをぶん殴るのだろうか?
「巨大サメ+アクション」と属性が被っている作品である。見比べてみるのも一興かもしれない。
……あぁ、2004年の時点では「太古に存在した全長20メートルの巨大サメ」は、サメ映画の変わり種のアイデアとして十分面白い物だったんだぜ。
どうして、ここまでカオスな状況になったんでしょうね?
A:戦犯アサイラム。
(余談だが、AmazonのPrime VideoがB級作品に汚染されていて笑いが止まらない)
最後に、映画の話からそれますが、ステイサム主演の『MEGメグ ザ・モンスター』の元ネタの方は、随分前にNHKでラジオドラマ化されている。
初出は1998年6月8日~1998年6月19日 全10回
興味のある方は「NHK青春アドベンチャー メグ」、でググッてみて(*・ω・)ノ
20年前の作品だが出来はいいよ。
【感想まとめ】
●総評:D
●カーチェイスが熱い!
●サメはおまけ。
●無駄に長い。
コメント
初めまして。
どうやったら「ブルーサヴェージ」を面白く見れるか?
答えはたった一つにして簡単です。
これ↓の系統と考えながら見ればいいんです。
https://www.youtube.com/watch?v=8WLJX9kuTng
これと結びつけて紹介してくれる人がこれまた少ないんですよね。
日本じゃ不憫なアクションコンセプト&RTL・・・。
何だかんだいって、最後はちゃんとサメと決着つけさせるあたり、ドイツ人らしい律儀さ、真面目さが現れているじゃないですか。
ヘリコプター(Bo-105)でサメに立ち向かうなんて、アクションコンセプトらしくて素敵。
乱文失礼いたしました。