今回紹介する映画は「ダイナソーinL.A」です。
出てくる恐竜がなかなかマニアックです。それ以上に、トリート・ウィリアムズ、ロニー・コックスといい顔の親父を取り揃えた映画です。
作品情報・スタッフ・キャスト
「ダイナソーinL.A」
・製作年:2013年
・製作国:アメリカ
・上映時間:89分
・原題:「AGE OF DAINOSAURS」
・監督:ジョセフ・J・ローソン
・脚本:ハンク・ウィーン.Jr
・出演:トリート・ウィリアムズ/ロニー・コックス/ジリアン・ローズ・リード/ジョシュ・アレン……etc.
※
予告編
「ダイナソーinL.A」:あらすじ
遺伝子操作で蘇った恐竜たちがロサンゼルスで暴れまわるパニックアクション。
ジェネティ・シャープ社の実験により恐竜たちが蘇る。
しかし制御に失敗し恐竜達は人々を襲い始める。
たまたまパニックの現場に居合わせた、消防士のゲイブは娘とはぐれてしまう。
SWATチームが突入するが歯が立たず遂に恐竜達はロサンゼルスの街に逃げ出してしまう。
米軍も出動し人間と現代に蘇った恐竜との死闘の幕が切って落とされたのだった…。
感想/ネタバレ有
先ずは、この『ダイナソー inL.A』がどんな映画?かと説明しますね。
よくある『ジェラシック・パーク』のパチもんシリーズですね。
特撮技術は、本家と比べるまでもなくちゃちですが、お話のスケールとしてはこっちのがでかかったりする。
さらに、T-レックスの代わりにケラトサウルス、ラプトルの代わりにカルノタルスを採用したりと、妙に渋いラインナップ。
そいつらを、ロサンゼルスの街中に放り出して派手に暴れさせる。
ついでに、警官隊と米軍と派手な戦闘をやってくれてる。
それだけで、恐竜好きで怪物映画好きなブログ主としては満足です。
なぜなら、本家の『ジェラシック・パーク』は戦闘シーンが少ないんですよね。
恐竜が”子供たちの憧れ”であり、それに対して銃をぶっ放すのはNG!、
………そういうの意見は分かるし尊重するが、本格的に戦って欲しい!てのも本音としてあるのではないか?
そんな一部のマニアの期待に応えるための映画。
うん、今適当に思いついた。
続いて、この映画を雑にまとめるとこんな感じになります。
”暇なお金持ちの道楽産業で恐竜を復活させたら、案の定失敗してロサンゼルスが大パニック”←の一行で終わるのも寂しいので、もうちょっと詳しく書いていきます。
冒頭、恐竜の制御実験が、どこかで行われている。
(一応日本という設定ですが、演じているには多分中華系)
まだ時期尚早だという意見もあったが、実験主任のダグは期日が迫っているため実験を強行する。
(サラリーマン、辛いです!)
しかし実験は失敗し、死傷者が出てしまう。
↓
ここで場面は変わる。消防士のゲイブ(主役)は娘のジェイドを連れてジェネティ・シャープ社を訪れる。
ゲイブ弟のサムが、ジェネティ・シャープ社の新商品の発表会に招待してくれたからだ。
ジェネティ・シャープ社は、極秘実験で恐竜を蘇らせることに成功していた。
しかし、制御装置に欠陥があったままだったため、恐竜が逃げ出してしまう。
恐竜が外に逃げ出さないために、ビルごと閉鎖してしまう。
はぐれたジェイドを探すゲイブ。
↓
娘を探す過程で、恐竜の首を消火用斧でぶった切るゲイブ。さすがは消防士!
※なんだか凄くあっさりと描写されてますが、怪物に肉弾戦を挑んで生き残ってる人って少ないんですよね。ましてや勝ってるとなるとほぼ皆無に等しい気がする。
ここでやっとロサンゼルス市警がSWATチームと共に到着する。
しかし、会場から逃げ出した人の「恐竜が暴れている」発言は無視される。
(※この時にゲイブと警察の指揮官とのやり取りが間抜け。「恐竜がいるぜ、助けてくれ!」と携帯で話すゲイブ。信じない警官。ゲイブからメールが届く。そのメールには恐竜の写真が添付されていて、No Joke! の一言。で、それで信じる警官。→突入の流れ う~ん、いいのか?そのやり取り)
アホらしいやり取りの後、SWATチームが突入するが、大型のケラトサウルスの皮膚を銃弾は貫けずにボコボコにされる。
この戦闘でSWATチームが手榴弾を使ったもんですから、外に待機していた別チームが
「次の作戦の合図だ!」
、とビルへの電源供給を止めてしまったから、さぁ大変だ!
警察がビルの電源を止めたせいで、恐竜の生産管理設備の電源が停まる→眠っていた恐竜たちが目覚めてしまう。
目覚めた恐竜たちはロサンゼルスの街へ。
↓
ここで場面は変わり、なんとか車までたどり着いて逃げ出すことに成功したゲイブ父子とサム。
どういった訳か、街の中は他にもたくさんの人たちがいるのに、ピンポイントでゲイブの車を追っかけるケラトサウルス。
ガス欠になる車(事前にフラグはあった)。ゲイブ弟のサムがバイクで囮になるがあっさり喰われる。
※この映画展開が早いと言いますか、フラグ回収が異常に早い(笑)
↓
このしばらく、離れたり合流したり、その度に親子喧嘩をするゲイブとジェイド。
この喧嘩する親子の周りで恐竜に喰われていくモブ。
改めて対比するとけっこうシュールな地獄絵図が展開していると思う。
ここら辺のシーンの画面の隅っこの方で、警官隊がガンガン犠牲になっている。
どうやら、恐竜の皮膚が厚すぎて銃弾が効かないみたいだ。
※猛獣に接する環境
で生活している人以外には、全く必要ない知識だが、警察や軍隊が持ってる銃って基本的に人間を〇すために最適な威力調整がなされているため、大型の獣、例えば熊や象なんかにダメージを与えるようにできてないんですよ。
熊や象の皮膚や筋肉は人間とは衝撃に対する強さが全く異なるので、銃弾が貫通出来ずに”潰れてしまう”わけです。猛獣からしたら痛いし、打撲傷みたいな感じにはなるかもしれないが、死に至ることはないわけです。
↓
この間にもなんやかんやで恐竜が暴れたり、親子喧嘩したり、マスコミのヘリがぶん投げられたりする。
本社ビルに残って事態の収拾にあたっていた会長も、部下に促されて脱出する。
会長がヘリからふと下を見ると、とあるビルの屋上にジェイドが取り残されている。
会長がパイロットに命令し、ビルの屋上に着陸して助けに向かうと、
「まだパパが下にいる」
「パパは消防士だから決して人を見捨てないし、娘の私もそう」
……さっきまで散々仕事の事でパパに嚙みついていた気がしますが、どの口がその台詞を言うか。
1000歩譲って”思春期の娘”なんでしょうがないとしても、歩くのも辛そうなお爺ちゃんに頼むのはよせ!
二人でゲイブを助けに行くが、その帰りに遂に会長が動けなくなる。
「先に行け!」
、とおっしゃる会長をあっさり置いていく父娘。
思い切りいいなぁー、おいっ!Σ(゚д゚;)
会長は、会長で階段で一人最期の台詞を考えているし。
で、末期の台詞が、
「ロックンロール…」
ときたもんだ。
このビルで脱出して終わりにしてもよかったのだが、もう少し続く。
↓
ビルを脱出する際に娘がビルから落ちる。
それを空中でプテラノドンがキャッチ。
「Hey!タクシーあの、前のプテラノドンを追ってくれ」
とばかりにヘリのパイロットに追跡を命じるゲイブ。
プテラノドンが降り立ったのは、あの”Hollywood”サイン。
そっこーで退場するパイロット君
(フラグ回収の速さ半端ない!)
素手でプテラノドンに立ち向かうが、歯が立たないゲイブ。
プテラノドンをヘリに誘導して、
↓
ヘリごと突き落とす。
”Hollywood”サインの上で、熱いハグを交わす父娘。
ロサンゼルスの街では、到着したヘリ部隊が恐竜を次々に掃討している。
そんな光景を映しながら、なんだかハッピーエンドの雰囲気で終わる。
~END~
◇この映画のよかった点。
CGやストーリー、物語としての説得力なんかよりも、監督が撮りたかったものを最優先したんじゃないかと思う。
●カルノタルス=こいつは本家『ジェラシック・パーク』の原作2作目の方のラスボス的なキャラだったりする。
原作小説では、カメレオンの様に周囲の風景に体色を真似て擬態させる能力を持ってた。
ここまで書いて気づいたが2015年に公開された『ジェラシック・ワールド』に出てくるインドミナ・レックスの登場でやっと、原作2のラスボスが表現されたわけですね。
ちなみに、この映画ではそんな擬態能力はありません。
ついでにかのロジャー・コーマン監督が、『ジェラシック・パーク』に合わせて撮ったパチもん映画の題が『恐竜カルノザウルス』だったりする。
そしてそんなB級パチもん映画が、20年くらい前には、TVで深夜にやっていたという事実。
●警官隊とドンパチ。
本家『ジェラシック・パーク』シリーズでも銃を持った登場人物は出てくる。
1のパークの管理人であるマルドゥーン氏しかり、2の恐竜ハンターたちしかり、3の護衛の対物ライフル持ちの人しかり、4の警備部隊しかり、とけっこう武装した人は出てくるのだが、何故かあっさりやられるか、逃げの一手になってしまい、戦闘らしい戦闘を見せてはくれなかった。
その点この映画は、がっつり戦ってくれます(*´Д`*)
これだけで、この映画を観る価値は十分にあると思う。
CGがショボい!?
そんなのはひとまず置いておけ!
文字通りのやる気を見せたことを評価すべきだと思う。
うん、銃のマズルフラッシュまでCGなのも見ようによっては、味がある(かもしれない)
●プテラノドンと高所でバトル。
翼竜とのバトルのアイデアは、本家一作目でも候補には上がっていたらしい。
しかし、技術的な面で諦めたとかなんとか…。
”Hollywood”の看板のに翼竜が巣を作る……そんな誰しも思い浮かべる妄想を実際やってしまう、思い切りのよさ!
いや~いいっすねー。
後は技術と資金の問題だと思う。
●服屋でカルノタウルスと死闘。
本家2作目の『ロスト・ワールド』で丈の高い草むらの中を、ラプトルがかき分けて襲ってくるシーン。
そのシーンのオマージュなんだけど、草=並んでる服 ラプトル=カルノタウルスでやってる。
けっこう面白いシーンだと思う。
ついでに親子揃って恐竜を、角材とホッケーのスティックでタコ殴りにする。
ちょっと待て(((( ;゚д゚)))
●バーでくつろいでいた人たちの前に、急に恐竜が突っ込んでくるシーン。
床でツルッとなる恐竜に若干萌えてしまった。
●マスコミのヘリを噛んでから投げ飛ばす。
うん、スカッとしたよ(゚∀゚)
やっぱりヘリはこうならなくちゃね!
(※怪物映画愛好家の偏見です)
◇キャストについて。
●ゲイブ役を、『ザ・グリード』で謎の巨大深海生物と対決する密輸船船長役を演じた、トリート・ウィリアムズ。
ジェネティ・シャープ社の会長を『ロボコップ』で悪役のオムニ社幹部役を演じた、ロニー・コックスが演じている。「物語の黒幕のお偉いさん…」という点では共通しているが、本作ではいい人。
お二人とも歳をとったなぁー……。
総評・感想まとめ
『ダイナソーin.LA』 総評C~B
個人的には”監督のやりたいこと”が、”俺のみたい恐竜”にかなりマッチしてたんで凄く楽しめた。
技術力や資金なんて知ったことか!俺は撮りたい事に挑戦するんだ!ストーリーの統合性?しらんなぁ~そんな監督のこの映画に対する熱い姿勢が伝わってきた作品。
ちゃちなCGは貴方の脳で補完をかけたらいいと思う。
(それでもこの手の低予算映画の特撮も10年前に比べれば段違いだと思う。技術の進歩は偉大なり)
大手大作では絶対やってくれないシーンを一通り観たいという方にはお勧めです。
ロックンロール……
コメント
ダイナソーファイターのリメイクかと思ったら違った。恐竜対人間の全面対決はよかった。このスタッフでダイナソーファイターのリメイクを作ってほしい。
ダイナソーファイターのリメイクかと思ったら違った。>あの作品はある意味レジェンドですからね…。
恐竜対人間(素手)の全面対決。
今思い返せばそもそもコンセプトに無理がある作品。