今回紹介する作品は「ジュラシック・シティ」です。
ロジャー・コーマン監督作品の同名の作品(2001)があるため、ネット上では「ジュラシック・シティ(2014」なんて表記されていたりする。
※マッチポンプ(和声外来語)=自分でマッチを使い火をつけておきながら、火が大きくなるとポンプで消火するように、「自作自演」「やらせ」等の意味で用いられる。
この「ダイナソーinL.A」もそうなんですが、なんで恐竜が逃げ出すのはロサンゼルスなんでしょうね?
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「ジュラシック・シティ」
・製作年:2014年
・製作国:アメリカ
・上映時間:88分
・原題:「JURASSIC CITY」
・監督:ショーン・ケイン
・製作:アンソニー・ファンクハウザー ・製作総指揮:J・J・キム
・出演:レイ・ワイズ/バーノン・ウェルズ/デイナ・メラニー/ケイラ・カーライル/ケヴィン・ゲイジ……。
予告編
「ジュラシック・シティ」:あらすじ
秘密裏に行われた実験により、恐竜が現代に蘇る。
しかし、脱走事故により犠牲者が出てしまう。
司令部は、様子見のために恐竜達を、ロサンゼルスにあるエルクウッド拘置施設に移送する。
ちょうど同じタイミングで、世間を騒がせていた凶悪犯が捕まり、エルクウッド拘置施設に収監されていた。
しかし、不運な偶然にが重なった結果、最悪な事故が起こってしまい……。
飢えた恐竜達が脱走してしまう。
「ジュラシック・シティ」:感想/ネタバレ有
さて今作は、恐竜パニック+監獄脱出アクションの合体という、非常にニッチな需要を狙って作られた作品です。
(※注・個人的な偏見を含みます)
さらに出演俳優が『ツインピークス』シリーズのレイ・ワイズ。
(当ブログ的には「メガ・スパイダー」「アンナチュラル」「ビックバグズパニック」「ヒューマンキャッチャー」、等に出てた人)
『マッドマックス2』のウェス役、『コマンド―』にも出てるバーノン・ウェルズに、いかつい強面の凶悪犯役でケヴィン・ゲージと脇役が無駄に豪華!
名脇役が出演していると映画が締まっていいですが、反面主役を喰ってしまい、誰の目線で物語が進むのか分かり辛くなることもある。
この映画がまさにそんな感じで、主人公は「ポケモンお月見山で低確率で出て来そうな名前」の女子大生なんだが、存在感が皆無。
画面にアップでぬかれる率で言えば、ケヴィン・ゲイジ演じる連続婦女暴行犯のがはるかに多い。
こんなお話。
ここでストーリー展開を、かいつまんで説明説明します。
毎度おなじみ米軍が、生物兵器として恐竜を復活させる。
恐竜を復活させるに当たって、科学技術等の詳しい説明等は一切省いてます。
もう本当に「毎度おなじみの展開」としか言いようがないです。
視聴者も「また米軍か…」と思ってますので、まぁいいです。
↓
予想外の事故が起こったため、研究所にやってくるはずの新しい実験体を、刑務所に一時的に隠すことにする。
ここで今作の胆である「恐竜」+「刑務所」が成立します。
はなはだ強引な気がしないでもないですが、「さすが米軍のお偉いさん。顔が広いぜ!」とでも思っておきましょう。
そして怪しい輸送車は、ロサンゼルスにあるエルクウッド拘置施設へ。
↓
ここで場面は変わり、大学生のパーティー会場へ。
いつものように飲めや歌えやの乱痴気騒ぎ。
いつものアメリカンなパーティーです。
女の子同士の「ぬるぬるレスリング」が開催されようとしたその瞬間!
ご近所に通報されたポリスメンが登場!
なんやかんやあって、主人公達逮捕。
……もう少し「ぬるぬるレスリング」のシーンがあってもよかったんですがね…。
↓
世間を脅かしていた”連続婦女暴行殺人犯”捕まる。
エルクウッド拘置施設へ。
ここで今作の登場人物が揃います。
↓
拘置所に待機していた米軍に、司令部から別の任務が届く。
どうやら別の恐竜が逃げ出したようだ。
現場司令官のタルボット大尉は、部下の半分を率いて恐竜狩りに向かう。
イレギュラーな任務、スキャンダラスな事件の犯人の対応とう、ゴタゴタしているうちに、お約束通りに恐竜が脱走。
↓
看守壊滅、システム故障、脱走した囚人と、生き残りの看守・兵士で事態の解決&脱出を図る。
恐竜との死闘と、囚人たちのドラマが繰り広げられる。
レイ・ワイズ演じる所長、笑いながらマシンガンをぶっ放し、爆死!
一方、逃げ出した恐竜をなんとか退治したタルボットは、街で数えきれないぐらい大量の恐竜を目撃する。
事態の確認の為に、研究所に戻ったタルボットは、司令官の口からとんでもない言葉が飛び出すのを聞く。
なんと一連の恐竜脱走事件は、全て司令官によって意図的に引き起こされたものだった。
その理由が、
街に恐竜を放つ。
↓
皆が困る。
↓
司令官が颯爽と現れて恐竜を退治する。
↓
司令官皆のヒーローに。
「そうなればゆくゆくは大統領になるのも夢ではない…」
酷いマッチポンプを見た!
呆れたタルボット君、司令官をグレネードランチャーで爆殺。
漢タルボット、武器を片手に街に向かう。
そしてその頃、生き残った”ポケモンみたいな名前”の女子大生は、拘置所の屋上から街を眺める。
街は恐竜の群れと、米軍の死闘で破壊されつくしていた。
崩壊した街を眺めながら、
「刑務所が一番安全なんて…」
、と呟いて終わる。
ストーリー展開としては、恐竜パニック映画の本家である『ジュラシック・パーク』にならい、
「小さなイレギュラーが重なって、やがて取り返しのつかない事件が起きる」
、を忠実に踏襲している。
しかし、前述した通りに、脚本に説得力があるようにちゃんと作ってある部分と、適当にぶん投げた部分の落差が非常に大きい。
特に事件が、頭のおかしい司令官によって引き起こされた下りは、唐突でギャグにしか見えなかった。
さらに、警察所長、軍の司令官と、お偉いさんがことごとく爆発・四散するのには笑ってしまった。
ただし、拘置所パートのにクライマックスで、爆破オチが採用されるのは、まぁよしとします(笑)
主人公は本当に空気。
名前が「某ポケモンと一緒だなー」ぐらいの印象しか残らなかった。
《恐竜の出来・映画のギミック等》
恐竜の出来について。
CGのデザインや質感は、低予算映画にしては良かったと思う。
しかし、画面の合成で、CGが浮いているという「いつもの問題」が残ってしまっている。
怪物自体はリアルなのだが、どうしても画面で浮いてしまう。
恐らく、ここからさらに画面に処理を加えて、質感を調整する作業があると思うのだが、どうしてもそこまでの予算と時間が足りないみたい。
その辺が、B級の悲しい所だが、最近この微妙に浮いてるCGが愛おしく見えてきた…。
(重症)
この手の技術は、日進月歩で今はかなりのクオリティの物を以前より安く使えるみたいです。
そうなると、微妙な出来の怪物に優しい笑顔になるという事も、そのうちなくなるかも。
マーク・アトキンス監督<「そんなことは!」
グリフ・ファースト監督<「俺たちが!」
アンソニー・C・フェランテ監督<「やらせない!」
……いや、来ないですね。
メインで暴れる・戦闘シーンのあるのは毎度お馴染みのヴェロキラプトルだけです。
プテラノドンとT-レックスは、画面にちょいと出てくるだけです。
案の定、予告編では「この映画にたくさん出てきます」といった雰囲気を醸し出していますがね…。(まぁ、予想の範囲内ですね)
映画の感想をまとめると、そこそこ観ることが出来るB級映画かと思います。
無駄に濃い脇役が出ていて、主人公は誰だか分んないですけどね(笑)
恐竜の耐久力と、檻のセキュリティがどうなってるのかは、あんまり考えない方向で!
予告編では「恐竜大戦争」とうたってますが、どちらかと言えば監獄という閉じた空間を舞台にした作品です。
もう素直に「監獄アクション+恐竜パニックのニッチな需要にお答えしました!」って言っちゃった方が、正当に評価されると思うのだが、どうだろう?
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡♡ 6/10
●キャラクター………◎
・非常にいい。但し主役は空気。わき役は無駄に濃いメンツそ採用。
・レイ・ワイズに、バーノン・ウェルズと無駄にいい顔の親父が出てくる。
●ストーリー………〇
・恐竜映画のお約束である「偶然の事故が重なって最悪の事態が起きる」を忠実に守っている。
・ただし、事件の根っこの部分は完全なる人災で、頭のおかしい人が絡んでいる。
●カメラ・演出とう………〇
・画面構成や、カット割りはしっかりしている。
・低予算にいては観れないことはないレベル。
●怪物……△
・この手の低予算映画にしては、頑張っていると思う。
・CGの造形・デザインはいいが残念ながら背景から浮いているシーンが多い。
●その他・印象に残ったところ
・「ぬるぬるレスリング」はもうちょっと撮っても構わないんだぜ……。
・脚本のしっかりと作ってある部分と、適当に作ってある部分の落差が激しい。
・ちょっと病んでる人に、権力を持たせてはいけない(戒め)
●ご購入はこちら↓
◇B級の恐竜映画はこちら①↓
◇B級の恐竜映画はこちら②↓
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