今回紹介する作品はこれ↓
製作年:2017 製作国:アメリカ 118分 原題:「KONG SKULL ISLAND」
出演:トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・C・ライリー
監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ
あらすじ:それは簡単な任務のはずだった…。
ベトナムから撤退する、アメリカ陸軍所属のウィード大佐指揮下のヘリ部隊に出動命令が下る。
任務の内容は新しく発見された島に調査隊を輸送する事。
帰国の日程が延びて不平を述べる部下たちの尻を叩いてウィード大佐は島に飛ぶ。
しかし島は巨大生物が闊歩する魔境だった。
ウィード大佐の目の前に巨大な生き物が現れて……。
予告編はこんな感じ↓
実はこの作品映画館に観に行ったんですよ。レビューを書こうと思っている内に劇場公開が終わってしまい、7月18日にDVD発売、レンタル解禁となりましたのでレビューを書いてみます。う~ん…B級作品のレビューを書くのが思いのほか大変でね……(聞いてない)
やっぱり大画面で観賞すると迫力が違いますね。特撮の技術も年々上がっているんですね。巨大な怪物をこれだけ立体的に動かせるのは凄い。白黒映画の初代『キングコング』ではクレイアニメを使っていたが、今はCG。このCG技術の進化をみるのもSF大作の楽しみの一つですね。
まぁ、この時代にストップモーションアニメで怪物撮ってるもの好きもいますがね…。
↓
『ビッグ・クラブ・パニック』
そんな訳でして、まずはネタバレしない程度の感想です。
《地獄の黙示録病とは?》
主に舞台はジャングル、ついでに川を船でえっさほいさと進んでいく要素が入ると、製作スタッフがかかってしまう病気・症状・呪い。名作映画『地獄の黙示録』の成分を入れたくなる様・衝動。一説によると、クリエイターは皆罹りたくてうずうずしているらしい。
↑上述のふざけた解説はまぁ置いておくとして、本作品でも見事に罹患している。ジャングル探検の先導を頼まれる元SASの傭兵の名前がコンラッドで、原住民と暮らしていた第二次世界大戦の生存者がマーロウときた。さらに登場人物の誰かに、「闇の中の人間性」について語らせれば一丁あがり!
ええ、絶対にスタッフ達罹りたくてうずうずしていただろう。しかし取って付けたかの要素ではなく、今回は物語を構成する上でちゃんと機能していたと思う。理由は後述。
あぁ…しかし日本の映画界の「旬のタレントやお笑い芸人に吹き替えさせたい病」のはなんなんだよ…。字幕派だから関係ないけどさ。まぁ、映画館では吹き替え版の方がお客さん多かったですがね。
と言いつつ今回レビューを書こうと思いたち、もう一度DVDを借りてきた。せっかくなので日本語吹き替えで観賞してみた。
う~ん…これはちょっといただけないなぁー……Σ(´д`;)
Gacktの声が妙に浮いた感じがして集中できない。佐々木希は必要以上にキツイ感じの女性になっていた気がする。日本の配給会社は素直に声優を使った方がいいと思う。洋画の吹き替えはベテランの上手い人を使う場合がほとんどなので、他のキャラクターとの落差が酷い。怪物に襲われるチョイ役に、出川哲朗を起用するぐらいはOKだと思う。
※ネタバレ注意↓
《サミュエル・L・ジャクソン》
取り扱いに気を付けた方がいい男サミュエル・L・ジャクソン。なぜなら主役を喰うどころか映画を喰ってしまう事も多々あるからだ。どういうわけかB級テイストのSF大作映画にけっこう出ている。ブログ主はたまにモーガン・フリーマンとごっちゃになる。え~と『ジェラシック・パーク』で腕だけになってたのがサミュエル・L・ジャクソンで、『ディープ・ブルー』に出ていたのはモーガン・フリーマンですよね?じゃあ『スネー
クフライト』に出ていたのは?『ドリームキャッチャー』に出ていたのはどっちだっけ?『スターウォーズ』に出ていたのは?『ロボコップ』のリメイク作品は?となりませんかね?ならない?そうですか。すいません、ハイ。
エイドリアン・ブロディと並ぶ怪物映画界の貴公子で、どの映画作品でも存在感抜群。悲しいような怒っているような目で彼方を見つめる。予告編の段階でこれまた濃い役をやってるなーと期待。そして案の定主役どころかキングコングを喰ってた(笑)
今回はヘリ部隊の司令官でアメリカ陸軍所属のウィード大佐を演じている。ベトナムからの撤退にまだ気持ちの整理がつかないウィード大佐は、今回のドクロ島遠征にどこか救われた様な奇妙な感情を抱いていた。しかし嵐を抜けて上陸に成功したヘリ部隊は、島の王”コング”の襲撃によって全機墜落。生き残ったウィード大佐は死んでいった部下たちの敵を討つのに拘泥する。ウィードの中ではコングによって殺された部下と、ベトナムで死んだ部下の無念がごっちゃになっていたのかもしれない。圧倒的な力を持つコングに対して、執念と近代兵器で戦いを挑む復讐の鬼をサミュエル・L・ジャクソンが熱演している。
もうこの怒り狂うサミュエル・L・ジャクソンを観れただけで、この映画を観に行った価値はあったかなぁ~と思える。主役を喰うのはなんとなく予想はしていたが、まさかここまでとは。個人的にはサミュエル・L・ジャクソンが良すぎて後は全部おまけだと思う。
さぁ、ぜひ自分の眼で確かめてくれたまえ( ̄ー ̄)ニヤリッ
《”美女と野獣”ではなく”闘争”》
さて今作は、同じ時期に上映されたディズニー映画に配慮したのか知らないが、お約束の「美女と野獣」展開が起きない。まぁしょうもない冗談はさて置き、「美女と野獣」展開になってしまうと、”コング死亡ルート”になってしまうわけです。そして今作はラストのラスト、エンドクレジットの後まで観て頂ければわかるが、もろもろの都合でコングには生きていてもらわなければ困るわけです。
「キングコング」から”美女と野獣”要素を抜いてしまう。しかしそうすることによって物語に大きな穴が空いてしまう。そこで出てくるのが上述した通りの「地獄の黙示録=闇の奥」展開である。闇の中で人間性の暗い部分が目覚める。復讐心でダークサイドに堕ちてしまったウィード大佐と、島の守り神であるコングとの対決が物語の大きな軸になっている。それとは別にコンラッドとヒロインが原住民と触れ合う内に自然との敬意に目覚める。さらに「怪獣プロレス」要素を構成する上で重要なキングコングと”スカルグロウズ”との因縁の対決も描かれている。
今作では「美女と野獣」の代わりに、”闘争”を軸に各キャラクターを対比させて映画を作っていたと思う。
生き残ったマーロウと死んでしまったガンペイ。自然との共存を学んだコンラッドとあくまでも対立を選んだウィード。島の守神であるコングと恐ろしい破壊者であるコング。コングとスカルグロウズの生物としての生存を掛けての戦い。
そういった様々な”闘争”が描かれていた。しかしそれらの要素がエンディングまでに上手く回収されたかと言えばそうじゃない感じがする。なんだか回収されずに終わった物語が多くてモヤモヤした。
巨大生物モノとしての面白さは後半のクライマックスよりも、前半の方が面白かった。キングコングが無礼な侵入者であるヘリ部隊にやりたい放題無双するシーン。それとヘリの墜落から生き残った遠征隊一行が、島の様々な巨大生物に一人また一人とやられていく……こういったお約束展開が一番面白いと思う。はっきり言って怪物映画として一番見どころがあるシーンは、予告編で全部ネタバレしているのはいかがなもんなんでしょうか。
マーロウが何十年振りかに家に帰って家族と再会するシーンは良かった。
後はヒロインの添え物感が凄かった(笑)
やっぱり”美女と野獣”を抜くとこんなもんだろうか?演じているブリー・ラーソンは目鼻立ちがはっきりした気の強そうな女優だが、今作だとそんなに印象に残らなかった。美女に執着する要素を抜いた作品が果たして「キングコング」と銘打っていいのかはちょっと疑問。『キングコングVSゴジラ』でも申し訳程度には”美女と野獣”要素はあったんですがね。その辺はどう思いますか、皆さん?
最後にもう一度触れるが、一番目立ってたのはサミュエル・L・ジャクソン演じるウィード大佐、次点でマーロウ。その次はガンペイ。えぇ、名前だけでインパクト抜群だった(笑)
※この先は重要なネタバレを含みます↓
本作品はエンドクレジットまで観てみましょう。エンドクレジットの後もちょっと物語があって、そこで”髑髏島”以外にも巨大生物がいると思われる島がある事が明かされる。そこでチラッと映る、ゴジラ、ラドン、キングギドラ、モスラのシルエット。
次回作作る気満々じゃないですか!
そういえば、ハリウッド版ゴジラ、通称”ギャレゴジ”の方続編が決まってましたね。楽しみです。
出来ればあの地味なアンギラス兄貴をハリウッドナイズさせて登場させてくれませんかね(願望)
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コメント
今回の洋画版キングコングはとても面白かった。キングコングは縦横無尽に暴れまわり、ヒロインとの距離も触れ合いで解り会える程度で押さえている。敵モンスターも不気味でとてつもなく強い。やると思ったらほんとうにやった地獄の黙示録、アメリカ人好きだな。ただ、できれば恐竜を出してほしかったな。あとこの映画を2回視たのだが、「あー、怖いな、ここのジャパリパークは」と話していた人がいた。最初は何の事だか解らなかったがあとで調べてみたらけものフレンズといいうアニメであった。まあ、管理人様はごぞんじだろうと思われるが。
「あー、怖いな、ここのジャパリパークは」と話していた人がいた。>ジャパリパーク(笑)
そういえば公開されたのがそんな時期でしたかね……と思ってしまうぐらい、最近のオタク業界の流行りすたりは早い。