今回紹介する作品はこれ↓
パッケージは、無駄にSFテイストが濃くかっこよく見える。
また『ジュラシック・〇〇~』と邦題のついたパチモン映画が出て来たよ……、と思ったら原題も一緒か。
配給はあの『ZOMBEE(ゾンビ―)~最凶ゾンビ蜂襲来~』や『ゾンビレックス~殺人ゾンビ恐竜~』等、修羅道に堕ちた作品ばかり送り込んでくるBROADWAY(ブロードウェイ)
要するに「観賞するなら覚悟してね」、ということか。
わかりました(笑)
製作年:2017年 製作国:アメリカ
上映時間:93分 原題:「Jurassic Expediton」
監督:ウォレス・ブラザーズ
製作:マイケル・ルーリー/ジェフリー・ガイルズ
出演:エドワード・ガッツ/ホイットニー・ニールセン/イーサン・マクダウェル/リンダ・ウォン
「ジュラシック・エクスペディション」:あらすじ
宇宙探査船が、人類が居住できる可能性のある星を探知した。
人類は、調査の為に調査チームを派遣するが、降下した惑星は危険な生物が生息しており……。
●キャラクター………◎、無駄にキャラが立っていて印象に残る。
ただし、キャラクターのインパクトの割には、ストーリーからあっさり退場する奴ばかりだ。基本的にバカしか出て来ない。
●ストーリー…………✖、伏線らしきものは一切回収しない。色々と統合性がとれない。
●怪物…………………〇、低予算映画にしては綺麗なCG(アサイラムよりちょっといいレベル)
キャラクター性もあるが、映画本編ではやや空気。
※以下ネタバレ注意↓
予告編↓
↑だから、B級映画の予告編は『エイリアン・コヴェナント』みたいな音楽にするなって!
《ウェルカム・トゥ・80年代》
本作は全体的に「どこかで見たような画」が続く。
本作は、
「宇宙探索中の船が未知の惑星を発見。調査に向かった探査チームが、未知の生物に襲われる&惑星の過酷な環境、謎のウィルス、さらには、いまいち何を考えているかわ分からないアンドロイドに疑心暗鬼になる」
、といったベタなプロットを基に作られている。
のっけからBGMに合わせて繰り広げられるベッドシーン(乳首もがっつり映すぜ!)。
続いて、調査チームの隊長に抜擢される主人公。
そこから、主人公の過去の因縁話。
(※いかにも伏線ですと出て来たが大したことはなかったぜ)
続いて、酒場でロボットとどつきあい。
(何故?ロボットが、主人である人間にホイホイ突っかかってくるのかは不明だ)
謎の惑星に降下する強襲揚陸艇をじっくりと映し、SFギミックたっぷりの銃をしつこく描写する、といったSF映画ファンには既視感のある映像が続く。
おそらく、監督は『スター・ウォーズ』、『エイリアン』、『トータル・リコール』、『ブレード・ランナー』といった70年代から、80年代のSFが大好きなんだろう。
そういった自分の影響を受けた映画のワンシーンを最新の技術で、自分なりに撮るのは楽しいだろう。
しかし、残念ながらどれも表面的な模倣レベルで終わってしまい、何よりもその一つ一つのシーンのインパクトが強すぎて、全体で観ると、とっ散らかった、何を撮りたかったのかサッパリわからない映画になってしまっている。
なによりも、全体的にセンスが古臭く感じてしまうのは致命傷だと思う。
特に劇中頻繁に繰り返して使われる音楽が、80年代風のロックで、今のデジタル技術を多用した映像とあってない。
大御所メタルバンドのプロモーションビデオに見えなくもないが、観ていてちょっと笑いがこみあげてくるレベルだ。
うん、まぁ、管理人は、ティーンエージャーの時に洋楽のロックとメタルに、傾倒していた時があったので、こういった古臭いロックテイストの音楽は大好きなんだよね。
ただ、それを今の時代に作る、さらには、SF映画のBGMで使うとなると話はちょっと違ってくるよー、という話です。
さらに、この音楽が劇中しつこく使われており、食傷気味に感じる。
たった一作で使われていただけのBGMなのに、頭にすっかり馴染んでしまった。
どうしてくれる(笑)
映画と言うよりは、80年代の洋楽のプロモーションビデオとみたいだった。
映画にしろ、プロモーションビデオにしろ、なんともセンスが古臭い作品なのは間違いない。
《映像・ギミック》
さて本作品の配給会社はあのBROADWAY(ブロードウェイ)だ。
かのZ級映画『ZOMBEE(ゾンビ―)~最凶ゾンビ蜂襲来~』や『ゾンビレックス~殺人ゾンビ恐竜~』を配給していた会社だ。
レンタル屋でパッケージの裏を眺め、BROADWAYの文字を見た時に、色々と覚悟を決めて観るのが、映画ファンとして正しい態度なんだろう 。
管理人も、その辺りの覚悟、まぁ、Z級を観る事になっても泣かない覚悟というのだろうか?
なんにしろ、その辺を計算に入れて借りてきた。
案の定、低予算映画でツッコミどころ多数だったが、意外な事に(低予算映画にしては)特撮や役者の演技、基本的なカメラワークは悪くなかった。
(※B級映画ばっかり観ている人間の感想です)
特にハイテク装備の数々の描写や、この映画のキモである進化した恐竜の描写は悪いどころか、むしろ褒めたいぐらいの出来だった。
メインの恐竜が後半までサッパリ出て来ないのは、笑うしかないが(笑)
この恐竜、『ジュラシック・パーク』に出て来たディロフォサウルスみたいなエリマキ恐竜と、エイリアンを合わせた様なデザインで、なかなかカッコいい。
ついでに『プレデター』のみたいに姿を消せる欲張り仕様。
つーか、「姿を消せる恐竜」設定は『ジュラシック・ワールド』のインドミナス・レックスなんだろうなぁー。
安易なパクリモンスターかと思いきや、群れで役割分担を行いながら狩りをする、ただし、死んだ仲間の死体は共食いする、尻尾をサソリみたいに持ち上げて威嚇する、などなどキャラクター性を感じさせるクオリティーだった。
メカの描写もよかった。
ただし、やっぱりセンスが古臭い、と言うよりは
「今時その演出を恥ずかしげもなくやるか?」
、といった感じ。
たとえば、ハイテク銃の描写について。
円形と立方体を組み合わせた、ロボットアニメで使われる様なデザイン。
この銃のセーフティーを解除すると「チュイィィィン…」(低い起動音)→発射すると青い光線が出て、その際の音が「ピュイーン!」「バチューン!」と来た日にゃ、感動のあまり、体中から色んな液体が出そうになった(笑)
それを堂々とやっちゃうんだ!(白目)
『エイリアン』のスマートガンを連想させる、大型の連結式の2連砲を、腰だめに構えて連射するシーンもある。
青い光線をばらまきながら、
「チュイン!チュイン!チュィィィイイン!」ときたもんだ。
かっけー!
以上の様に、観ていて楽しい&SFファンなら誰しも撮りたくなるシーンがいっぱいある。
ただし、全体的に古臭い&まとまりがなく、何が撮りたいかよく分からない。
ついでに、登場人物がバカしか出て来ない。
この手の映画で、そういった指摘をするのも野暮なんだが、しないのも寂しいのでツッコんでおきます。
●透明になれる肉食恐竜が、うろついていると分かっているのに、「発砲許可」がどうのこうの言い続ける隊長。
→ヤバいって分かりきってますやん。
●ヤバい生物だらけで、隕石が降り続けている未知の惑星で、単独行動をしたがる登場キャラクター達。
→どうして、一人で大丈夫だと思うのか聞きたい。
●どう見たって、精神的に不安定でイライラしている奴に、刃物を使わせる。
→駄目じゃん…。
●部下が全滅しているのに、調査を続行。
→ブラック会社かな? 宇宙船が無事なんだから、一回帰ろうぜ。
共感出来ないを通り越して、後半どんな無茶をしでかしてくれるか、段々と楽しみになってくるぐらいだ。
あと、アンドロイドのお姉さんが、最初の方は声にわざとらしいエコーが掛かっていたのに、だんだん、フツ―に人間ぽく話してないかい?
感想をまとめると、低予算のB級映画だと割り切って観賞すれば、それなりに楽しい作品。
叔父さんを拉致った光源がなんだったのか、アンドロイドが物凄く人間臭いのは何故かだとか、水に含まれていたのは、なんだったのか、等々伏線らしきものは全て回収せずにぶん投げる悪魔仕様。
その手のぶん投げっぷりを許容できるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかの分水嶺だと思う。
ただし、新作料金で借りるのはお勧めしない。
PS:監督は全身タイツみたいな衣装のアンドロイドのねーちゃんを撮りたかっただけだと思う。
監督はハリウッド版の『攻殻機動隊』で、草薙素子が白人なのは納得いかなかったんだろうなー。
妙なフェチビデオにしか見えんのは残念だがね。
【感想まとめ】
●総評:E
●安定の提供:BROADWAY(ブロードウェイ)作品。
●全体的にセンスが古臭い。
●古典SF映画をリスペクトしているともとれる。
●数々の伏線は一切回収されない。
●B級と開き直って観賞すればそれなりに楽しい作品。
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