「人間蟲」感想・レビュー ~唐突に始まる哲学談義~

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 さーて今回もどうしようもないB級映画を紹介するよー( ´∀`)つ
今回紹介する作品はこれ↓

 毎度おなじみの、アルバトロス作品なんだが、最初に断っておく事がある。
 それはパッケージの表紙詐欺が、いつもにも増して酷い件
 大抵は、パッケージがかっこよすぎる程度なんだが、この映画ではそれ+裏面のあらすじもほぼ嘘しか書いてない。

 さすがに、ちょっと苦情を入れたくなるレベル。

 製作年:2004 製作国:イタリア  90分  原題は「SUBHUMAN」

出演:ウィリアム・マクドナルド、コートニー・クレイマー、アール・パストコー、ブライス・マクラフリン
監督:マーク・ティート

 パッケージ裏のあらすじ:人間に寄生する蟲と、それを倒す能力と宿命を背負った男の果てしない戦いを描いたアクションホラー。
 車で轢いてしまった男を自宅に連れて帰った夫婦は、意識を取り戻した男から「外に出たら蟲に寄生されて死ぬ」と告げられる……。

総評:E
●キャラクター………〇、キャラは立ってる。しかし華はない。つーか服着替えろよ!
●ストーリー…………✖、重厚な雰囲気を出そうとして失敗した感じ。
●怪物…………………✖、いいとこなし。理由は後述。
●哲学的な話………?、アリストテレスからキリスト教、さらに資本主義のダークサイドにまで踏み込む。なんの映画だ……

《この映画の印象に残ったところ》
●マネキン丸出しなゴアシーン。
●哲学的なやり取り。

ネタバレ注意

《ダークヒーローはおっさん
 和洋問わずダークヒーローと言えば影のある美形と相場が決まっている。しかし、この映画の主役は小太りのいかついおっさん。

 この自称”バンパイアハンター”のマーティンなる男、白いお薬とククリナイフを常に携帯している。注射痕を誤魔化す為に腕には入れ墨、常に目出し帽を被り黒のコートを着用。

 およそヒーローらしくない職質待ったなしの男が主役である。

 そんなヴァンパイアハンターと、偶然その戦いに巻き込まれたカップルのドタバタ劇を描いた作品である。
 この映画、なんと怪物を視覚的に全く描写しない
 それだけでもかなりの暴挙だが、さらに予算がない→アクションホラーでは尺が余る→マーティンが夜な夜な酒場で飲みながら禅問答をするシーンが、映画の2/5を占める。

 こんな暴挙許していいのか?
 

 監督が「いやヒーローなんて実際にいたら、多分こんな駄目なおっさんだぜ!」と言いたいのかは分からないが、とにかく華のないおっさんが、暗闇でククリナイフを振り回す様を延々と観せられる。

 人間そっくりに擬態している怪物を演じている役者は、無表情を通り越してただの大根。
 ついでにこの吸血鬼みたいな怪物だが、首を切られるシーンしか無いため、具体的にどのようにして人間を襲うのか視聴者にさっぱりと伝わらない。

 怪物が人を襲うシーン・喰らうシーンも一切ない。それに加えて、マーティンの説明も観念的でいまいち要領をえないので、視聴者に怪物のイメージが全く伝わらない

 こういった理由で、怪物に関しては低い評価が妥当だと思う。

 この怪物、人間社会に混じって人間を喰っている亜人みたいなナニか。

 我々日本人には『寄生獣』や『東京喰種』等の作品でお馴染みの設定。

 それを狩るのがマーティンのお仕事で
「同業者は12人、報酬はあらゆる宗教団体からこっそりと支払われている」
、とこれまたよくある設定。
 そんな美少女が日本刀を振り回しそうな設定なのに、今作ではおっさんがククリナイフを振り回しながら、酒を飲んでは禅問答をする。

何故だ?(´;ω;`)

 正直意味がわからない作品だった。
 ここまで意味が分からないとマーティンの腕に「海人」の入れ墨があったり、劇中一週間ぐらい経っているのに、登場人物が全員一回も着替えずに同じ服だったあたりに、地味にツッコミを入れていく以外自分は何をすればいいのか分からなくなる。

 いやもしかしたら夜な夜な酒場でいつものメンバーと禅問答するシーンは、『うる星やつら~ビューティフル・ドリーマー』や『涼宮ハルヒ~エンドレスエイト」のように”繰り返される日常”のメタファーだったのではないか?

 そういった繰り返される日常の裏で事態は確実に進行していき、遂に取り返しのつかない決定的な悲劇が起こる……ずっと同じ服を着ていてるのはそういった事のたとえでは?

 ( ・Д・)<(ねーよ!)

 さらに怪物を全く写さない事にブログ主なりに考察してみる。

 思うに怪物が怪物たる最大の理由は、正体不明である事に尽きるわけだ。 

 なんと言いますか、潜在的な場を顕在的に描き出すと、潜在性は失われるわけですよ。
怪物が、はっきりした形として視聴者の前に現れた瞬間に、怪物は怪物ではなくなるもんなんです。

 いかにも、恐ろしくグロデスクな嫌悪感を呼び起こすデザインであったとしても、見慣れてくるとカワイイとこがあったり、実在するの生物のパーツを、写し取って混ぜているだけだったりするのが分かってしまう。

そうなってしまうと、怖がるどころか余裕を持って怪物を眺めることが出来てしまう。

 そしてしまいにゃ怪物に萌え始める。

あの 『エイリアン』シリーズのゼノモーフ(血液が酸の化け物ことね)、なんて今じゃ凄い人気で、奴がほぼ出て来ない『プロメテウス』の評価が酷かったのはまぁ納得なんですよ。

 ついでに、ホラー映画でよく怪物の正体について、唐突に語れられるシーンがあるでしょう。

 ああいうシーンのおかげで、”人を襲う正体不明のナニカ”を、”自分たちの言葉で説明できるナニカ”に置き換えているのが、視聴者に分かるわけだ。

 怪物が怪物であるゆえんを、人間的な物語で説得しちゃってるわけですよー。
 その手のシーンの後って明らかに怪物が弱くなって、モブキャラに何匹か退治されたりするから(笑)

 まぁ、勢いで書いたんであんまり当てにならない意見ですが。

 以上の事を踏まえて考えると、この映画で怪物を視覚的に一切描写しないのは
「怪物を正体不明の恐ろしい”何か”」の、ままにしたかった為ではないだろうか?

 そういった説を唱えてみたい。

 (`・д・´)<(予算がないだけだよ!)

《おっさん、酒飲んで語る》
 どういう訳かこの映画の登場人物達は、皆哲学的な言い回しを好む。
主人公のマーティンをはじめとして、飲んだくれの爺さん、酒場のマスター、街のチ〇ピラのボスまでそう。

お前ら、インテリって面してねーじゃん。

おかげで、台詞が滅茶苦茶臭い

ライバル登場!アッチ村!


 台詞だけは、けれんみたっぷりでカッコいい。
人生で一度は言ってみたい台詞が、きっと見つかると思う。

まぁ、言わないけどさ…。

 訳した人が凄いのか、元から台詞が臭いのか、ブログ主の英語解読能力ではわからないが、ホント臭い台詞が多い。そこだけ凄い好き。

予告編はこんな感じ↓

↑本編では、”蟲”なんて単語一回も、出て来なかったぜ……?
ついでに「こんなシーンあったっけ?」て場面がチラホラ。

あれ?俺は本当にこの映画を観たんだっけ?もう一度観ないと……うっ!あたまgr…(感想はここで終わっている)

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コメント

  1. 燃焼豚 より:

    この作品は探してもなかったので予告の感想。怪物、切られた首手足は作り物感満載。アクションも今一だが、キャストにリキ入ってるからかっこよく見える。アルバトロスでなければ思わすみたくなるだろう。年末年始はずっと仕事だったので明日は取り合えずラブライブサンシャインを見に行く。

  2. 堂柿弘也(管理人) より:

    予告の感想。>この作品は、パッケージ裏のあらすじ欄、予告編、映画本編がそれぞれ異なる素敵仕様(※表記詐欺とも言う)なため、実際に観賞すると印象が異なる。
     ええ、「予告編は面白そうに見える」もんですがね。
    年末年始はずっと仕事>ミートゥー…(力無き声) お疲れ様です。ゆっくりして下さいね。

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