さて、アサイラム系のB級作品あるあるなんですが、
「本編とは関係ない、どうでもいい話で延々と引き伸ばす」
、というものがある。
映画鑑賞において気がそがれる、興覚めな展開以外のなにものでもないが、これがもう一種の様式美まで達している”漢”がいる。
彼の”名”はジャレッド・コーン「引き延ばしに定評のある男」
そんな訳で今回紹介する作品はこれ↓
(『ザ・プレデター』のパチモン作品がやっぱり出た!)
もういっその事、「どれだけ怪物を出さないで尺を稼げるか」
、そっちの方を楽しむ方向でこの作品は観賞するよ。
(そんな観かたするのはお前だけ定期)
作品情報・スタッフ・キャスト
・製作年:2018年 ・製作国:アメリカ
・上映時間:88分 ・原題:「ALIEN PREDATOR」
・監督:ジャレッド・コーン:『バトル・オブ・アトランティス』『ザ・バトル ネイビーシールズVSミュータント』
・製作:デヴィッド・マイケル・ラット
・出演:ザビ・イスラエル/アマンダ・リヴァス/ダッチ・ホフシュテッタ―/アレックス・ウェスト/セバスチャン・チャーマント
予告編
『プレデターVSネイビーシールズ』:あらすじ
中南米に、謎の飛行物体が墜落した。米軍の偵察部隊が調査に赴くが、「謎の敵の攻撃を受けている」と通信を残し、消息を絶ってしまう。
救出の為に部隊が編成され派遣される。PDSTを患う、技術兵のブルックスも同行することになるが……。
感想/ネタバレ有
《彼の名はジャレッド・コーン、引き延ばしに定評のある男》
アサイラム系のB級作品によくみられる、
「本編とは全く関係ない話で延々と尺を稼ぐ」
この監督そういうのが物凄く得意である。
視聴者にとって迷惑極まりない特技なんだが、もうこれはこういった才能で、もういっそのこと、それを楽しむべきなんじゃないだろうか?(錯乱)
さて本作品の上映時間は88分。いったいどれくらいの時間を稼いでくれるんだろう……ワクワクするなー(棒)
本作は謎の宇宙船が地球に降下するシーンから始まる。
本家の『プレデター』は言うに及ばず、『遊星よりの物体X』でも使われた伝統ある切り口だ。
早速、米軍の偵察小隊が調査に向かいます。コテコテの「僕らが思い浮かべる特殊部隊」な言動をやってくれてます。
ただ、その辺はアサイラム、装備が適当だったり、どう見たって兵隊に見えない体形の人が混ざっているのはお約束。
まぁ、顔に迷彩ペイントやっとけばごまかしはきく。
序盤のヤラレ役で出て来た兵隊さん達は、画面外からやってきたレーザービームらしきものを浴びてあっさり全滅。
それでもバイタルサインが生きている隊員がいるようで、おかわり救出部隊が派遣される。
ここから「引き延ばしに定評のある男」ジャレッド・コーンの本領発揮。
土管の中からやってきた兵隊さんを使って、それっぽい「戦争映画あるある」に「登場人物がどうでもいい事で喧嘩」を組み合わせた本編とは一切関係ないドラマで延々と尺を稼ぐ。ついでに画面に登場する宇宙人のテクノロジー関連を、主人公のオタクに解説させる場面多し。
(どうでもいいが、この土管はなんなんだろう? 背景が誤魔化せるからなのか?……もしかして、マリオリスペクト?)
部隊が海なら、「ビキニ姿の美人を出す」「とりあえず半裸の美人とイケメンをイチャつかせる」といった安牌が切れるが、残念ながらジャングルで兵隊さん一行である。そういった意味でやはり「鮫」は手堅い。
同じ様な展開が続き、観客がいい加減飽きてきたところを見計らって、レーザービームが飛んできたり、ビー玉が爆発したり、蛍光色の液体が出てきたりする。
そうやって飽きさせない工夫がしてある(効果があるかは知らん)
申し訳ていどの『プレデター』要素はあるが、内容は酷い。
観た人は怒っていいよ♪
そうやって順調に稼いだ結果、怪物が画面に映る頃には53:30秒が経っていた。
53/88、これはなかなかの数値だ。
少なくとも、2018年に懲りずにこういった事を平気でやる姿勢を、逆に褒めてやりたい。
88分の内、53分はどうでもいいドラマである。
普通に観賞している層は、怒りだすところだが、当ブログの管理人は最初から「いかに怪物を出さないで引き延ばすかを楽しむ」方向で観ている為、むしろ評価したい。
もっとも、「いかに怪物を出さないで引き延ばす」部門では、「トータルで1分も出ていない」だとか、「最後まで映さない」(POV方式)など、その他が猛者すぎて本作品の影が薄くなってしまう。
やはり、世界の壁は厚い。
頑張れ、ジャレッド。
負けるな、ジャレッド。
(↑本作より引用:本家の『プレデター』ではリストラされた、腕につけたウェラブル・コンピューターばっちし)
(↑本作より引用:「引き延ばしに定評のある男」が撮っているとなると、上記の台詞も違う意味に見えてくる)
全体的に引き延ばしが酷い本作。
それ以外にも、怪物の酷い造形だとか、支離滅裂なストーリーだとか魅力がいっぱいある。
露骨な引き延ばしを気にしない、むしろそこを楽しめる人は観賞してみたらどうだろうか。
まぁ、個人的には『ザ・プレデター』のDVDがリリースされたから、そっちをおすすめする。
【感想まとめ】
●総評:E
●キャラクター………△、一部の主要キャラクターを除いて誰が誰だか、さっぱり区別がつかない。
その理由は①数が多い②顔に迷彩柄③皆同じような「コテコテの兵隊キャラ」である事だと思う。
●ストーリー…………△、よくある展開かと思ったら、後半とんでもない変化球を投げて来た。
ただし、圧倒的に説明不足な為、納得いくかどうかは別の問題だ。
●怪物…………………△、見事に「どこかで見たことのある」デザインである。
”プレデター”を名乗っておきながら、見ようによっては”ロボコップ”にも見えなくもない、欲張り仕様。歩き方が完璧に人間だが気にしない。
腕に付けたPC端末や、投げるレーザーディスクもばっちり再現(笑)
●いつものアサイラムクオリティー。
●露骨に引き延ばし、尺を稼ぐ展開が多い。
●自分がジャレッド・コーン監督だと思えば、理不尽な残業も平気になるかもしれない。
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