今回紹介する作品は「ダスト・ウォーカー」です。
パッケージ裏のあらすじ欄から、清々しいまでのB級感が伝わって来る。ついでに、配給会社がMIDSHIP(ミッドシップ)となれば、否応にも期待値が上がる。
本作は、ゾンビに加えて、エイリアンと砂嵐が襲ってくるとか……。
とりあえず、「(怪物は)一つで十分なんですよ~、勘弁してくださいよ~」、と屋台の親父風に呟いて、僕はレジに向かった。
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「ダスト・ウォーカー」
・製作年:2019年
・製作国:オーストラリア
・上映時間:95分
・原題:「The Dust Walker」
・監督:サンドラ・スキベラス
・出演:ジョリーン・アンダーソン/ステフ・ドーソン/タリーナ・ナヴィ―ド/ハリー・グリーンウッド/ライアン・アレン……etc.
予告編
※予告編でネタバレしているタイプの映画です↓
「ダスト・ウォーカー」:あらすじ
「とある田舎町で保安を努めるジョアン。キャリアのため別の場所に引っ越そうかと、同居するシングルマザーの妹と相談しながら過ごしている。
そんなある日、町の発電所が故障してしまう。修理に出向いたはずの職員の姿はなく、時を同じくして、町では行方不明者が増加する。さらに、失踪していた住人が理性を失って暴れはじめ、人々を襲い始める。
ジョアンは事態の収拾のため、奮闘するが、原因はいっこうつかめない。さらに、町の外には巨大な砂嵐が発生し、住民は町に閉じ込められてしまう。
そして、町の中に得体のしれない“何か”が徘徊し始めて……」
「ダスト・ウォーカー」:感想/ネタバレ有
う~ん、パッケージと予告編で、物語の核心部分を全部ネタバレするたぐいの作品だったぞ。
その「ネタバレ」部分が、いわば「呪いのビデオから逃れるには、一週間以内にビデオをダビングして、他の人に見せる」レベルのやつ。
「それを言っちゃったら、作品が台無し」レベルを、パッケージと予告編で全部ネタバレしている。
勘弁してくれと、思いつつ、最近の映画みたいに、何でもかんでも説明・「言語化」しないからパッケージと予告編で、「こういう話なんです」と説明しないと分かりにくいかも。
バランスって難しいね。
寄生された宿主が、死ぬ際に管のような物が生えてきて、花粉みたいなものをまき散らして、感染者を増やすのだが、花粉みたいなもの=ダスト=「ダスト・ウォーカー」という解釈でよろしいか。
確かに、「ダスト・ウォーカー」だった。
一昔前のSFホラーテイスト。
「ゾンビ映画」+「エイリアン」+「砂嵐の自然パニック」みたいな、B級感溢れる、「思いついた要素全部入れました」、という感じではなく、それらの要素が全部一つにまとまっている作品。蓋を開けてみたら、一昔前の「SF侵略もの」みたいなノリ。
「宇宙人」が、本当に「宇宙人」過ぎて、何を考えているのか、サッパリ分からず、劇中で、それを登場人物に台詞で説明させたりしない。「未知のものとのファーストコンタクト」が淡々と過ぎていく様を描いている。
ついでに、アサイラム作品や、ジェフ・リロイ監督作品のようにふざけた作品ではなく、低予算ながら真剣に作ってある。
視聴者を怖がらせよう、謎解きに参加させようとする気概は伝わって来るが、正直今のテンポの速いホラー作品や、ド派手なSF映画に慣れてしまった視聴者には、物足りないと思う。
ああいうのは、昔のアナログの、荒いフィルムだったからこそ出来た表現であり、今のクリアな画質で、細身のジーパンをスタイリッシュに着こなすねーちゃんが主役だと、“何かが違う”のだ。
作品のオチ。
パッケージと予告編で、「片方のモンスターが、もう片方のモンスターを追ってきた」という、核心的なネタバレをくらう本作。
もう20年近く前の作品だが、「アンデッド」というゾンビ映画があってだね……。
作品のコアの部分がそれと同じ。
「地球に落下したヤバいやつを、宇宙人がこっそり退治していた」というやつですね。
昔懐かしの「ヒドゥン」とか「クリッター」みたいなB級ホラーです。考えようによっては「ウルトラマン」もそんな話かも(笑)
会社の新人がミスをコッソリ修正して、後で先輩にガッツリ怒られるみたいなアレ。ミスした事よりも、報告しなかったのが原因でガッツリ怒られる感じに似てる、あのシュチュエーション。
なんだか、例によってギーガーのパチモン臭いエイリアンが、必死子いて感染者狩って回るのが、そんな風に見えてしまって微笑み不可避。
最後に、積み上げた感染者の死体を、口から炎出して焼いてる様子なんて、まさに「証拠隠滅」って感じで笑える。
こいつ、この後会社の先輩にスゲー怒られたんだろうな……。
ミッドシップ配給のB級ホラーにしては、いい作品だったと思う。
ただし、「一昔前のSFを今の機材で撮ったらどうなるんだろう?」と気になる人は観てもいいだろうが、それ以外の層にはあんまりお勧めしない。
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡ 5/10
●キャラクター………△
・キャラクターの関係性が分かりづらい。
・エイリアンも含めて、仕事熱心な奴が多い。 真面目かっ!
●ストーリー………△
・何が何だかよくわからない。説明的な台詞を排除している。
・いくつか回収されてない設定もありそう。「もう一人ほしい」の下りとか。
●カメラ・演出とう………○
・映画に必要な基本的な撮影技術・機材は揃っている感じ。その辺は観ていてストレスがない。
・音楽は頑張っていた。 不気味な感じが出ている。
●怪物……○
・ゾンビが増える基準が分からん。
・エイリアンの方は、例によってギーガーのパチモン。火を噴いたのは笑うところか?
●その他・印象に残ったところ
・結局、フランクってどいつだったのかイマイチ分からない。
・↑序盤に犬にフランクに話しかけていた奴か?
・ホラー映画に出てくる、フランクなフランクさんって、なんでいつもすぐ死んでしまうん……。
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