今回紹介する作品はこれ↓
「死の河童」なのか「河童です」のアナグラムなのか、それとも両方なのか存じませんが,凄いタイトル。昭和の怪奇映画みたいだ。
レビューはしますが,視聴はあまりお勧めしません。ここまで力いっぱい自信を持ってお勧めしない作品も珍しい。カルト映画を作ってやろうという魂胆が透けて見えて嫌だ(笑)
その手の映画のマニアは必見。
あ、予告編だけは観ていって下さい。予告編でだいたいどんな映画かわかります。
製作年:2010 製作国:日本 85分 原題:『DEATH KAPPA』
出演:平田弥里、ダニエル・アギラール・グラティエレス、深華、なべやかん、星光子、桜井浩子、庵野秀明、樋口真嗣、北岡龍貴
監督:原口智生
●総評:D
●キャラクター………?、色々と濃い。
●ストーリー…………△、あってないようなもの。ツッコミどころが多い。
●怪物…………………〇、特撮の出来自体はいい。
●編集…………………✖、この映画の最大の欠点。もう少しやりようがあったと思う。
あらすじ:東京でアイドルになる夢に破れ故郷の尻子玉町に帰ってきた加奈子。加奈子の家では代々村の守り神である”河童様”を祀ってきていた。しかし帰ってきた加奈子の目の前で、祖母が若者の運転する車に轢き殺されてしまう。祖母の遺志を継ぎ”河童様”を祀る役目を引き受けた加奈子。そんな加奈子の前に”河童様”が現れて加奈子と心を通わせるが、”河童様”は謎の組織に攫われてしまう……。
《この作品の印象に残ったところ》
●古い怪獣映画のパロディが多い。
●バカ映画だが個々のシーンのクオリティは意外と高い。
●↑しかしやや助長なシーンが多く、間延びして駄目になってる所が多く感じる。
●有名監督が何人か役者として”友情出演”している。皆ノリノリである。特に庵野監督。
※ネタバレ注意↓
後に共に『シン・ゴジラ』を撮ることとなる”エヴァンゲリオン”の庵野秀明監督と、”平成ガメラ三部作”の樋口真嗣監督の出会いとなった作品(※冗談です、真に受けないように)
お二方は監督ではなく、役者として出てます。うん、スゲー人材の無駄使い!
他にも『ウルトラマンメビウス』の平田弥里、『ウルトラマン』の桜井浩子、『ウルトラマンA』の星光子と歴代ウルトラマンの女性隊員達がそろって出てたりと出演者は無駄に豪華である。しかしこの豪華な出演陣を目のあたりにしても湧いて来る不安の正体は何なんでしょうか?
A:タイトルが『デスカッパ』
タイトルからなんとなく内容が予想できる映画。なんだか他のレビューサイトでは妙に荒れてますが、僕はその人たちに逆に問いたい。
『デスカッパ』なるタイトルを付けられて、パッケージからZ映画臭がプンプンしているのに、この映画に何を期待しているのだと。
……むしろ名作だったら怖いわ!
ハードルは低く地面と同じ高さに埋めておけば、大抵のB級作品は大丈夫。
さて観賞した真面目な感想としては思ったよりも面白かったです。ハードルが低すぎるとかの問題ではなく、個々のシーンのクオリティは低予算の特撮映画としてはそこそこ高いと思う。
特に後半の昔懐かしの怪獣映画パートは凄くいいと思う。昔懐かしのミニチュアの街並みにラジコン戦車。戦闘機の攻撃を爆発で表現。そこで暴れる着ぐるみの怪獣。あの独特な効果音も完全再現。このクオリティなら2010年に昔ながらの特撮怪獣物を作った意義はそれなりにあったのではないかと思う。”河童様”と”ハンギョラス”の動きがキレキレで迫力がある。
ただし、全体的に冗長なシーンが多すぎるのが唯一にして最大の欠点だと思う。
●”河童様”が登場して加奈子と村の子供達と戯れるシーン。
●唐突に始まる加奈子のアイドル時代のプロモーションビデオのシーン。
●加奈子の祖母を轢き殺した若い不良カップル達が海辺でいちゃつくシーン。
●悪の秘密結社登場シーン。
●怪獣”ハンギョラス”VS自衛隊の戦闘シーン。
●怪獣”ハンギョラス”VS巨大化した”河童様”の戦闘シーン。
●巨大化した加奈子が、我を失って暴走する”河童様”を歌で鎮めるシーン。
●庵野監督が演じる悪の秘密結社幹部が撃ち殺されるシーン。
↑そういったもろもろのシーンが、どれもちょっと長すぎてテンポが非常に悪い。しかし改めて文字に起こすと変なシーンの連続だった事が分かる。
「あれ!?意外としっかり作ってあるぞ!」→冗長すぎてだるく感じるの繰り返し。
これを編集でもう少しテンポよくするだけで全然違った作品になったのではないだろうか?それも予算の問題なんだろうか?
そもそもこの映画自体、原口智生監督が自身のファンのアメリカ人プロデューサーの「低予算で怪獣映画を作ってくれよ」、というオファーを断る為に書いた脚本が基になっているらしい。そんな訳でもしかしたらわざとチープな仕上がりにしているのかもしれない。
怪獣映画のパロディのバカ映画かと思いき
や思ったよりもよかった。もう少し細かい所を詰めていけばもっといい作品になったのでは?……と思いつつも監督の意趣が分からないのにそう言うのは野暮だろうなぁー。
しかし撃ち殺される庵野監督のやり切った顔を見るに、庵野監督に必要なのは気分転換だと思う。
……あ、樋口監督の登場シーンって初代ゴジラのパロディですよね。
全体的に初代『ゴジラ』と初代『ウルトラマン』のパロディネタが非常に多かった。これ若い子は解んないんじゃないかぁ~?……と思いつつもこの手のパロディネタが分かる層って今60歳ぐらいじゃないかと。
最後にちょっとネガティブな感想を書いてしまうが、加奈子の祖母がバカな若者に轢き殺されるシーンは観ていて本当に胸糞悪かった。
お盆で祖母に久しぶりに会ってから観る映画ではなかったなぁー(’A`|||)
予告編はこんな感じ↓
煽り文句でキングコングとゴジラに触れているが、ここ数年で両者とも見事な復活を遂げた。
ガメラも復活しないかなぁー(*´Д`*)
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コメント
特撮好きの大人たちが悪のりして作った作品だよね、これ?
悪のりして作った作品>
多分そうです。もしくは、庵野監督のリフレッシュのために必要だったんじゃないでしょうか?
意外と、特撮シーンの出来はいいんですよ。冗長だけど。