ご無沙汰しております。なんだか忙しかったり、体調が悪かったりとブログの更新ができませんでした。コメントくれたかたすみません。
今回紹介する作品はこれ↓
製作年:2017年 製作国:スペイン
上映時間:91分 原題:「Maus」
監督:イエイヨー・ヘレーロ
製作:ヘスス・ウレド
出演:アルマ・テレジク/オーガスト・ヴィトゲントシュタイン/アレクサンドラ・セクサン/サニン・三ラヴィク/エラ・ジャス
【あらすじ】
※Amazonさんからコピペ
閉ざされた森の中、様々な恐怖がカップルを襲うホラー。恋人と共に彼女の故郷を訪れたセルマは、帰路の途中に車が故障し、森の中で立往生してしまう。どうにか脱出を試みるふたりだったが、そこは足元に大量の地雷が埋まる危険地帯だった。
(「キネマ旬報社」データベースより抜粋)
●キャラクター………〇、登場人物が少ない分、キャラクター、役割分担ははっきりしている。
●ストーリー…………?話の進み方がややこしい。分かりにくい上に分かった途端シリアスで重くなる素敵仕様。
●カメラ………………〇、良い。但し、似たような演出が多い。
●怪物…………………△、怪物映画ではない。そもそもあまり出て来ない。チラッと映る姿の造形は、まぁまぁの出来。
※以下ネタバレ注意↓
予告編はこんな感じ↓
有名作品『28週後…』のプロデューサーの名前+コテコテのスプラッター映画『クライモリ』の名前を上げている時点で嫌な予感しかしない(笑)
ついでに配給は、あのニューセレクトだ。映画ファンはその一言でなんとなく察する。
パッケージの煽り文句「広がる地雷原」が実感を持ってくる不思議。
《どんなお話か?》
まず最初に断っておきますが、この映画モンパニ作品でもホラー映画でもありません。
予告編や映画雑誌等の宣伝文句では、いかにも「怪物が登場するホラー映画です」と宣伝されているが違います。
シリアスで重いヒューマンドラマです。
個人的にけっこう気に入った映画なんですが、ネットで感想を漁った感じですと、随分と酷評されている(´;ω;`)
……「”モンスターホラー”を謳っておいておいて、”モンスター”要素なし」ですから叩かれても仕方がないのですがね。
さて、この映画パッケージからは、
「旅先で迷ったカップルが質の悪い男達に襲われる。さらにそこに怪物まで乱入してきて……」
、というプロットが予想される。
しかし、そんな作品を期待すると痛い目にあう。
実際にどんな話なのかざざっと説明しよう。
アレックス(ドイツ人)とセルマ(ボスニア人)は付き合って2年のカップル。
ある日、セルマの里帰りに同行したアレックスだったが、帰りに森の中で立ち往生してしまう。
車は進まず、携帯電話は圏外、人里も離れている。途方にくれる二人。
そんな二人の前に、森の中で仕事をしていた現地人の・ヴーク(おっさん)とミロシュ(若者)が話しかけてくる。
↓
ぱっと見親切そうに見える二人だったが、その二人に対してセルマは、妙に敵意のある態度をとる。
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そんなセルマに反感を持ったのか、二人は態度を急変させ二人に襲いかかって来る。
そこで何かが爆ぜる。
↓
目を覚ますセルマ。
どうやらアレックスの飼い犬が、森の中に仕掛けられていた地雷を踏んで作動させたらしい。
二人組の男達が、アレックスと一緒に瀕死の犬を看ている。
……どうやら二人が襲いかかって来たのは、セルマの妄想だったようだ。
↓
犬に止めを刺す二人組。怒るアレックス。
セルマは二人組の言葉が分かるが、アレックスは分からない。
ヴーク(おっさん)は片言の英語が出来るが、ミシュロ(若者)はさっぱり分からない。
二人組の言葉が分かるセルマが、妙に刺々しい態度の為、いっこうにアレックスとセルマを、地雷の埋まった危険地帯から脱出させる為の交渉がまとまらない。
↓
またもや態度を急変させて襲って来る二人組。
↓
これもセルマの妄想・幻覚。
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この後もセルマの妄想オチが続く。
そして幾たびかの妄想の中で、セルマは二人組の男達が、セルマの父親は近所の人々を殺害している光景を目にする。
セルマもミロシュ(若者)に襲われるが、ミロシュの背後に謎の生き物が……。
(怪物は基本的にのっぺらぼうでぼやけている)
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そして奇妙な生き物が、ミロシュを手に掛けるのを目撃する。
(全身素っ裸ののっぺらぼう。よく見ると女性っぽい。その怪物が何を表わしているか…)
↓
実際に死人が出る・ミロシュが殺されているのが見つかる。
ヴーク(おっさん)の反撃。
↓
アレックスも巻きこまれる。
アレックスは、セルマとヴークの間に入ってなんとか争いをやめさせようとする。
↓
セルマとヴーク(おっさん)が落ち着いた様に見えたので、アレックスはその場を離れる。
ヴーク「お前の家族を殺したのは俺かもしれないぜ…」(ニチャァ)
セルマ「………」黙って撃ち殺す。
↓
銃声を聞いて戻ってきたアレックス、その場を見てドン引き。逃げるアレックス。追いすがるセルマ。そして爆発する地雷。
↓
場面は変わりどこかの都会。
アレックスが映る。どうやらバーベキューパーティーの会場に向かっているらしい。
スマホで友人と楽しくおしゃべり。
↓
突然の爆発。混乱する人々。どうやらテロのようだ。
アレックスの背後にぼやけた女性のシルエット。そのシルエットは恐らくセルマ。
―END—
《ザ・シリアス映画》
↑なんだかややこしい。これは管理人の文章のせいではなく、本当に「なんだかややこしい」構成になっています。
なんだか恐ろしい出来事が起こる
↓
セルマの妄想でした。
↓
そのセルマの妄想癖のせいで、事態が悪い方向に転がる。
↓
また恐ろしい出来事が起こる。
↓
またセルマの妄想でした。
↓
また話がややこしい方向へ……。
↓
最終的に最悪な出来事が起こる。
途中からどこまでが妄想で、どこからが現実か分からなくなってくる。
多分、おっさんの最後の一言もセルマの妄想の可能性が高い。
悪人面のおっさんに、やたらと暗い画面、ややこしいストーリー展開と観ていて疲れる作品。
怪物はチラッと出て来るが、いつもの人喰いモンスターではなく、民族の怨み、セルマの怒り、憎しみのメタファーとして描かれている。
「人里離れた山奥で凶悪な犯罪者に襲われたカップル。周りは地雷原で携帯電話も通じない。さらに人喰いモンスターまで現れて……」、といった作品を期待して借りると痛い目に遭う。
(管理人のことです)
「つまんなかったら、『地雷』と合わせてなんか面白いこと言ったろ」、と軽い気持ちでレンタルしてきたら、非常に重い話が始まってしまい、そんなもくろみも消えてしまった。
個人的にはけっこう”ささる映画”だったが観賞はお勧めしません。
分けわからん上に、観賞を終えて非常に暗い気持ちになるからね。
【感想まとめ】
●総評:E (※モンパニではない真面目な映画としてBぐらい付けたい)
●モンパニ・ホラー映画ではない。
●どちらかと言えば、文学的要素の強い真面目な作品。
●配給会社のプロモーションが悪い。恐らく確信犯なのがなんとも言えない。
●色んな意味で「地雷を踏んだらさようなら」な作品。
コメント
遅れながら管理人様のブログ復帰おめでとうございます。
ボスニア紛争をよく知らないと(知ってても)判らない内容。紛争のせいですべてヒロインの妄想で実は最後のシーンだけが現実というのだろか。モンスターのできはいい。
ボスニア紛争をよく知らないと(知ってても)判らない内容。>本作は、その「よく分からない」「理解できない」をヒロインのセルマではなく、恋人のアレックスの眼を通して描いた作品だと思ってます。
モンスターのできはいい。>無駄によくできたクオリティー。しかし怪物映画ではない。
パッケージが違えば良いと思うのだけど。
理解出来ないではなく、理解しようとしないのでは。セルマの心に寄り添うでもなく自身の正義感を押し付けてるような。最後には、すてなげて逃げる。
次の彼女や彼女の友人が殺されても。
のらさん>コメントありがとうございます。返事が遅れて申し訳ない。
セルマの心に寄り添うでもなく>あまりにも酷い経験をしていると、平和な国で幸せに育った人間には、寄り添い様がないのかもしれません。
自分がもしアレックスだったとして、どうしていいのか、やっぱりよく分からないと思う。
パッケージが違えば良いと思うのだけど。>B級ホラー枠ではなく、ヒューマンドラマ枠で宣伝した方がいいと思う。