ジョージ・A・ロメロ監督・「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」感想・レビュー ~ゾンビの出てくるメディア論・ジャーナリズム論~

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ゾンビ・感染系。

今回紹介する作品はジョージ・ロメロ監督の「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」です。

全編にわたってPOV方式の映像が多様されており、やや実験作ぽい。

正直な感想としては、かなり「説教臭い」と思う(笑)

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作品情報・キャスト・スタッフ

製作年:2007年
製作国:アメリカ  
上映時間:95分
原題:「DIARY OF THE DEAD 」

監督:ジョージ・ロメロ、「ゾンビ」「死霊のえじき」
製作:ピーター・グルンウォルド/アート・スピゲル/サム・イングルバード
製作総指揮:ジョン・ハリソン
出演:ミシェル・モーガン/ジョン・ロバーツ/タチアナ・マスラニ―/アラン・ヴァン・スプラング/エイミー・ラロンド/ジョシュ・グロス……etc.

 

予告編

ダイアリー・オブ・ザ・デッド』:あらすじ

ゾンビ映画の巨匠ジョージ・ロメロによるゾンビ映画。
「死者がよみがえって人を襲っている」というニュースを聞いた、大学生の一行。卒業の課題のための映画を撮っていた一行は、そのまんまドキュメンタリーを撮影し始めるが……。

 

 

 

感想・ネタバレ有

POV方式で撮られたゾンビ映画。

相変わらず、説教臭い。つまり暗い

それでも面白いのが、ジョージ・A・ロメロ作品である。

「カメラに映ればなんでも作品になる」

ジョージ・A・ロメロ流の「メディア論」「ジャーナリズム論」とも言える作品。
早い話がいつもに増して「説教臭い作品」であり、同時に「いつも以上に暗い作品」である。

本作品のストーリーは、卒業試験の課題でホラー映画を撮っていた大学生一行が、「ゾンビパンデミック」に遭遇し、そのまま記録用のドキュメンタリーを撮り始めるというものだ。

アマチュアの大学生が家庭用の機材で撮っている設定のため、手振れの酷いPOVだ。映像に酔う人はこの時点で楽しめない。
その他に、ゾンビに囲まれる様を俯瞰的な映像で観たい人には、向いていない作品だ。

ジョージ・A・ロメロが全編にわたってPOV方式で撮影したのは本作のみである。
カメラを回しているのが、主人公で「撮ってないで、目の前の人を助けるか、戦えよ!」と思うのも一度や二度ではない。
そういった展開を見せることで、「ジャーナリズムとは何か?」という問いかけを発していたのではないだろうか?

そんなわけで「ゾンビパンデミック」の開始から、急激に被害が拡大していく様子が描かれている。いつもの通り、ゾンビが人を襲い、混乱する社会が描かれている。
その合間合間に、「あ、これは社会風刺だろうなぁー」と思わせるシーンや、台詞が入ってくるのだが、その社会風刺画いつもに増して、辛辣で容赦がない

撮られた時期のアメリカ社会が、アフガニスタン&イラク派兵。さらには、2008年のリーマンショックに向けて、現在進行形で実体のない投資・投機が行われていたころだ。

そういった、社会現象に対して、当時のマスコミがどんな報道をしていたか?

そして、Youtubeの様なニューメディアが登場し、社会にどんな影響を与えたか…?

正直、ロメロは、けっこう厳しい意見を持っていたんじゃないだろうか?

全編にわたって、「皮肉・風刺・問題提起」しかしていないのは、ある意味凄いと思う。そしてそれが、ぱっと見はホラー映画に見える様にしてあるのは、さすがだと思う。

 

ゾンビはノロノロ派

本作のゾンビはジョージ・A・ロメロらしく、クラシックスタイルのノロノロゾンビである
管理人の個人的な意見だが、近年、色々なキャラクター付けがなされた結果、ゾンビがあんまり不気味ではなくなってしまったと思っている。

ゾンビの不気味さというのは
「人の姿形をしているけど、絶対に意思疎通ができない。何を考えているか分からない」点が大きいと思っている。その「何考えてるか分かんない」奴がそこら中にいて、ノロノロとだが、確実に近づいて襲ってくるのが怖いのだ。
白く濁った眼の「顔の見えない恐怖」というべき、不気味さだ

近年の早く走り回るだけではなく、目をギョロっと「獣のように」に見開いて襲ってくるのは、なんか違うのだ。
その点本作「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」は、ゾンビの巨匠である、ロメロ作品だけあって、ノロノロ動き回る「顔の見えない恐怖」「どこにでもいて、誰しもなる可能性がある恐怖」を堪能できる。

「バイオ・ハザード」をはじめとした近年のゾンビ作品は、ちょっとばかりゾンビも表情が豊かすぎるのと、「恐怖「不気味さ」になってしまっている気がする。

また「嚙まれて感染」する要素も「たぶんウィルスが原因だと思うけど、はっきりとした原因は分からない」方が個人的には怖いと思う。人間は、はっきりしない「正体不明」さが怖いのだ

だいたいの場合、「原因」が分かっていれば「対策方法」が、なんとなく分かってしまうからだ。
「ゾンビ物」で劇中、ワクチンなり、発症を抑える薬なりが開発される場合は、だいたいの場合ウィルスが原因だと、特定されている事が多い。

原因がはっきりしない分、「誰しもそうなる可能性」があり、それが作品の恐怖と、風刺の切れを上げている。

こういったノロノロの不気味な「顔の見えない恐怖」を描けるのは、ロメロ監督ぐらいだ。本当に惜しい人を亡くした

 

 

総評・感想まとめ

総評:♡♡♡♡♡♡ 6/10

キャラクター………〇
・良くも悪くも等身大なキャラクター。

・話の構成上、影が薄い奴と、そうでない奴との差が激しい。

ストーリー………〇
・いつにも増して説教臭い&暗い。
・世の中に対する「皮肉・風刺・問題提起」で構成されている。

カメラ………〇
・「ゾンビ映画」をPOV方式で撮った、やや実験的な作品。POV方式とドキュメンタリー風の作風が上手くマッチしていると思う。
・ただし、わかりやすい「ゾンビ映画」を期待するとがっかりすると思う。

・揺れるので、乗り物酔いしやすい人は、注意。

怪物…………〇
・いつものノロノロゾンビ。
・やっぱりロメロ作品は、こうでなくっちゃいけない。

・ゾンビメイクは流石は本家である。

 

雑多な感想

・POV方式の映像が、ドキュメンタリータッチの本作に上手くマッチしている。

・後期のジョージ・A・ロメロ作品だけあって、かなり説教臭い作品。

・ロメロなりの「メディア論」「ジャーナリズム論」と呼べそうな作品。

 

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