小説の感想・紹介です。
作者:フィリップ・K・ディック 翻訳:大森望
出版社:早川書房
文庫:509ページ
内容紹介:米ソの全面戦争により地球全土は荒廃、わずかに残るのは戦い続ける両軍の兵士だけとなった世界。米軍が投入した“新兵器”によって戦局は大きな転換点を迎えていた……。「スクリーマーズ」のタイトルで映画化されたディック短篇中屈指の傑作である表題作、特殊能力を持った黄金の青年を描く「ゴールデン・マン」(映画化名「NEXT-ネクスト-」)、本邦初訳短篇「戦利船」ほか、戦争をテーマにした全9篇を収録する傑作選 [収録作品] 「たそがれの朝食」 「ゴールデン・マン」 「安定社会」 「戦利船」 「火星潜入」 「歴戦の勇士」 「奉仕するもの」 「ジョンの世界」 「変種第二号」
(Amazonの商品紹介より抜粋)
本書は、SF小説の大家フィリップ・K・ディックの短編から「戦争」をテーマに収録。
古いSF作品を読むのにネックなのが文章の難解さだが、本作品は「新訳」と銘打っているだけあってかなり読みやすい。
「おそらくSFのほとんどのアイディアは、フィリップ・K・ディックがやってるんじゃないか?」
、と言いたくなるぐらい色んなバリエーションがある。ミュータント、核戦争後の荒涼とした未来、タイムスリップ、タイムパラドックス、宇宙戦争、ロボットの反乱……etcと実に多彩。
今読んでも全く色あせない面白さがある。
しかし9篇も収録されていれば、面白い作品とそうでないのもあったなぁーてのが正直な感想。
個人的に面白いと感じたのが、表題作の「変種第二号」と「ゴールデンマン」と「奉仕するもの」の三篇。
この中でも「変種第二号」は「スクリマーズ」というタイトルで映画化されている。あの「ロボコップ」のピーター・ウェラーが主人公を演じていて、低予算のSF映画ながらなかなかの傑作です。
映画とは細部、特にオチの部分が異なるのだが
「人間の作り出したロボットによる予想の斜め上をいく反乱」
、を不気味に描き出している。
「変種」の種類の違いというよりは、演出や「見せ方」の違いだと思う。
短編集で気軽に読めるので、秋の夜長のお供にどうですか?
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