『グリード』と聞いてあの傑作海洋モンスターホラーを思い浮かべた人(*・ω・)ノ
貴方が思い浮かべたのは、豪華客船が巨大な怪物に襲われる作品だろうか?DVDはすぐに廃盤になってしまいレンタル取り扱いもない、そのせいで無駄にプレミア値が付いているあの『グリード』のことかい?
えぇ…『グリード』は『グリード』でも今回紹介するのはこっちの↓『グリード』ですが……。
そもそも”グリード”ってのはキリスト教の7つの大罪の一つで”強欲”の意です。そこまでは某錬金術師漫画のおかげで皆さんもご存じかと思いますが、さらに無駄なうんちくを覚えて欲しい。夢占いではワニは”強欲”の象徴です。その他にもワニは西洋では、狂暴・食欲・偽善の象徴だったりします。それでこんなタイトルが付けられているのではないだろうか?
まぁ、使い所が全くない知識ですがね……。
ついでにあまり使わない言葉を一つ。
【鬼哭】(きこく)とは、亡霊が浮かばれなくて泣くこと。またはその声。
かれこれ20年くらい前のテレビゲームで覚えた言葉だが、20年間全く使う機会に恵まれなかったので今回ブログで使ってみた。ほら、”言葉は日常的に使うことにより、初めて自分の中に意味を吸収できる”みたいなことを偉い人が言ってたじゃないですか。まぁ、明日からの日常生活で絶対に使わない言葉ですがね。
…話が脱線してしまったのでレビューに戻りたいと思います。
2007年 制作:ドイツ 配給:アルバトロス 92分 ドイツ語
出演:クリスティアン・トラミッツ、 ドーリン・ヤーコビ、 ディルク・バッハ、 オリヴァー・マスッチ
監督:シーモン・X・ロスト
あらすじは密輸業者の元を逃げ出した巨大ワニを、ワニハンター、検死官、リポーターのデコボコトリオが追っかける。それに密輸業者のボンクラトリオがちょっかい掛ける。ついでにワニハンターの思春期の娘が絡んでくる感じです。
●総評:C
●ストーリー…………△、可もなく不可もなく。ドイツが舞台の『アリゲーター』
●キャラクター………〇、濃い。基本的にギャグ要員しかいない。特にリポーターのブッチ―。
●怪物………………△、ふつーのワニ。ある意味この映画で一番可哀そうなヤツ。
《この映画の印象に残ったところ》
●パッケージと予告編とは違いコメディ。
●モンパニを期待すると裏切られるがコメディ映画としてはそれなりに面白い。
●ワニは本物の映像をちょくちょく使ってて意外とリアル。
●オチはワニ映画のお約束。
※ネタバレ注意↓
《この作品で起こる修羅場一覧》
●開始早々密輸取引現場のトラブルからワニが脱走。
●(ヒロインポジションの)検視官のアン、同僚のイケメンにもてあそばれていた事が発覚。怒りに任せてイケメンの鼻をパンチでへし折る。
●(主人公ポジションの)ワニハンターのミッチ、年頃の娘と喧嘩になる。「ママよりワニを選んだ!」、のパワーワード炸裂。
●ミッチ、ゲイの友人に裸の写真を撮られていた。→ネットに流出→何故か警察の偉い人がそれを閲覧。警察の偉い人はミッチの裸踊りを見たことについて「しまった…」、と呟く。
●アン、愛車をワニに破壊される。保険会社に電話し、「ワニに車を壊された場合、保険は適用されるのか?」→電話を切られる。
●ミッチ、娘が彼氏と半裸で見つめ合っている現場に遭遇する。「娘はバージンだ。当分その路線でいく」、と彼氏君をナイフ片手に熱い説教。
●ワニハンターの娘、密輸業者に誘拐される。
●ワニ爆殺。
●ワニの子供川へ逃走。
………ざざっと箇条書きで記したが、ワニに関係ない修羅場の方が多い。まぁこの映画コメディ映画と言いますか全体的にゆる~い感じの笑える映画です。
開始早々ワニが逃げ出す。その逃げ出す理由も気が抜けている。わき見運転していたおばさんが、密輸取引現場のワニの入っていた箱に体当たりして川に落としてしまう。それを「三日間以内に捕まえてこないと取引はなかったことにするからな!」、と密輸業者が取引先に発破をかけられるところから物語は始まる。オープニングの音楽もやる気が感じられない。その後はメインキャラクターの紹介が始まるのだが、前述したようにやたらと濃いエピソードが紹介される。人喰いワニがメインではなく、やれ尻を揉んだだの揉んでないだとか、裸踊りがネットに流出したとか、娘に手を出したらチ〇コ切断するからな、みたいな話で終盤まで進む。さらに密輸業者のずっこけ三人組も絡んできて話は増々ややこしい方向に進む。
人喰いワニが人々を恐怖に陥れる話ではなく、中年のクロコダイルダンディーが周りの人間に振り回されるドタバタコメディです。繰り返しはギャグの基本と言いますが、ネタ振り→ボケ→ツッコミ→オチを丁寧に繰り返しており非常に好感が持てる。お堅い感じのドイツ語とのギャップもあって面白い。
……一応怪物映画のレビューですよね?これ……。
《同情したくなる怪物》
パッケージではさもとんでもない怪物の様に描かれているが、本編に出てくるワニにに、そんな要素は全くない。むしろ無理矢理捕まえて来られた上に追いかけまわされた挙句、手作り爆弾で卵もろとも吹っ飛ばされる可哀そうな被害者ワニです。
犠牲者も開始50分ぐらいでやっと出る程度。所々本物のワニの映像を使っており迫力はけっこうある。しかしワニ自体はほとんど人を襲わない。喰われるのは鹿とか羊の方が多い。
そもそも登場人物達のドタバタ劇の方がメインなのでワニはあんまり関係ないと思う。そういう意味も含めてワニが一番の被害者だと思う。恨んで化けて出てもいいと思う。
ちなみに予告編はこんな感じ↓(※ネタバレ注意!)
それなりに笑えた映画だが、いったいどういった層をターゲットに作られたのかいまいち分からない。ドイツ製の怪物映画は珍しいです。興味がある方はどうぞ(。・ω・)ノ゙
レポーターのブッチーはいいキャラクターだった。
コメント
モンパニ映画としてはしょうもないが、ヒロインの体を張った下らないギャグがそれとなく笑える。
下らないギャグ>モンパニ映画なのか、ドタバタコメディなのかイマイチよく分からない作品。
コテコテにとことんやる様をみてると、「ドイツ人ってやっぱり真面目なんだなー」と思いました。
出演しているオリヴァー・マスッチは後にあの問題作「帰ってきたヒトラー」でヒトラー役をやってると知ったのが衝撃だった。