フランス映画「デリカテッセン」感想 ~妙にお洒落な変態肉屋映画~

スポンサーリンク

 あんまり怪物映画のレビューばっかり書いているのも、ちーとばかし精神衛生上よろしくないので、違うジャンルの映画のレビューを書いてみる。
今回紹介する映画はこれです↓

監督:ジャン・ピエール・ジェネ 『エイリアン4』、『アメリ』
出演:ドミニク・ピノン/、マリ・ロール・ドゥーニャ、/ジャン・クロード・ドレフェス、/カリン・ヴィアール

1991年 フランス

 あらすじ:近未来のフランス。舞台は核戦争の終了後の荒廃したパリの郊外。パリ郊外にある精肉店兼アパート”デリカテッセン”。ここでは雇った住み込みの労働者を”肉”にしていた。ある日アパートにルイゾン(ドミニク・ピノン)と名乗る男が職を求めて訪ねてくる。住み込みで働くことになったルイゾンに肉屋の娘でのジェリー(マリー・ロール・ドゥーニャ)が惚れてしまう。ジェリーは父親である肉屋(ジャン・クロード・ドレフェス)にルイゾンを逃がすように頼むが断られる。”肉”を欲するアパートの住人と、地下に潜む菜食主義者の集団の”トログロ団”も絡んで来て事態はますますおかしな方向に進んでいく。はたしてルイゾンとジェリーの運命はいかに……。

 この映画の感想の前にざざっとスタッフ、キャストの紹介です。監督は後に『エイリアン4』を撮ることになるジャン・ピエール・ジェネ監督です。主演のルイゾンを演じるのは『エイリアン4』で車椅子に乗った海賊団の一員ブライエスを演じたドミニク・ピノン。
 
 あらすじだけ読むとけっこうえぐい話に思えるますが、けっしてグログロのスプラッターではないから安心して下さい。ブラックユーモア満載のアート系コメディ映画です。グロイシーンはほぼありません。まぁ観る人によっては、大量のカエルとエスカルゴに囲まれて暮らしている、変なおっさんの部屋がちょいと気持ち悪いぐらい。
 先ずこの映画は色彩の使い方が凄くいい。荒廃した近未来の雰囲気を暗いトーンと乾いた色と、それを下地に明るい色を上手く使って表現している。地味な控えめな色に、所々明るい色と光を当てて何とも言えない感じを出している。審美眼と色彩に関してはフランス人の、右にでるのは無理だと思う。
 次にカニバリズム、自殺願望、自己犠牲、贖罪といった笑い飛ばすにはヘビー過ぎる話を、ブラックユーモアのネタにしてやりたい放題撮ってる感じがした。監督は撮っていて楽しかっただろう、ということが伝わってくる。

 逆に不満な点は字幕がなんだか適当な感じがすること。
これは本当にいただけないです。
「其の」「之は」などなんか変な文字使ってるは、台詞が変なところで-←これで区切ってあったりとちょいと分かりにくい。なんだか学生が辞書片手に訳した感じのずいぶんぎこちない翻訳でイライラする。これさえなんとかなれば完璧な映画だったのになぁー…残念。
 それでも映像と音楽、雰囲気ともの凄く気に入ったから、これから先ちょくちょく見直すと思う。そんな映画が一本増えたんでいいか。

 うん、まとめるとジェリーを演じる、マリ―・ロール・ドゥーニャの儚げなお嬢さん振りが凄く良かった。そんな映画。あの触れたら折れそうな感じが本当にいい。

コメント

  1. 燃焼豚 より:

    人肉ネタなのでグロエグなのかなと思ったが笑ってみていた。ところで管理人様、私のフランスの親戚のスチール写真はどこで手に入れられたのですか?

  2. 堂柿弘也(管理人) より:

    人肉ネタなのでグロエグなのかなと思ったが笑ってみていた。>確かに、直接そういった描写は無い上に、映画本編がコメディチックなノリな為、笑いながら観えますね。
     ただし、深く考えると怖い。もしくは「人肉を食べる」=「人を食い物にする」=「エゴイストの完成形」ということなのかもしれない。
    ところで管理人様、私のフランスの親戚のスチール写真はどこで手に入れられたのですか?>……「いじろうかな~」と思いましたが、上手くいじる方法が浮かばないので、ちょとスルーします。えぇ、一応コメントとしては拾っておきます。

タイトルとURLをコピーしました