B級映画「HAKAIJYU 破壊獣」感想 ~ランス・ヘンリクセンとゴリラ其の一~

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 今回紹介する作品はこれ↓

 B級映画界のレジェンド俳優ランス・ヘンリクセン主演。
『エイリアン2』のビショップの人。『エイリアン2』、『エイリアン3』、『エイリアンVSプレデター』と『エイリアン』シリーズの常連だが、何気に”ビックフット物”にも3作品ほど出ている。その内の一つがこの作品。

 怪物映画界の三大地雷と言えば”ビックフット”と”チュパカブラ”と”半魚人”だが、さーて今作はどうなんでしょうか?

製作年:2006 製作国:アメリカ 91分 原題:『DEVIL ON THE MOUNTAIN』

出演:ランス・ヘンリクセン、セリナ・ヴィンセント、マイケル・ワース、ランス・ハワード、クレイグ・ワッソン、ティム・トマーソン
監督:スティーブン・R・モンロー

 あらすじ:銀行強盗の一団が人質をとり森に逃げこむ。それを追う保安官チーム。しかしその森は巨大な獣人”サスカッチ”の目撃されている場所で……。

総評:D
●キャラクター………〇、悪役も含めて妙に親近感が湧く作り。
●ストーリー…………△、ないに等しい。
●音楽…………………〇、無駄にいい。
●怪物…………………△、ほとんど出て来ない上に着ぐるみ感満載。姿勢がいい。

《この作品の印象に残ったところ》
●いい話。
熱い説教。
●ランス・ヘンリクセンの演技。

ネタバレ注意

《怪物は舞台装置》

 はっきり言って、怪物映画としては散々な出来だったと思う。
とにかくさっぱり出て来ない怪物。出て来ても遠目に一瞬映るだけであり、クライマックスではっきりと全身が映し出されると着ぐるみ感満載。さらに犠牲者のやられ方が、やっつけ仕事気味に感じるとあっては、そういった評価になってしまうのは仕方がないと思う。

 しかし個人的にはこの作品はけっこう楽しめた。この映画においては怪物はおまけであり、熱い人間ドラマがメインである。その無駄に丁寧に熱く作ってあるドラマパートが思いのほか良かった。
 ドラマがメインなら、ゴリラビックフッド(劇中ではサスカッチ呼ばわり)が、いらないかと言えばそうではなく、ビックフッドが、物語を進める上での舞台装置として機能していたと思う。

 妻を事故で亡くしてから、人生が宙ぶらりんのチェイス(ランス・ヘンリクセン)。
大人になれずに強盗団のボスに収まったトラヴィス。
自分勝手な夫の元を逃げ出したエリン。
そんな人生に喪失感を抱えた登場人物達が、今回の事件をきっかけに、自分の人生にもう一度向き合う様が丁寧に描かれている。
 ある者は再び前に進むことを決め、ある者は変われずに結果として命を落とす。
そういったドラマを、進める上での舞台装置としての役割と、”父親のメタファー”としてビックフッドが使われていたと思う。

 ”いい歳して大人になれない奴らの成長譚”としては、けっこういい作品だと思う。 
 
 ……まぁ、そんな真面目なお話を作りたいなら、舞台装置としてはビックフッドなんてニッチなもんじゃなくて、普通に自然災害や事故等でいいんじゃないかな?(容赦ないツッコミ

 ええ、個人的には、もろもろのしがらみに捕らわれずに好き勝手作っていいのが、B級映画の一番いいところだと思っているので、こういった”流行りでない真面目な話”を唐突にやりだすのも”あり”だと思う。

 映画のテーマとしては”父親と息子”だったのではないかと思う。
森に逃げ込んだ強盗団と、それを追う保安官一行。”サスカッチ”という共通の敵に共に立ち向かう内に、両者の間に友情に似た何かが芽生える。

 ラストシーンの、年老いた保安官と強盗団の生き残りの若造のシーンなんて、”疑似親子”そのものなんですよね。

 BGMが、いいのも相まって綺麗な感動的なシーンです。

 そこで終わっておけばいいのに、最後の最後に怪物の目撃情報をぶっこんで
「やはり怪物は他にもいた……」
、みたいなモヤっとした終わり方をする。

 ……う~ん、怪物映画としては、正しいのだろうがこれだけいい雰囲気で終わるなら、無理にB級に徹しないでもいいのではないかと……。

 もしかしたら、この映画の伝えたい事は「自らのアイデンティティを守るには、時に辛い苦しい決断もしないといけない」、ということか?

 そんな頑固親父みたいな映画

《ランス・ヘンリクセンって凄い…》

 今作の主役チェイスを、『エイリアン2』のビショップや、『ターミネーター』の警察の副署長でお馴染みのランス・ヘンリクセンが演じている。

 初期のジェームズ・
キャメロン監督作品の常連なんだが、それ以降B級映画に非常によく出てる。
どれくらいよく出てるかと言えば、この人の出演作品の怪物を集めたら『バイオハザード』みたいなゲームが、一本作れるぐらいには出てる。(よく分からない例え)

 ちなみに『ターミネーター』では、当初ランス・ヘンリクセンがターミネーター役を、演じる予定だったが、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じたため警察官役に回った。

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 しかし、ランス・ヘンリクセンにロボット役を演じてもらいたいという、キャメロン監督の強い意向で、次作の『エイリアン2』でアンドロイドのビショップを、演じたというエピソードがある。

大きな写真「エイリアン2」ビショップの悲惨



 そのビショップ役が高い評価を受けたせいか、それ以降怪物映画によく出ている。

 この映画の、ドラマパートがしっかりとした見ごたえがあるのは、ランス・ヘンリクセンのいぶし銀の演技のおかげだと思う。
 無口で不器用だが誠実な男を演じていて、これが物凄く渋くてかっこいい!

 この映画ランス・ヘンリクセンの他にも渋いおっさん、爺さんがたくさん出てて地味だが、しっかりした作りになってます。

《パターソンフィルム》

ビッグフット Bigfoot Sasquatch UMA 未確認動物 生物 サスクワッチ サスカッチ マーク シルエット ステッカー シール デカール (ホワイト)




 通称「パターソンフィルム」と呼ばれるビックフッドと思わしき何かが撮影されたビデオがある。
 この映像に映っているビックフッドは、妙に姿勢がいい

これ絶対中に人が入ってますよね?
、と突っ込みたくなるほど、いい姿勢でさっそうと歩く様が映っている。

 動画サイトで「パターソンフィルム」と検索すれば出てくる。
 興味のある人は探してみて下さい。
 
 この手の映画で、ビックフッドやイエティが妙に姿勢がいい。
 その辺りが前々から気になっていたのだが、もしかしたら元ネタの「パターソンフィルム」の影響なんだろうか?
 ”ビックフット物”が妙にアレな作品が多いのは、ビックフットの動きが妙に人間臭くて怖くないってのが大きいと思うのだ。
 ”人喰いの怪物”なん製作者が自由に作っているイメージがあるが、それでも元ネタのイメージに引っ張られるてしまうことが多いんでしょうかね。

 この「パターソンフィルム」の呪縛を吹っ切った、”新しいビックフッド像”が生まれた時に、”ビックフッド者”の新しい時代が生まれるのではないだろうか……?(意味不明)

 予告編はこんな感じ↓

(”破壊獣”ときくとこっち↑を思い浮かべるのが、一般的)

ビッグフットものの名作『プライマル・レイジ』は→こちら

コメント

  1. 燃焼豚 より:

    怪物は着ぐるみゴリラだが人間ドラマはよかった。昔、ハカイジュウというタイトルの漫画を見た時、この映画と関連があるかと読んだが関係はなかった。

  2. 堂柿弘也(管理人) より:

    人間ドラマはよかった。>意図せずに、無駄にいい話を観る事となるのも、B級映画鑑賞の楽しみの一つなんじゃないでしょうか?
    ハカイジュウというタイトル漫画>世間一般だと、むしろそっちの方のイメージなんでしょうなー。
    出版社の企画で、実写PVが作られています。気が向いたら探してみて下さい。

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