POVのモキュメンタリ―映画「ケージ・ダイブ」感想・レビュー。 ~本当に怖いのは男女の修羅場~

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 今回紹介する作品はこれ↓

製作年:2017年  製作国:オーストラリア  80分 原題:「OPEN WATER3」

監督:ジェラルド・ラシオナト
出演:ジュエル・ホーガン/ミーガン・ペーター・ヒル/ジョシュ・ポソフ

【あらすじ】
 檻の中からサメの観賞を楽しむ、「シャーク・ケージ・ダイビング」
 その最中に船が高波に襲われて転覆してしまう。
 サメだらけの海に投げ出されたジョシュは、一部始終を録画しようとするが……。

●キャラクター………△、よくも悪くも普通の人。
●ストーリー…………△、特にオチもなにもない。
●カメラ………………?、映像自体は綺麗。しかしPOV形式と綺麗な映像はあわない。
●怪物…………………△、サメです。今作では脇役というか、ただのギミックです。

以下ネタバレ注意

予告編はこんな感じ↓

《サメはおまけ》
 さてこの映画は、POV方式のいわゆる「モキュメンタリ―」と呼ばれる映画です。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』をはしりとした、「なんらかの事件に巻き込まれた個人が、家庭用のビデオ機器で撮影した映像」「後に第三者が公開した」形のあれです。
 

 この手の映画は、クライマックス以外は怪物等は登場しない。
映画の9割は、登場人物が延々とカメラに向かって話しているだけなので、正直どの作品も変わり映えがしない。

 この作品もご多分に漏れず、登場人物の独白が続くだけである。

 ただし、この作品では「ケージ・ダイブ」中に遭難する男女三人が”父親違いの兄弟と、その二人に二股かけてる女”なので、「サメよりもそっちが気になる」といった感じ。

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(みなみちゃんて冷静に考えると、とんでもない女のような気がしないでもない…)

 「女と結婚する気の弟と、それを分かっていて浮気している兄貴と女」の構図です。

 わかりやすい地獄絵図ですね。

 劇中、予想通りの修羅場になるのですが、

「うん、まぁ、勝手にしろや」

、という感想以外浮かばない。

 一応サメの習性について詳しく説明してくれたり、最新式の救命筏がどうなっているのか分かるシーンは面白い。

 しかし全体的に退屈なシーンが多いかなぁー(  ̄っ ̄)

 ケージ・ダイブのサメ観察シーンや、海のシーンは綺麗ですが、それは別に”サメ映画”に求めてないしどうなんよ?、というのがだいたいの感想です。

《POV方式の映画ってどうなんよ?》
 ここでPOV方式の映画について、管理人なりの考えを述べたいと思う。
 
 まずはこの手のPOV方式の映画のはしりであり、管理人が唯一「怖い」と思った映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』について。

 この映画は低予算、さらには家庭用のハンディカムで撮影されたのにもかかわらず、全米で大ヒット。
それをうけて日本でも大プッシュされていました。
 日本全国の映画館で公開され、その下準備としてテレビ局でも特番が組まれていました。

 なんと言いますか「フェイクドキュメンタリーのドキュメンタリー」が作られる、考えてみれば変な状況でしたね。

 その日本のテレビ局が作ったドキュメンタリーが、非常によく出来ており、その中で映画本編では語られない「ブレア・ウィッチ伝説」が詳しく描かれていた。
 
 もちろん、その「ブレア・ウィッチ伝説」なんていうのもやらせの即興なんでしょうが、当時のテレビの影響力や番組制作能力は、今より遥かに大きかった。

 管理人は、たまたまそのドキュメンタリータッチの番組を観ており、管理人の中でこの「ブレア・ウィッチ伝説」の恐怖を共有する下地が出来ていたのだと思う。

 恐怖というのは、けっこうあやふやな感情でしてね、生物が本能的に怖がるのは「落下の恐怖」「火に焼かれる恐怖」の2種類しかないと、以前何かの本で読んだことがある。

 それ以外の恐怖は、実はその個人が所属している・国家・宗教・文化、もっとざっくり言ってしまえば”生活環境”に根差している幻想・脳の勘違いみたいなもんらしい。

 「ブレア・ウィッチ伝説」の「魔女の呪い」なんて確かに、日本人の僕らには知りようがないし、知らなければ恐怖のしようがないわけです。

 この映画を当時観た人は、僕の周りにもけっこういまして、感想をきいた所、「怖い3割・つまらない7割」といった感じでした。

 そして「怖い」と答えた人はだいたい、件のドキュメンタリー番組を観ていた。

 ついでに「薄暗くて木のたくさん生えた場所」が、近くにあるという人ばっかりだった。

 学生で免許持ってないと、どこに行くのにも、歩きか自転車でしょ?

 管理人も当時高校生で、なお且つ犬の散歩で、畑の方に一人で行かなきゃならんかった。

 劇場公開されたのは、冬でその頃の暗くなってからの犬の散歩は、いい感じに気味が悪い。
ああいうのって、どういう訳か、意識しだすと滅茶苦茶怖くなるでしょ?

 そういうバックグランドがあっての怖さだったと、今冷静に考えればそう思う。

 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』以降、こういったPOV方式の「モキュメンタリー映画」はいくつも公開されたが、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の様に、「恐怖の下地を作る」ような企画をやった映画を管理人は知らない。

 そのせいで「POV方式?、だいたいつまんない映画だよね」と言われるのだと思う。

 裏を返せば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の恐怖は、念入りな下準備あってこその恐怖で、決して映画自体の怖さや、面白さだったわけではないのだろう。

 こういったPOV方式の「モキュメンタリ―映画」を楽しむのには、視聴者の方にその楽しむための下地が無ければ、無理だと思う。

 その点この『ケージ・ダイブ』に恐怖を感じる人は、日常的に海に関わる人ぐらいなんじゃないかなー?と思ったりする。

 えっ?今現在、浮気中だって?

 (´・ω・`)知らんがな

 あともう一言だけ言わせて欲しい。

 この映画のエンドクレジットを観ていると、ずいぶんたくさんのスタッフが携わっている。
さらに映像も、プロ仕様である。

 そんだけの技術と人員とお金があるなら、普通の気合の入ったモンパニを撮って欲しい。

 POVは金のない若手が実験的にやるから、魅力的なんじゃないかな…。

【感想まとめ】
総評:E
●サメはおまけ。
●海の映像は綺麗。
●男女の修羅場がメイン。
●サメに襲われるのは9億分の1らしい。

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