「GODZILLA 怪獣黙示録」:データー
著者:大樹連司 監修:虚淵玄 出版:角川 214P
アニメ映画「GODZILLA 怪獣惑星」の少し前の世界を描いたノベライズ。
監修は「GODZILLA 怪獣惑星」「GODZILLA 決戦メカゴジラシティ」「GODZILLA 星を喰うもの」で脚本を担当している虚淵玄。
著者はライトノベル作家。本作発売当時はニトロプラスに所属。
角川文庫より発売。214Pと読みやすいページ量の割には、読みごたえがある。
怪獣ファン必読の一冊です。
「GODZILLA 怪獣黙示録」:内容紹介
謎に満ちたアニメ映画「GODZILLA」の前史として書かれた作品。
怪獣映画ファンにとって、なかなか読み応えのある作品だと思うので、ネタバレは極力避ける方向で書きます。参考までにアニメ版「GODZILLA」シリーズの公式HPを参照していただくと、よりいっそう楽しめると思います。
本作は「ワールド・ウォーZ」原作のノベライズと同じ様に、架空の事件(本作だと怪獣の出現・人類と怪獣との争い)の生存者のインタビューをまとめたドキュメンタリータッチで執筆されている。
ある目的をもって怪獣と遭遇して生き残った人物達の、命がけの体験談を取材して、まとめる形式なんですが、それが読み物としてよく出来ている。
ドキュメンタリータッチの、淡々とした証言が妙にリアル。それに加え、本家の盗撮版「ゴジラ」シリーズ、円谷作品が好きな怪獣ファンが、思わず「ニヤリ」としてしまうネタが豊富に散りばめられています。
『GODZILLA 怪獣黙示録」:感想
個人的にはアニメ映画版よりも、遥かに面白かった。
そのわけを簡単に説明しよう。
そもそも、僕がアニメ映画版「GODZILLA」にガッカリした理由は、人間ドラマ中心で、怪獣プロレスもなく、奇天烈なSFメカも出番が少なかったことがあげられる。
庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」が群像劇、会話劇として未曾有の大ヒットをとばしたからといって、同じような作品「二匹目のドジョウ」を露骨に狙って来るとは思えなかったのだ。
宣伝も「SFバトルアニメ」のように言っておきながら、蓋を開ければ人間ドラマで個人的にはサッパリだったんですよ。
「SFメカVS怪獣」をやろうにも、人間がジリ貧で宇宙に逃げた設定上、どうしてもメカを大量に出せない、話が進んで行くうちにさらに兵器も人材も減っていく。
バトルシーンを少なくして人間ドラマ中心。そっちのドラマに入り込めればよかったのだが、個人的にはサッパリ。なにより、主人公のハルオに最後まで共感出来なかった。
人類がじり貧になり宇宙に逃げて、さらに、にっちもさっちもいかなくなって地球に戻って来た映画版と異なり、ノベライズ版では、人類は怪獣に対して戦いを挑んでいる。
公式HPに記載された、事件・戦争を時系列に沿ってたどっていく形をとっている。
1999年のある怪獣の出現を皮切りに(余談だが、このエピソードがモンスター映画「ミミック」にそっくり。多分オマージュ)次々と現れる怪獣に戦いを挑む人類。
特撮版「ゴジラ」のネタが大量にあって、読んでてニヤリとしてしまう。
ノベライズ版の方が、派手なシーンが多く、こっちの方が映像映えしただろう、と思い残念だ。予算の都合なのかな。
最初からメディアミックス前提で作られていたようだが、面白い脚本をメインに据えた方がよかったんじゃないかと思う。
アニメ版「GODZILLA」に不満のある人は、こっちのノベライズ版を読んで欲しい。
溜飲が下がる。
「GODZILLA怪獣黙示録」:感想まとめ
・怪獣映画ネタが多く楽しめる。
・ドキュメンタリータッチの仮想戦記ぽくて新鮮。
・本編とのつながりも綺麗。
・ノベライズ版の方が派手。
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