さて今日は海の日ですね。海と言えば得体の知れない怪物ですね。
そんな当ブログにはぴったりの作品がこれ↓
製作年:2016 製作国:イギリス 原題は「THE CREATURE BELOW」
出演:アンナ・ドーソン、ミッシェラ・ロンデン、ダニエル・S・スレイス、ジョニー・ヴィヴァッシュ
監督:スチュアート・スパーク
あらすじ:海洋生物学者のオリーブはフレッチャー博士の開発した新型の潜水服の実験に参加する。水深460メートルまで潜った時に何者かの襲撃を受ける。救出されたオリーブは潜水服を壊したことを咎められる。潜水服を調べたオリーブは奇妙な物体を発見する。興味を持ったオリーブはその物体を自宅にこっそりと持ち帰ってしまう。その物体から謎の生命体が誕生し、オリーブはその未知の生命体を観察しようと試みるが……。
総評:C
●キャラクター………◎、おかしい人しか出てこないのがちょっと引っかかるがキャラ立ちは凄い。演技もうまい。
●ストーリー…………△、インテリ女性が静かに狂っていく様は良かった。しかし舞台がちょっと……。
●カメラ等……………〇、嫌な雰囲気が出てる。怪物の出来がショボいのを上手く誤魔化していた。
●怪物………………△、※パッケージはイメージです。
《この映画で印象に残ったところ》
●サイコホラーとして秀逸な作品。
●徐々に狂っていくインテリが怖い。
●音楽が不気味で素晴らしい◎
●中盤だれる所がある。
●全体的に陰鬱な雰囲気が付きまとう作品。
※ネタバレ注意↓
《舞台は地下室》
まず最初に断っておくが、タイトルに『リバイアサン』煽り文句に「深海モンスター・ホラーの最新作!」となっているが、映画の9割は陸上でその内の半分は地下室である。深海が舞台なのは最初の5分くらいです。
冒頭潜水中で何かに襲われる。
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救出されたヒロインが卵発見&こっそり自宅に持ち帰る。
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何か生まれた、観察するかーヾ(=^▽^=)ノ
そこからずっと地上がメイン。ついでにモンスター映画としては残念な出来です。怪物は基本的にチラッとしか見せないし、そのチラッと見える範囲ではどう見たってタコです。さらにどう見たってビニール製のおもちゃです。
怪物映画としては残念極まりない出来なのですが、サイコスリラーとしてはけっこう面白かったから評価に困る。
一人の女性が徐々に正気を失っていく様が、凄く丁寧に描かれていた。なんとなく次にどうなっていくのか予想が出来るのだが、視聴者が予想するグロ展開をビジュアル込みでキッチリとやってくれる感じ。ゴア描写自体はクライマックス以外は、それ程キツイことはやっていないと思うのだが、演技が上手いのとオドロオドロしい音楽と相まって精神的にキツイ。グロが苦手な人は視聴を避けた方がいい。
イギリス製の映画らしく淡々としたテンポで陰鬱な話を撮っている。先にも書いたがメインの怪物と深海のシーンはかなりショボい。深海探索シーンは短くてどうしようもない。まぁ短いから映画にあまり影響がないとも言えるかもしれない。怪物に金をかけれない分は撮り方と音楽と役者の演技で上手くカバーしていたと思う。
「深海モンスター・ホラーの最新作」と謳っているわりには、9割方地上だし、中身はサイコホラーって……まぁこれは煽り文句とタイトルが悪い。そもそもこれクトルゥフ作品の映像化ですやん…。なんとなく配給会社のプロモーションの失敗として「新プレデター 最強ハンター襲来」と通じるものがあると思う。
サイコホラーテイストだけではなく、パワハラ上司、理不尽な解雇、家族間の確執、不倫…etcと現代人の悩みをもれなくフォローしたよく分からん恐怖がある(意味不明)
怪物との死闘よりもオリーブと妹のエリーの女同士のドロドロした争いがメイン。
なんだこの作品…。
《ああ、窓に窓に!》
↑この文なんだけどネットを徘徊してるとたまに見かけますね。これ元ネタが何かといえばラブクラフトの『ダゴン』です。
※クトルゥフ神話とは?
パルプマガジン作家であるハワード・フィリップス・ラブクラフトと作家仲間の間で、架空の神々や地名、書物等を共有して作られた現代の神話。太古に地球を支配していた異形の神々が、人間にその気はないのに凄い迷惑を掛けるお話。
詳しい説明は→クトルゥフ神話ーWikipedia
しかしGoogle画像で画像検索をかけると、グロに混ざってアニメキャラがチラホラ。おいっ!日本人(笑)
(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!←この顔文字が「うーにゃー」の入力変換候補で普通に出て来るってどうなの?(笑)
今回出てくる怪物はダゴンじゃないかなぁー(`・ω・´)
主人公のオリーブがミスカトニック大学出身なのにおわせるシーンがある。ミスカトニック大学というのはクトルゥフ作品でしょっちゅう出てくる架空の大学です。ここ出身の科学者達が、クトルゥフ神話の”旧支配者”に挑んで酷い敗北を屈するのは、一つの様式美みたいなもんです。
そのせいで”ミスカトニック大学”のワードが出て来た時点で、物語のオチの方向性がなんとなく分かってしまう人も多いかも。
クトルゥフ作品の映画化は残念な出来になる事が多い。あのグロテスクな異形の神々を映像化するのは、正直金がいくらあっても足りないと思う。ついでに映像化すると、ドン引きする以外の何物でもない残酷グロシーンが多過ぎるせい。
恐らくクトルゥフ作品を納得がいく形で映像化するのは、予算と技術的に不可能じゃないかなぁー。もし出来たとしても製作費を回収するのが難しいと思う。クトルゥフ作品を映像化するなら『ミスト』や『ジェラシック・ワールド』位の製作費とスタッフがいる。ついでにエンタメ要素を入れて物語として分かり易い物にしないと、マニア以外のお客さん来ないだろうなぁー。
この作品クトルゥフ作品なのに肝心の怪物がショボい。その為モンスター映画としては物足りない。ついでに映画の中でクトルゥフ作品についてある程度知ってないと理解できない展開がちょっと多い。その上でクトルゥフ作品である事を配給会社が一切触れてない。これだと視聴していて話がチンプンカンプンな人が多いのも頷ける。その辺もう少しなんとかならなかったものだろうか。
最後にもう一度いうが、主演のアンナ・ドーソンの演技はとても良かった。一人の女性が徐々に狂っていく様子を完璧に演じている。
予告編はこんな感じ↓
海の日にちなんで海が舞台の作品をレビューしようと思ったのだが、蓋を開けてみれば陸でのお話でした。それも地下室がメイン。It`s My life! インドア派万歳!
女の人が肉屋でお肉を買うシーンを、ここまでサイコに撮れる監督は希少だと思う。誰でもいいから、この監督にちゃんとした予算をあげて次回作を撮らせてあげて欲しい。
コメント
X商法としては意外と見れた。SUN値が結構下がった。最後に出てきた怪物はダゴンか、クトゥルーか、それともただの大蛸か?
X商法としては意外と見れた。>ミートゥー。この作品に限った話ではないが、ある程度のレベルに達している作品は、変な邦題を付けない方がいいと思う。
この邦題ではクトルゥフ要素が伝わらないから、ますますパチモンタイトルの必要はないかと。
そもそも『リヴァイアサン』、それほど知名度のある作品でしたっけ。