本日紹介する作品は「アイム・ノット・シリアルキラー」です。
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「アイム・ノット・シリアルキラー」
・製作年:2016年
・製作国:アメリカ
・上映時間:103分
・原題:「I AM NOT SERIAL KILLER」
・監督:ビリー・オブライエン
・脚本:ビリー・オブライエン ・原作:ダン・ウェルズ
・音楽:エイドリアン・ジョンストン
・出演:マックス・レコーズ/クリストファー・ロイド/ローラ・フレイザー/カール・ギアリー/ティム・ラッセル/クリスティーナ・ボールドウィン/ルーシー・ロートン……etc.
「アイム・ノット・シリアルキラー」:予告編
「アイム・ノット・シリアルキラー」:あらすじ
ジョン(マックス・レコーズ)は16歳の少年。葬儀店を営む家庭に育った影響か、死体や殺人に異常な関心を示す彼は、ソシオパス(社会病質者)と診断される。ある日、町で謎の連続殺人事件が発生。自宅の葬儀店に運び込まれた死体からは内臓の一部が消えていた…。猟奇殺人鬼が近くに潜んでいることを直感したジョンは、自ら調査に乗り出し、偶然にも殺人現場を目撃、殺人鬼の正体が隣の老人(クリストファー・ロイド)であることを知る。ジョンは自身の奥底に眠る衝動を必死に抑えながら、自分の手でこの連続殺人鬼を阻止すべく覚悟を決める。凍てつく雪に覆われた町で、追いつ追われつの予測不能な死闘が始まる。
~Amazon・作品紹介より抜粋~
感想/ネタバレ有
「死体」や「死」について異常に関心が高いせいで、周りに「ソシオパス」じゃないかと疑われる少年が、ある日偶然にも、隣家の老人が恐ろしい連続殺人鬼だと知ってしまい、恐ろしい事件に巻き込まれる、というのが本作の概要である。
自身の性質について思い悩む少年を「怪獣たちのいるところ」のマックス・レコーズ、殺人鬼の老人を「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のクリストファー・ロイドが演じている。共演は「ミミック3」のカール・ギアリー。個人的にこのカール・ギアリーが好き。
出演者はいいメンツが揃っていたと思う。
ソシオパスから、パンダマンへ。
「”変わり者”として、学校で気味が悪いとされる主人公の少年と、隣家の気のいい老人(実は連続殺人鬼)の対決が描かれる」……はずなんだが、基本的に少年が一方的に老人を監視しながら、「自分はおかしいのでは?」と苦悩する方に重点が置かれている。
「死」や「犯罪」を通して「善悪の彼岸」が描かれているが、そういった要素よりも主人公の少年を中心とした「青春ドラマ」である。ホラー・サスペンス要素のある「青春映画」としては「イット・フォローズ」があるが、本作も「なんだかんだいっていい人しか出てこない」あたりは「イット・フォローズ」と似ていると感じた。
ただし、そこまで爽やかな青春映画ではなく。ちゃんと殺人鬼と対決する要素もある。
主人公が、途中からプレゼントでもらったパンダを模しためざし帽を被って暗躍する様は、まさに“パンダマン、参上!”というにふさわしい。
しかし、パンダのめざし帽を被る下りが「変態仮面」的なノリに見えて困った(笑)
なんだかんだ言って、ぴったりと着装しているあたり、相当気に入ったのではないか?
まぁ、真面目な話、老人に顔を見られないようにするためと、仮面を被る事によって「いつもよりも勇敢な自分」を無意識に作っているのだと思う。
それにしても、このパンダ、「フォォオオ!」とか言いそうである。
見た目はただの変態である。
このパンダマンと、クリストファー・ロイドが演じる老人との戦いが描かれる様は、アメコミのヒーローものである(大嘘)
もともと、15歳くらいのもやし少年と、よぼよぼの爺さんの対決だから、絶対に派手な話にはならないはずなのに、斜め上の展開でそれを裏切ってくる。クライマックスのあるシーンでは、「えっ?そっちの話だったの?」と思ってしまうが、結局老人の正体はなんだったのだろう?
その辺はあえてぼかしているが、賛否両論ありそうだ。
「善悪の彼岸」のこっちとあっち。
主人公は、少しばかり「死」について真剣に考えすぎる少年である。思春期はとにかく色んな事を考える。その中には「死」についても含まれるだろう。
自分の人生の最後が、どうあがいたって最後は「死」に行き着くなら、考えてしまうのも仕方がない。
少しばかり、「死」や「死体」「殺人」に詳しすぎるため、校長先生に心配されてカウンセラーをつけられる始末である。
この「死や恐怖に異常な関心をしめす少年」といったテーマの作品は「ファウンド」と一緒である。
しかし、「ファウンド」と違って、こちらのジョン少年は、なんだかんだ言って家族が優しいし、親友がいるし、幼馴染の少女と親しげだし、ついでにカウンセラーの先生が本当にいい人である。
観ていて「こいつ、ただのリア充じゃねーか!」と思った。
「ソシオパス」扱いしてくるのは、校長先生だけであって、ただの「ちょっと変な少年」以外の何者ないわけだ。
いや、「色々あって主人公は、ちょっと変わり者」にとどまる事を選択した物語なんだろう。なんとか、「善悪の彼岸のこっち側」にいることを選んで、逆に爺さんは、「善悪の彼岸の向こう側」にいってしまった奴のメタファーなんだろう。
「向こう側」に行ったら、文字通りの「怪物」になってしまうけど、その「怪物」にも、かろうじて「人間らしさ」があると思うと切ない。
じじいの「なぜ、俺がまだ人間でいるのか」その辺を、少年=視聴者はよく考えろということか。
最後に、じじいの正体について、黙っているのは、ジョン少年の優しさ、いや「同類相哀れむ」という、最後の情けなんだろうなぁー。
終わってみたら「ソシオパスVSシリアルキラー」ではなくて「パンダマンVSシリアルキラー」だった。そもそもVSぽくなるのは、クライマックスだけで、基本的に主人公が爺を観察しながら、ひたすら「善悪の彼岸」について考える作品だった。
うん、まぁエンディングの入り方といい、「ただの爽やかな青春映画だったなぁー」、と思わなくもない。
総評・感想まとめ
総評:☆☆☆☆☆☆ 6/10
●【よかったところ】
・連続殺人鬼の老人をクリストファー・ロイドが怪演。
・なんだかんだでいい話で終わる。
・出演者はよかった。
●雑多な感想
・「パンダマン」参上!
・爺さんの正体については賛否両論。
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