今回紹介する作品は「ヒューマン・キャッチャー」です。
パッケージのキャッチコピーは「喰ってやる!」と、ど直球でやる気満々。
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「ヒューマン・キャッチャー」
・製作年:2003年
・製作国:アメリカ
・上映時間:104分
・原題:「JEEPERS CREEPERS 2」
・監督:ヴィクター・サルヴァ
・製作:トム・ルーズ ・製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
・脚本:ヴィクター・サルヴァ ・音楽:ベネット・サルヴェイ
・出演:レイ・ワイズ/ニッキー・エイコックス/ジャスティン・ロング/ジョナサン・ブレック/エリック・ネニンジャー/ギャリカイ・ムタンバーワ/ドリュー・テイラーベル……etc.
監督は、前作に引き続きヴィクター・サルヴァ、総プロデュースにフランシス・フォード・コッポラが名を連ねている。
また、前作にも登場したジャスティン・ロングが意外な役で出てくる。一作目のラストを考慮すると、納得な役である。
うん、まぁ、「そこまでして監督は、ジャスティン・ロングを使いたかったんだなぁ~」てのが伝わってくる(笑)
前作に引き続きフランシス・フォード・コッポラが、ちゃんと手綱を握っているので、ホラー映画として観れる作品に仕上がっている。
そんなわけで、本作は、ちゃんとクラシックスタイルのホラー映画をやっている。ホラー映画としてのクオリティはかなり高いと思う。
ただ、ヴィクター・サルヴァの個人的な嗜好(変態性)がガンガン出ているので、観ようによっては笑えてくる。
「ヴィクター、自重しろ!」と言いたくもなるが、同時にこの監督にはこの方向を貫いて欲しい気もする。いや、この監督にはこの方向で突っ走って欲しい。
(自分を信じてーー!)
予告編
「ヒューマン・キャッチャー」:あらすじ
「”それ”は23年ごとに現れて、23日間人間を喰らい続ける……」
ある日の夕暮れ、農夫のタガート(レイ・ワイズ)はトウモロコシ畑で農作業に勤しんでいた。
しかし、案山子に似た”何か”が農作業を手伝っていた息子のビリーを襲い、空を飛んで逃げた。復讐に燃えるタガートは、長男と愛犬を従えてその”何か”を追跡する。
一方その頃、試合を終えた高校生バスケットボールチームを乗せたバスが、突然のパンクで立ち往生していた。様子を見に外の出た運転手は、タイヤに骨を加工した刃物が刺さっているのを発見する。
不安に襲われる一行だが、なすすべがない。
やがて暗くなり、空から現れた”それ”が高校生たちを襲い始める……。
「ヒューマン・キャッチャー」:感想/ネタバレ有
時間軸としては1作目の後、クリーパーズが活動する最後の日=23日目が舞台だ。今作ではクリーパーズを追う父親(レイ・ワイズ)と、クリーパーズに追われる高校生バスケットボールチームの、二つの視点から物語が描かれる。
その辺りは「3」と同じだが、「2」の方が完成度が高い。場面転換の回数が必要最低限で、鑑賞していてストレスがない。物語の構成上の違和感がないくわかりやすい。
やっぱり「わかりやすい」って大事だね。
また「1」にあった”都市伝説”成分はなりを潜め、今作では初っ端から翼が生えた怪物形態で襲ってくるのが特徴である。したがって前作でいい感じだったあの歌や、霊媒師のおばちゃんは出てきません。残念。
う~ん、「2」は名作なのに、どうして同じ構成の「3」はあんな出来になったんだろう?
クラシックスタイルホラーの傑作:「ヒューマン・キャッチャー」
前作では怪物が「トラック」「人型」「翼のはえた怪物」「都市伝説」と、次々と姿を変えて襲ってきたが、今作では最初から最後まで「翼のはえた怪物」形態である。
怪物の形質変化がなくなった代わりに、「怪物を追いかける方」と「怪物に追われる方」の両方の視点から物語を描いている。
前作では、ジーナ・フィリップスとジャスティン・ロング演じる姉弟が「追われる方」で、その二人に巻き込まれる形で犠牲者が出る形だった。
怪物の形態が少ない分、構成で補う形だ。
その為場面転換が多いが、ストーリー構成上綺麗に流れているため、テンポはいい。
さらに、「怪物は獲物の臭いで食べる部分を決める」という設定が出てくる。故障したスクールバスに閉じ込められて高校生たちが、怪物に値踏みされるシーンは恐ろしい。
怪物の設定と行動が、ちゃんとリンクしているため、観ていて特に変だとは思わない。
その手腕が凄い。
ただし、「3」でやりたい放題やった結果、全く怖くなくなったため、「間」や「演出」はフランシス・フォード・コッポラが上手く手綱を握って調整していたんじゃないだろうか?
そんな風に邪推してしまう。
「1」「2」はクラシックスタイルホラーの傑作なんで、是非とも一度観て欲しい。
監督の趣味丸出しの映画:「ヒューマン・キャッチャー」
本作品も「3」ほどではないが、画面に男しか映ってない事が多々ある。
バスケットボールチーム付きのチアリーダーとして、グラマー女の子が3人出てくるが、見事にスルー。殺されたり、苦しむ顔がドアップで映るのは見事に野郎ばっかりである。グラマーでそれなりに演技もできる女優を揃えたのに、あんまり撮る気がない。
一人の女の子に、思い出したかのように”霊能者”ポジションを与えているが、ヴィクター・サルヴァの言い訳くささを感じる。その辺を開き直って撮ったのが「3」である。
男子高校生たちが、上半身裸でウロウロしたり、集団で立ちションしたりと、明らかに監督の趣味である。立ちションに関しては無意味に長いは、ふざけて隣りの奴にひっかけるは、やりたい放題である。
業が深い。
ついでに、「3」の鑑賞後に「1」「2」と続けて観直したが、毎回ティーンエイジャーの男の子の立ちションシーンを撮っているのに気づき、乾いた笑いが漏れた。
この監督、やっぱり業が深い。
何が彼をそこまで駆り立てるのかは知らないが、ヴィクター・サルヴァには、この路線を貫いて欲しい。
「ドラゴンクエスト」で毎回「パフパフ」のイベントがあったり、「逆転裁判」で毎回「脚立と梯子の違いについて」のやり取りがあるように、ヴィクター・サルヴァと言えば「少年の立ちション」というポジションを築いて欲しい。そんな監督が一人くらいいてもいいんじゃないかな?
そういった、監督の趣味を考えて前述のスクールバスのシーンを観ると、全く違うものに見えてくる不思議。怪物がマッチョの少年を3人ほど選んだあと、眼鏡のオタクっぽいマネージャー男子をチョイスしている辺りも笑えてしょうがない。何事もバランスは大事です。
「いや、一人くらい女の子を選べよ」と思わなくもないが、ここで全員「男子」を選択しているから面白いんだよね。突き抜けている感じがする。
「怪物による男の子バイキング」という言葉が頭に浮かんだが、観ているこっちにも影響がありそうだ。いかんいかん。
ほら、ハーレム物のヒロインは基本的にナイスバディだが、4人いたら一人はロり枠があるようなもんなんじゃないかな?
(知らんけど)
「喰ってやる!」(意味深)
と思えなくもない。
↑こんな説明だと、ティーンエイジャーの男の子を全力でネットリと撮っているだけの作品に思えるだろうが、ホラー映画としてはかなり面白い作品です。
「3」は最近リリースされたばかりだし、「1」に関してはAmazonビデオや各種動画サイトにもだいたい置いてあるが、本作「2」に関しては、取り扱いが少ない。何故だ?
「怪物による男の子バイキング」の下りがマズいのだろうか?、ヴィクター・サルヴァの暴走を止めれなかったコッポラの罪は重い。
古い作品なのでレンタル屋にも置いてない事が多く、ちょっと探すのが大変。
レンタル屋で見つけたら借りてみよう。
※動画サイトをざざっと調べた結果、DMM動画にあった。
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡♡♡ 7/10
●キャラクター………〇
・キャラクター設定はいい。特にレイ・ワイズ演じる父親が凄かった。
・女の子は撮る気ないらしい。
●ストーリー………〇
・ストーリー的に一区切りついた感じで終わる。
・ちゃんと「4」を作って欲しい。
●カメラ・演出とう………〇
・夜のシーンの暗さと明るさのバランスがいい。
・「間」の取り方と「演出」はグット。
●怪物……〇
・今回は、最初から出し惜しみなく姿を見せる。
・「怪物の一本釣り」の下りは大好き。
●その他・印象に残ったところ
・女性キャラクターの死亡シーンは見事にカット。
・基本的に野郎しか画面に映らない。
・立ちションシーンの増量。
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