今回紹介する作品はこれ↓
製作年:2010年 製作国:フィンランド
上映時間:80分 原題:「RERA EXPORTS/RERA EXPORTS:A CHRISTMAS T」
※”EXPORTS”は”輸出品”といった意味。
監督:ヤルマリ・ヘランダー
出演:オンニ・トンミラ/ヨルマ・トンミラ/イルマリ・ヤルヴェンパー/ぺートル・ヤコピ/ペール・クリスティアン・エレフセン/トンピ・コルペラ/ラウノ・ユヴォネン
【あらすじ】
クリスマス・イヴを迎えた北フィンランドの田舎町。サンタクロースが恐ろしい存在だと信じる少年・ピエタリは、不安な日々を過ごしていた。
時を同じくして、町はずれでは多国籍企業による、採掘が行われていた。
採掘に関わる作業員達に、通達される様々なルール。
それは「シャワーで体を洗う時は、耳の後ろもよく洗うこと」
、の様に母親が、子供に言い聞かせる小言に似ていた。
やがて、街では、飼っていたトナカイが喰い殺される、家庭の暖房器具が盗まれるといった、気味の悪い出来事が頻発する。
さらに、街はずれで全裸の老人が見つかって……。
●キャラクター………〇、主人公の少年が良かった。
●ストーリー…………〇、かなり奇抜なストーリー。
全体的に大人が、かなりヘッポコで頼りないのが、何とも言えない気分にさせてくれる。
●怪物…………………◎、「サンタはモンスターだった」というとんでもコンセプトで、作られている。
※以下ネタバレ注意↓
予告編はこんな感じ↓
《サンタ(`・д・´) <「悪い子はいねえか!」》
さて、今街を見回してもクリスマスシーズン真っただ中。行き過ぎた商業主義と、恋愛至上主義に対するプロテストなのか、「クリスマス」を題材にしたホラー作品というのが、時々出て来る。
(↓ちなみに、去年はこちらを紹介した↓)
本作も、そういった「クリスマスに恐ろしい出来事が巻き起こる」、を描いた作品だ。
製作されたのは、”サンタクロース”の本場フィンランド。
フィンランドに対して管理人は、”ムーミン”と”ヘビーメタル”と”シモ・ヘイへ”の国なんて、やや間違ったイメージを抱いている。(あと、ノワキ社)
「我々が、サンタだと思っているのは、実は本物のサンタのお供をしている爺型の邪悪な妖精だった」
「その爺型妖精が見つかって、平和な街に騒動が巻き起こる」というのが、本作のプロット。
のっけから、豚やトナカイのグロシーンから始まる本作。
「サンタは恐ろしい魔物である」と怯える主人公の少年。
「銃を抱えて一晩中、サンタが来ないか見張る」なんてシーンで、こっちもシニカルな笑みを浮かべざるをえない。
「サンタさんが来るのを、寝ないで待っている子供」
、の構図なんだが、色々とおかしい(((( ;゚д゚)))
それも
そのはずで、この映画でのサンタは、
「クリスマスに悪い子供をさらって、ボコボコに制裁を加え、挙句の果てには大きな釜でグツグツ煮込んで、骨まで溶かす」
といった、ナマハゲの質の悪い親戚みたいなポジション。
角もバッチリ生えているのが、萌えポイント。
実は、この爺型の邪悪な精霊は、サンタではない。
サンタというのは、もうちょっと違う存在で、この爺どもは単なるお供。
「なんだかクリスマスが近づくと爺が、ウロウロしているもんで、サンタと勘違いされている」といった設定。
この爺型の魔物を、大企業が見つけて掘り返しちゃったから、さぁ!大変!
(; ̄Д ̄)<「なんでもかんでも掘り返すな!」
この手のB級ホラーお約束の、パニックが巻き起こる。
それを、解決する為に主人公の少年が、大活躍するのが本作の流れだ。
設定は面白いのだが、監督の狙いがイマイチ分からない。
ホラーでもないし、コメディではないし、ファンタジーでもない。全部が中途半端に混ざったというよりは、コース料理の様に、順番にやってくる感じだ。
そんなに怖い作品ではないが、画の撮り方が妙に暗い上に、淡々と進むため、非常に寒々しく感じる。
そんな暗くて寒い映画なんだが、クライマックスにおいて、全裸の爺共が真っ裸でいっぱい出て来た瞬間、色々すっ飛ばして出て来る感想は、寒そう(((( ;゚д゚))) の一言だよ。
なんだ、このシュールな地獄絵図は。
撮影現場を想像して、さらに地獄だ。
素っ裸のおっさん、じじい共が集団で雪原を埋め尽くしているシーンは、一見の価値がないあるので、是非一度観て欲しい。
《トナカイ?よく食べるよ、生で》
本作は、サンタクロースを題材にした、ブラック・ファンタジー・コメディとの事。
”コメディ”と付き、それもサンタクロースが出て来るから、ファミリー向けだと思っちゃうでしょ。
ところが、これがけっこうグロシーンがキツイ。序盤から豚の解体、豚の生首など、肉々しい映像がふんだんに流れ、喰い殺されたトナカイの死骸が横たわる。
極めつけに、オオカミの罠に引っかかった件のお爺ちゃんは、腹にグッサリと木の枝が刺さるしまつ。
さらに、肝心の”コメディパート”が、かなりブラックと言いますか、きつめの風刺しかしてない。
フィンランドの田舎町の、ゆる~い生活と、アメリカ人とその影響でグローバル化した人達を、対比させ描き、セコセコ忙しく働かされている人達を、痛烈に批判している。
笑える箇所が箇所いくつかあるが、全て強烈な皮肉と風刺によるブラックジョークだ。
「クリスマスなんて…」と、苦々しく思っている人には、受けるんじゃないかな?
最後の最後に、タイトルの意味が、映画に掛かってくるのは最高に笑えた。そういう意味か(笑)
ただ、この手のクリスマス・パニック・ホラー映画は、撮る奴が問題なのか、観る奴が問題なのか、それとも、面白がってレビューする奴が問題なのか……うん、業が深い映画だ。
リア充とかそういった問題じゃなく、未成年カップルで酒を買おうと試みて、店員に止められ、その挙句ごねる奴らは、本作の邪悪なサンタに、捕まればいいと思うよ。
まぁ、この映画で管理人が一番驚いたのは、フィンランドの人達の”寒さ耐性”だけどね(笑)
序盤に、主人公の男のが、家の外に用を足しにいくのだが、その場面で外は当然雪が降り積もっているわけです。
外に行く際に、この男の子、上半身はモコモコの暖かそうな服着てますけど、下半身はパンイチですからね!
寒くないんかい!われ!
なんだか、ネットで出回っている、フィンランド人の寒さに強いコピペを、思い出しちゃったよ(笑)
【感想まとめ】
●総評:C
●設定が面白い。
●ホラーでも、ファンタジーでも、コメディでもない感じ。
●見てるだけでも寒そうなシーンがいっぱいある。
※店頭レンタルは、たしかTSUTAYAのみだったような気が…(あやふや~)
さすが!Amazon先生!なんでもあるぜ!
サンタが襲ってくる映画は他にもある!
『サタンクロース』感想は→こちら←
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