今回紹介する作品はこれ↓
……うもぅ…熊デカ過ぎだよぅ…。
製作年:2006年 製作国:アメリカ
上映時間:87分 原題:「SAVAGE PLANET」
監督:ポール・リンチ/アンドリュー・ワイルド
製作:イジドア・K・ムサラム
出演:ショーン・パトリック・フラナリ―/サラ・ダニエル・マディソン/ケヴィン・ハンチャード/ジョエル・S・ケラー/リーガン・パスターナク/ロマン・ポードラ
※監督のポール・リンチは『ロボコップ』や『スター・トレック~』シリーズを手掛けている。…が、本作の出来は……。
主役を演じているショーン・パトリック・フラナリ―は、
『新トレマーズ ~モンゴリアン・デス・ワーム襲撃~』等B級映画の常連。
【あらすじ】
2068年地球は深刻な環境汚染により人類の生存には適さない星と化していた。地球環境に似た惑星”オキシジェン”を発見した人類は調査チームを派遣する。保安部に務めるケインも社長と科学者の護衛任務の為に惑星”オキシジェン”に赴くが、その惑星には恐ろしい獣が潜んでおり……。
●キャラクター………△、演じている俳優が中年ばっかり。若者も爺さん・婆さんも出てこない。一番特徴のある俳優が、一番最初に退場する。
キャラが被っている率が高い。(白人女性のインテリキャラが三人も出ている)
●ストーリー…………△、謎のSF要素あり。内容ははっきり言ってグダグダの一言に尽きる。
転ぶと大抵大惨事になって話が動く。
なめとんのか。
●怪物…………………△、設定では地球の古代熊に近い生物。一応宇宙生物。爪が長く群れで行動するらしい。見かけは地球の熊と一緒。演じているのは本当の熊。部分的に手の模型を人間が動かしている。模型パートは作り物感が凄い。本物の熊は可愛い。撃たれてゴロンとひっくり返る様はとても可愛い。映像は使い回し。
●小道具………………△、その辺のスクラップで頑張って作った感の小道具が、ある意味凄い。プラスチック丸出しのレーザーガン(※劇中一度も使用されない)だとか、円筒型ストーブとDVDプレイヤーとディスプレイを混ぜたような転送装置だとか、妙に明るい血糊等、少ない予算でなんとかしようとした苦労がうかがえる。
※以下ネタバレ注意↓
予告編はこんな感じ↓
う~ん…この作品は全体的に酷かったなぁ…。
《SFスペースベアーズ》
本作は一応SFである。環境破壊でえらい事になった地球から『スターゲート』的に遠くの星にワープするお話だ。
一応未来のディストピア描写が、チラッとある。
その辺りはコテコテのディストピア物っぽいのだが、さっさと他の惑星にワープしてしまうからあんまり関係ない。
そもそも、本作のクオリティーでディストピア描写を、やっても無駄である。
そして、地球と似た環境の惑星”オキシジェン”で一行を待ち構えていたのは、なんと巨大な熊。太古に存在したヒグマの祖先に似た、現代の熊より爪が長く群れで行動する習性を持った熊だ。
……上記のような無駄に凝った設定はあるが、襲って来るのは普通の熊です。 ついでに惑星”オキシジェン”の環境が、どう見てもそこら辺の森にしか見えないので、SF設定で他の惑星にした意図がよく分からない。
なんらかの理由で山奥に迷い込んだ一行が、グリズリーに襲われる設定ではいけないのか?
監督は『ロボコップ』や『スターゲート~』シリーズに携わっているため、いつも通りになんとなくSFにしてしまったのではないか?
その他にも「”細胞の成長を促進する未知の液体”を採取するのが真の目的~」といった一応SFぽい部分はあるが、やってることはいつもの通りだ。
つまり「人気のない土地で熊に襲われて、脱出手段、通信手段なし、ついでに裏切者がいる」とSF設定が全く活かされていないいつものパターンである。
この、全く活かされていない、意味不明なSF設定が第一のマイナスポイントだ。
続いてキャストについて。
本作では、一人を除いて登場人物が、30~40半ばの白人しか出て来ない。
その中で、顔に刺青のある一番キャラが立っている奴を、序盤に転送装置の事故で退場させる謎采配。
ついでに女性陣は、似たような年齢、似たような髪型、似たようなファッション、似たようなインテリ女性設定(①科学者で社長夫人②医者③秘書)で誰が誰だか分からない。
特徴がなくて分かりにくいに加え、暗がりのシーンも多い。
「この悲鳴を上げてる女誰だっけ?」、となる(笑)
この手のキャラクターの入れ替えが激しいB級映画では、もう少し分かりやすいキャラクター設定・外見にした方がいいと思う。
例えば、一人は黒人かアジア人にするだとか、同じく三人いる兵隊役のおっさんと、医者を入れ替えるとか、眼鏡や白衣で外見を変える等の、もっと簡単にキャラが立った方が良かったんと思う。
主役を演じたショーン・パトリック・フラナリー以外ぱっとしない謎のキャスティング。
これも大きなマイナスポイントだ。
他にも、細かいマイナスポイントが多い。
そんな細かいマイナスポイントが、地平線の彼方に吹っ飛ぶくらい、大きなのがある。
それについては、次章で説明しようと思う。
《何回転んだっていいさ 擦りむいた傷をちゃんと見るんだ 深紅の血が輝いて 君は生きてると教えてる》
※章題~BUMP OF CHICKIN「ダイヤモンド」より抜粋~
前述した大雑把な評価でも触れたが、この映画とにかく登場人物が転ぶと何かが起こる作品だった。
しょっちゅう転んで大惨事になるのが許されるのは、『不思議なダンジョン~』シリーズぐらいだよ。
( ・Д・)<「転んでアイテムをぶちまけた途端にやってくるガンコ戦車系、畑荒らし系、トド系…etc」
( ・Д・)<「転んで割れるツボは今一番大事なツボ」
( ・Д・)<「転んでぶちまけた聖域の巻物が床にひっつく」
正直映画の出来がへっぽこ過ぎてこのまま、「風来のシレンシリーズあるある~」を書いてこの記事を終えたい衝動に駆られるが、もうちょっと『グリズリー・プラネット』の話をしようと思う。
本作は、謎の惑星を、先遣隊が森を切り開きながら進軍するシーンから始まる。
その内の一人が、誤って仲間の手首を鉈で切り落としてしまう。
↓
手首から先が無くなった隊員は足をとられ転倒。地面の穴に落ちてしまう。
底に沸いていた液体に傷口が触れた途端、再生。
「なんじゃ!こりゃ!大発見や!」
、と興奮していたら宇宙熊に喰われる。
↓
場面は替わって地球。
主人公達がワープ装置を使って惑星”オキシジェン”へ。
↓
ワープ装置の事故で一番キャラが立ってた人死亡。
武器や資材が別の場所にワープするトラブル。
よって銀色のレーザーガンらしき物は使われず。
この様に毎度お馴染みのグダグダな展開が続く。
中盤、
主人公がいきなり転ぶ。
↓
転んで頭のあたりに大きな石が…。
頭を強く打って気絶する主人公…。
この時点で唐突過ぎる展開に変な笑いが出るが、観賞を続ける。
その後の展開。主人公と社長夫人がいい雰囲気になり、主人公同僚の警備部門のおっさん気を利かせて自分は女医の方にすり寄る。
( ゚∀゚)「実は転んだ時に足をくじいてしまってな…みてくれ」
↓
そんなやり取りの後、女医崖から滑って転んで大怪我。
女医、休んでるところを熊に襲われる。先程の警備部門のおっさん、仲間の制止を振り切って助けに向かうも女医共々死亡。
↓
終盤、警備部門の黒人のおっさん(既婚・子供あり)が歩いている最中に、何もない場所で足をねん挫・転倒。
「うわぁぁぁ!足をねん挫してしまったっぁぁ!」
…このシーンが本当にいきなり過ぎて吹く( ゚∀゚)
脚本家は、さっきから展開に困ると登場人物を、転倒させている事に気づいてないのか?
それとも本作品の隠されたコンセプトが「七転八倒」なのだろうか?
(↑むかしやっていたゲームのサブタイトルを思い出す…)
なんにしろ、「転んでしまった」で全てを片づける強引すぎる展開に賛否両論だろう。
感想をまとめると、強引過ぎるストーリー展開、キャスティングの不味さ、意味不明なSF設定、演技をする気のない熊…etc、と色々と作りに粗のある作品だった。
強引過ぎるストーリー展開も問題だが、何よりも宇宙熊の襲撃シーンがチャチ過ぎる。
本物のクマの吠える映像
↓
襲われる俳優の一人芝居
↓
クマの手の模型(※ショボいハリボテ)
↓
適当な人体破壊描写、と色々と酷い。
怪物映画において、怪物が襲ってくるシーンが一番酷いというのは、大きすぎる問題だと思う。
サメ映画のやりたい放題ぷりばかり問題になっているが、クマ映画も大い問題である。
管理人の思うところとしては、本物のクマは演技ができない、さらに”怪物”と呼ぶにはルックスが良すぎる、そのため「話があさっての方向に全力投球されてしまう」のが原因ではないだろうか?
……いや、「話があさっての方向に全力投球」にクマ関係ないね。
【感想まとめ】
●総評:E
●キャスティングの段階でミスった感の強い配役。
●謎のSF設定。
●展開に困ったら、登場人物がずっこけると話が動く斬新さ。
コメント
探しても見つからなかったので予告の感想。SFは感じられない。普通の森で何かに襲われているだけにしかみえない。熊はでかいがだいたいマンガかアニメで熊がラスボスだったら、これは中ボスくらいの大きさ。主人公が中ボスの熊を倒した後、ラスボスを知る人が出てきて「いや、奴はこいつの倍はでかい」といって絶望感を煽る。で、実際に主人公がラスボスの熊と対峙すると三、四倍でかい。熊はどれくらいまで大きくなるのだろうか。
SFは感じられない>本編をみても感じられませんから、大丈夫。
熊がラスボス>……もしかして「銀牙-流れ星 銀」の赤カブト?