「ダニッチの怪~ラブクラフト全集5より」感想。~感想と言うよりも思い出のような形容しがたきもの~

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今回紹介するのは「ダニッチの怪~ラブクラフト全集5より」です。

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「ラブクラフト全集5」より、「ダニッチの怪」データ・紹介

著者:H.P・ラブクラフト 訳者:大瀧啓裕 出版:創元社推理文庫 350P

【内容紹介】

「二十世紀最後の怪奇小説家H.P・ラブクラフト。その全貌を明らかにする待望の全集——本巻には医学生のおぞましい企てをえがく「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」、ニューヨークの貧民街に巣食う邪教のともがらがもたらす「レッド・フックの恐怖」など、クトゥルー神話の母胎とされる全八編を収録。諸君は一読、鬼才の王国の虜となるであろう」~本編背面あらすじより抜粋~

 

「ラブクラフト全集5」より、「ダニッチの怪」:感想

 皆さん、幼い頃の記憶ってどれくらいありますか?

管理人は、けっこう無駄に覚えているタイプです。さらに、詳しく言えば周囲から

「よくそんな細かいどうでもいい事ばっかり覚えているな」

と言われるタイプの人間です。

けれでも、幼い頃に目にした恐ろしいもの。後で思い出しても、「あれは夢か幻か?」とはっきりしないあやふやなもの。

 

「なんか小さい頃にねーちゃんに見せられた漫画ちょー怖かったな。あれなんの作品だっけ?今度正月に会ったら聞いてみよう」

姉:「えっ?そんな漫画あったけ?」

↑なんてやりとりありませんか?

 

え、?俺は、おふくろに「……あんたにお姉ちゃんなんていないわよ」と言われた…?

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

 

いや、前置きが長くなってしまったんだけど、僕にとってこの「ダニッチの怪」がまさにそんな話なわけ。

当時、僕は小学生で、本を全くといって読まない奴だった。そんな僕を見て、

「わが子ながらこれはマズイ。将来パッパラーのピヤップーになるのでは……?

と思った母は、僕を市の図書館に連れて行ってくれた。

そこで偶然手にしたのが、子供むけにルビを振られた、「ラブクラフト」であり、この「ダニッチの怪」だったわけです。

 

 この「ダニッチの怪」は、ラブクラフトの”クトゥルフ神話”では珍しく正統派の「モンスター退治もの」なんですよね。たいていは解決しない、もしくはバットエンドが多い”クトゥルフ作品”において、正統派の「怪物退治もの」なのはかなり珍しいんですよ。

 

そういった「わかりやすい不気味な作品」というのが、この「ダニッチの怪」を子供向けのホラー小説群にいれた理由なんじゃないだろうか。

 

 ちなみに、その子供向けのホラー小説シリーズに、他にどんな作品が収められていたかと言えば、

「吸血鬼ドラキュラ」「フランケンシュタイン」「ジキルとハイド」といったホラー・怪奇小説の古典群。

正直、子供には渋すぎるラインナップのような気もする。

ルビが振られている他に、子供向けにマイルドな描写、わかりやすい言葉に変えられていた様な気がする。

 

何故?「気がする」と表記しているかと言えば、小学生以来、僕はこのシリーズ本を手に取っていないのだ。

大人になってから、気になって図書館の児童書コーナーで探したが、見つからなかった。

どうしても気になったから、他に当たり障りのない作品と一緒に、受付の人に聞いてみたが、15年近く前で、さらに僕の記憶もあいまいな事もあって、見つからなかった。

 

対象がホラー小説だけあって凄くモヤモヤする。よくよく考えたら、ラブクラフト”クトゥルフ作品なんてもんを子供向けに出すだろうか?

 

いや、確かに小学生の僕は、この「ダニッチの怪」を図書館で借りて読んだんだよ。

そして恐怖した。

怪物の挿絵がもの凄く怖くて、今思えばまさに「忌まわしい冒涜的な」不気味な挿絵だったんだ。その絵だけは、今でもはっきりと覚えている。

しかしまた、昔の児童書が、いまの児童書よりも、文字が多く内容が難しい作品も多かったのも確かだ。

今の児童書は子供を侮りすぎだと思う。あの子たちは大人の思う以上に言葉をどんどん吸収するし、理解力も高いぞ。

 

なにより、

「今は理解できないけどそのうち分かる」

「成長するにつれて解釈の仕方が増える」

といった事を、大人が忘れている様な気がする。

 

正月に姪っ子と甥っ子の相手をしながら、そんな事を、ふと思ったので書いてみた。

この子たちは、今まさに将来思い出して「あれは夢か幻か」の渦中にいるんだろうな。羨ましいな。

ところで姉よ、僕が朝飯に買っておいたあんパンがないのだが

姉:「…………」

おいっ!……。

感想まとめ

・ラブクラフト作品にしては珍しく、正統派の怪物退治話。

・怪物の造形を想像すると発狂しそうだ。

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