クジラ映画「バトルフィールド・アビス」感想・レビュー ~あの「白鯨」が蘇る!~

スポンサーリンク
怪物映画

 今回紹介する作品はこれ↓

 ↑この手の映画のパッケージはだいたい誇張されているものだが、本作に関してはだいたいパッケージのイメージ通りだ。
(※特撮の出来は除く)

 『パシフィック・リム』『シン・ゴジラ』『メガシャークVS〇〇』のヒットをうけ、近年一部のマニアの間でその価値が見直されている(?)巨大生物映画です。

 あのメルビルの名作『白鯨』を基に、アサイラム製作がおくる海洋モンスターパニック作品。
白鯨(上) (岩波文庫) [ ハーマン・メルヴィル ]
白鯨(上) (岩波文庫) [ ハーマン・メルヴィル ]
(カテゴリーとして「海産物系」にすればいいのか、「哺乳類」に分類すればいいのか迷う)

製作年:2010年  製作国:アメリカ 
上映時間:88分  原題:「MOBY DICK」

監督:トレイ・ストークス
製作:デヴィッド・マイケル・ラット
出演:バリー・ポストウィック/マット・レーガン/レネ・オコナ―/アダム・グリヒス

予告編

スポンサーリンク

「バトルフィールド・アビス」:あらすじ

 潜水艦のソナー係のエイハブは、南極での任務中に超巨大なクジラ”モビィ・ディック”と遭遇する。
 ”モビィ・ディック”の攻撃により乗っていた潜水艦は沈没、エイハブもまた片足を失ってしまう…。
 40年後原子力潜水艦の艦長となったエイハブは、”モビィ・ディック”を退治するために、原子力潜水艦”ビーフォーク”を奪取する。

 その事態を重く見た米軍は、他の艦に追撃を命じるのだった……。

感想/ネタバレ有

ハーマン・メルビルの傑作小説「白鯨」を元に、アサイラム-アルバトロス原題風に大胆アレンジ。

「アサイラム-アルバトロス」でだいたい分かると思うが、とんでも映画である

全編を通して「大きい事はいいことだ」、という非常に分かりやすい命題にそって作られている

荒唐無稽だが、休日に家で気軽に観るには十分面白い作品だ。

 

《「バトルフィールド・アビス」どんな映画?》

 この映画は一応ハーマン・メルビルの長編小説『白鯨』を基に作られている。
 しかし”モビィ・ディック”が150メートルの超巨大クジラで、”ビーフォーク号”が原子力潜水艦になってたりと滅茶苦茶である。

 よくメディアミックスする際に、いわゆる「原作レイプ」が問題となるが、製作会社がアサイラム、配給アルバトロスとあってはもはや、穴だらけで原型を留めていない。
 古典小説なのが災いして、版権がどうのこうのイメージがどうのこうの、うるさい事を言われなかったせいだろうか?

 なんにしろ、すっかりアサイラム・アルバトロス色のB級に染められている。

 そんなこんなで本作は、まごうことなくB級映画に仕上がっている。
 それなのに、日本版『白鯨』Wikipediaでちゃっかりこの映画の名前が書かれているのはどういったことなんだろう?

 誰だ?書いた奴は(笑)
(ついでに本作『バトルフィールド・アビス』のページも中途半端ながらある)

 本作のストーリーは、一応『白鯨』をなぞって作られている。
 例えば、片足のエイハブ艦長に、副官のスターバックス、機関長スタッブ(原作では航海士)といった原作に登場した名前も、ちらほら出てくる。
 原作の男だらけの悲壮な感じでは、「流石にどうなのよ?」と思ったのかは知らないが、オモシロ黒人とヒロインにクジラの専門家(熟女)を投入している。

 ついでに製作会社がアレなんで、見事に皆マンガちっくな、ある意味親しみやすいキャラクターに改造されている。

 原作の悲壮で宗教的な雰囲気なんて知った事ではないらしい。

 その結果原作の「巨大な生物との死闘」といった側面が、やや間違った方向でクローズアップされてしまい、結果として「ボンクラ映画」(※褒め言葉)が完成したわけだ。

《大きい+暑苦しい》

 「150メートルの超巨大クジラ(独自の進化を遂げた古代生物)を、過去に”白鯨”に足を奪われた軍人が最新鋭の原子力潜水艦を奪取して戦いを挑む」
    +
「エイハブの追跡を命じられた軍人は、エイハブの戦友で自身も”白鯨”腕を奪われている」

 本作は、そういった無駄に熱いプロットにのっとて作られているのだが、原作の暗い感じはなりを潜めて、代わりに勢いだけはあるバカ映画に仕上がっている。

 150メートルのクジラをは序盤からガンガン出てくるのだが、微妙なCGがちょっと気になる。
例によって場面で随分と出来と大きさが違う気がする。

 しかし、視聴者をちからわざでねじ伏せて、細かいツッコミを入れさせない。
 いや、まぁツッコミどころが多過ぎると言いますか、ツッコミどころが大きすぎるので却ってツッコめない。

 アビス1
(↑この映画を端的に表しているシーン)

 「もう大きければなんでもいいや」とあきれながら観ていたのだが、岩礁地帯で行われる最終決戦で、クジラがさも当然の様に陸を這って移動するシーンでは笑ってしまった。

 さらに、この超巨大クジラに、銛で勝負を挑むは、マシンガンをぶっ放すは、エイハブを追って来た軍人と副官は葉巻とスキットルで最期の乾杯をするわで、クライマッックスシーンの怒涛の展開がいい。
 特にエイハブ艦長が、銛を片手にモーターボートで突っ込んで行くシーンには、笑うしかない。

 勢いがあってちょっと元気が出ます。

 最終的には毎度お馴染みの核攻撃です。

 結果として、クジラが生きてるのはともかくとして、ヒロインがさも当然の様にひょっこり湧いてくるのには納得がいかない。

 ツッコんじゃいけないのだろうが、色々とおかしいだろう。

 全体的に大味だが、家でゴロゴロしながらツッコミながら楽しむには十分な作品です。

【感想まとめ】

総評:♡♡♡♡♡ 5/10

●キャラクター………〇、そもそも原作のキャラが相当濃いのもあるが、非常にいいキャラが多い。
●ストーリー…………〇、原作を上手い具合にB級映画に落とし込んでいたと思う。個人的にラストシーンは大好き。
●カメラ・演出とう…?、いつものアサイラムクオリティ。大作映画とは比べるまでもないが、B級映画としては十分である。
●怪物…………………?、いつものアサイラムクオリティ(同上) シーンによって出来と大きさがしょっちゅう変わるCGだが、管理人はこの手のCGに関してすっかり麻痺してしまったので、客観的な評価が出来ない。うん、まぁ笑って観れるよ♪
●原作の面影は全くない。
●勢いだけはある。
●ツッコミ所は多い。

コメント

  1. 燃焼豚 より:

    白鯨モノはどこか悲壮感があるがこの作品にはあまり感じられない。珠玉のバトルらしい。メガシャークの次の相手は白鯨がいいと思う。

タイトルとURLをコピーしました