「パラサイト・クリーチャーズ」感想。 ~山小屋でバナナを食べながら泣いてはいけない~

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 今回紹介する作品はこれ↓

製作年:2013年  製作国:オーストリア  97分 原題:「BLUTGLETSCHER」

出演:ゲアハート・リーブマン、エディタ・マロヴチッチ、ヒーレ・べゼラ―、ピーター・クナーク、フェリックス・ルーマーブリギッテ・クレン、ミシェル・フイス

監督:マーヴィン・クレン

総評:C
●キャラクター………〇、キャラは全体的にたってる。特に政治家の婆ちゃん。
●ストーリー…………〇、この手の作品では珍しく、キャラクター同士の細かいバックストーリーを回収していた。しかしカタルシスのないオチ
●カメラ………………〇、映像は綺麗。景色や人間を撮るのはそれなりにいい。
●音楽…………………〇、如何にもな不気味な音楽で印象に残る。
●怪物…………………△、パペットの出来はそれなりにいい。しかし暗闇とカメラの揺れで誤魔化している臭がすごくする。肝心の怪物の撮り方がいまいち不満が残る

 あらすじ:科学者と共にアルプス山脈で気象調査を行っている、基地管理人のヤネク。
ある日観測機材の修理のために山頂に向かったヤネクは、氷河の一角が赤く染まっていることを発見する。
調査の結果赤い氷河には未知の微生物が棲んでいることがわかり……。

《この作品の印象に残ったところ》
●作品を通して不気味な雰囲気はあった。
●頭はいいが愚か者の科学者たち。
●いまいち消化不良な怪物。
●政治家の婆さんと護衛のルカ(ゴリマッチョなイケメン)の関係。
●「それでいいのか?」と突っ込みたくなる、ラストシーンにおける主人公とヒロインの行動。

ネタバレ注意

《「遊星からの物体X」を自分なりに撮ってみた》
 遊星からの物体X [ カート・ラッセル ]
遊星からの物体X [ カート・ラッセル ]

 これだけハッキリと元ネタが分かる作品も珍しい。オーストリアでもあの名作迷作SF)『遊星からの物体X』は愛されているのだという事が分かる。
 《外界と隔絶された空間で、生物の遺伝子をどんどん吸収して進化する怪物が現れて、人間と死闘を繰り広げる》という非常に分かり易いプロット。
 作品の出来はともかくとして、あの名作を自分なりの解釈で、撮りなおしてみようとした事が伝わってくる。

 オーストリアで撮られた作品なのだが、ドイツ語圏の人って凄い真面目なんだなぁーと思ってしまった。
 この手の作品のお約束通りに、ベタベタに撮ってある印象を受けた。
 恐らく”ホラー”ではなく”不気味・気持ち悪い”に重点を置いて作られた作品。
 不気味な音楽、暗い画面の作り、気持ち悪い怪物、この手の作品のベタな展開、本当に”教科書通りに真面目に作ってある”印象。

 良くも悪くも真面目に作ってあり、どんな物が作りたいのか、またどんな層をターゲットに作ってあるのか非常に分かり易い。
 しかしながら、いまいち盛り上がりに欠けたまま終わってしまう
なんだか色んな所で「あと一歩足りない」のだ。

 惜しい。非常に惜しい。

 寸止めばっかりやられて、ラストも盛り上がりも、カタルシスもないオチで終わる。

 う~ん……雰囲気はあるんだけど、あと一歩届いてない印象なんだよなぁー(;´Д`)

《怪物の出来について》
 CG全盛の時代において、この作品は昔ながらのマペットを使っている。
 それなりに出来はいいし、雰囲気は出てるのだが、暗い上に画面が揺れてどうしても誤魔化している感じがする
 その辺でもう少しだけ工夫が欲しかったかなぁー。
 ちゃちなCGよりは、不気味な質感があっていいんだけどね。
それでもなんだかお茶を濁された感じがして、がっかりする。

 劇中の最初の方でさっさとこの怪物の正体が判明する。
 《接触した生物の遺伝子を吸収して、キメラ生物を作りだす未知の微生物》てのがこのパニックの元凶なんだが、これですんなり納得できてしまうのも『遊星よりの物体X』以降似たような設定の物語が大量生産されたせいだろう。
 『リヴァイアサン』や『バイオハザード』のT-ウィルスもこの系譜だし、最近だと『エイリアン・コヴェナント』でもこの設定を使っている。
 (まぁ、正直『エイリアン』シリーズはこの設定にしなくても良かったとは思う…)
 こういったよく出来た便利な設定を使いまわすのも、話をスムーズに展開出来ていいと思う。

 この作品の感想をまとめると、「それなりによく出来ているけれど、後もう一つ足りない作品
 全体的に詰めが甘いのと、映画に緊張感が足りない。
 もうちょっと張り詰めた雰囲気といいますか、危機感があったらよかったと思う。
 ラスボスがいるわけでもなく、なんとなく救助が来て終わるのと、最後のオチがちょっと納得いかない。
 珍しく登場キャラクター達のバックストーリーを回収していたが、だからといってこのオチだと、人類というか地球の生態系が滅びかねんぞ(; ̄Д ̄)

 えぇんか!それで?

 珍しく人間味のある政治家の婆ちゃんが登場する作品。
この婆さんがやたらと印象に残った、いやもう
ババア!護衛のゴリラ系イケメンのこと好きだったろ!
、なんて感想しか出て来ない。

 なーんか、怪物の詰めが甘かったのと、登場キャラクター達の細かい言動が妙に面白かった印象しか残らなかったなぁー(。・ω・)ノ゙
食べるか泣くか
  ↑婆さん愛のある説教

予告編はこんな感じ↓

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