「エイリアン・コヴェナント」※ネタバレあり感想。”我が名はオジマンディアス 王の中の王 全能の神よ我が業をみよ そして絶望せよ”

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宇宙生物襲来!

今回紹介する作品は「エイリアン・コヴェナント」です。

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作品情報・スタッフ・キャスト

エイリアン・コヴェナント」
製作年:2017年  
製作国:アメリカ  
上映時間:121分 
原題:「ALIEN:COVENANT」

監督:リドリー・スコット
製作:マーク・ハッファム/ ウォルター・ヒル ・脚本:ジョン・ローガン/ダンテ・ハーバー

キャラクター造形:ダン・オノバン   ・音楽:ジェド・カーヒル

出演:マイケル・ファスペンダー/キャサリン・ウォーターストーン/ビリー・クラダップ/ダニー・マクブライト/カルメン・イジョゴ/エイミー・サイメッツ/デミアン・ビチル/ナサニエル・ディーン……etc.

予告編

「エイリアン・コヴェナント」:あらすじ

「2104年12月5日。
大型植民地船コヴェナント号は、フレアの衝撃波を受けて損傷を負う。
事態を収拾する為に乗組員が冷凍睡眠から目覚めるが、ポッドの故障で船長が死亡。
通信システムを修理すると謎の電波を受信する。
その発信源を調べると、現在地に近い惑星が居住可能領域にあると判明する。
本来の目的地の”オリガエ6”に到着するのは7年後だが、この惑星なら二週間で到達できる。
船長職を引き継いだオラムは、植民地に極めて有望なこの惑星を調査する決断を下す。
興奮する乗組員の中で、ただ一人ダニエルズだけが、この決定に不吉な予感を抱いていた……。

上陸した惑星には地球と似た植物が群生していたが生物の気配は全くしない。

やがて、調査隊一行は、恐ろしい出来事に遭遇する………」

感想/ネタバレ少

 いまいち解りづらい前作『プロメテウス』に比べて、今作は正統派SFホラーな作風です。
 脱出不可能な状況に陥った登場人物達が、一人また一人と暗闇から突如として襲ってくる怪物に殺されていく様が丁寧に描かれている。

さらに、自分たちとは全く違った思考回路を持つアンドロイドの恐怖を描いている凶暴な生命体と、暴走したアンドロイド”エイリアン(異邦人)”のダブルミーニングをやっている点ではシリーズ一作目と同じである。

しかし、本作では、一作目と異なる点が二つある

一つは、”ゼノモーフ”の正体について説明している点と、もう一つは、「創造とは何か?」といった宗教的・哲学的テーマに重点を置いている点だ。

”ゼノモーフ”の正体についてはリドリー・スコット監督曰く、「ずっと説明されないのが不満だった」、らしい。

2以降誰も、あの怪物の正体を追求しようとする作り手がいなかったのが、リドリー御大は不満だったとか。それでやっと『エイリアン』シリーズを自分の手で撮り直す機会を得たので、『プロメテウス』以降の新作で、このシリーズ最大の謎にメスが入る運びとなったようです。
(この辺の裏話はパンフレットに載ってます)

正直今さらこの話をやられても、すべてのファンが納得する訳ないよなーと思わなくもないですが、公式設定です。受け入れましょう!

(えッ!?、やだ……)

もう一つの「創造とは何か?」みたいなお話。こっちは専らアンドロイドのデヴィッドが担当する。この”自我に目覚めた結果、ちょっといけない事を延々と考えちゃう”狂ったアンドロイド、を前作に引き続きマイケル・ファスペンダーが熱演。

こやつがマジ〇チで本当に怖い。

恐らく『エイリアン・コヴェナント』を観に行く人の90%以上は”ゼノモーフ”を目的に観に行ってると思うんですよ。(他の作品ならシガニー・ウィーバ―にスクリーン越しに罵られたいだとか、ポール・アンダーソン監督がどんな風に滑ってるか気になって…という人もいるだろうけど)

当ブログ主も勿論”ゼノモーフ”目当てです。『プロメテウス』ではお預けをくらい、『エイリアンVSプレデター2』(2007年)からおよそ10年ぶりに暴れまわる奴らが観れるとあって、それはもう楽しみにしていた訳ですよ、まぁ夢に出てくるくらいには(笑)

観賞前:「最新の特撮で動き回る奴らが楽しみだなー(・∀・)」
観賞後:「アンドロイド怖い…。狂った中二病のアンドロイド怖い……(((( ;゚д゚)))」

いや、まさか主役のゼノモーフを完全に喰ってるとは(笑)
もう『アンドロイド・コヴェナント』だとか、『アンドロイドは創造の夢をみるか』でよかったのではないだろうか?

 

雑多な感想をいくつか。
●画の撮り方はホラー6割、アクション4割。
●画面がやや暗い。+アクションシーンが画面が揺れて分かりづらい。
●金のかかったB級映画に出てる人がチラホラいる。気づくと嬉しい。
●やや状況説明的なシーンが多い。
●↑解説シーンが多いせいでSFにしては話が分かり易いが、ホラー映画としては緊張感がない。
●エンドクレジットの名前の多さに軽くひく。
●”ゼノモーフ”は物凄く滑らかに動く。
●意外とアクションシーンが気合入っていた。
●音楽・効果音……怖い。
●アンドロイドの髪が伸びる。この未来では頭髪の問題は解決したらしい。
●アンドロイドは涙腺機能あり。T-800もびっくり( ゚Д゚)

感想/ネタバレ有

※ここから核心的なネタバレあり注意↓

”我が名はオジマンディアス  王の中の王  全能の神よ  
                我が業をみよ  そして絶望せよ”

 今回の主役はアンドロイドのデヴィッドです。前作に引き続きマイケル・ファスペンダーが演じている。さらにデヴィッドの後期生産型モデルのウォルター(演じるのは同じくマイケル・ファスペンダー)まで出て来ます。

今作にはアンドロイドのデヴィッドの他にもう一つ重要な要素がある。

それは、前作『プロメテウス』にも登場した異星人の生物兵器。あの細長い円筒形の容器に入っている黒いやつです。

前作では、まだ謎の部分が多かったこの生物兵器が、詳しく描写されている。この黒い粒子は非常に攻撃性の高いウィルスで宿主の体内に入り込むと、宿主の遺伝子を物凄い速さで書き換え、結果として全く新しいキメラ生命体を誕生させる働きがある

デヴィットは、異星人(エンジニア)の宇宙船に積まれていたこの生物兵器の容器(アンプル)を、空から大量に投下して異星人を皆殺しにする。その辺りは、回想シーンとして処理されているが、その時にデヴィッドが口にするのが、

 ”我が名はオジマンディアス  王の中の王  全能の神よ  
                我が業をみよ  そして絶望せよ”

この詩の作者がどうのって話が重要な意味合いを持っているのですが、詳しい話は映画館で観て下さい。

さらにデヴィッドは、このウィルスを利用して己の「創造への願望」を満たすために恐ろしい実験を開始する。ウィルスとエリザベス・ショウ博士の肉体を使って生まれたのが”ゼノモーフ”の卵です。

 正直この下りにはがっかりした。”ゼノモーフ”のルーツが遂に明らかになったのだが、蓋を開けてみれば、ウィルス実験によって作られた生物兵器というありふれた設定

バイオハザードのT-ウィルスですかい?

「怪物の正体が明らかになると怪物は死んでしまう」その事については、他の記事でも触れたが、これを「エイリアン」シリーズでやるという事は、いよいよこのシリーズを公式的には終わらせるつもりなのかもしれないなぁー……。

怪物デザインのH・R・ギーガーはもう既に故人なり、他の製作に関わってるメインメンバーも高齢である。もう作ってる本人たちは、区切りを着けたいのかもしれない。

そんな事を考えてしまった。しかし、ここまで愛されたキャラクターだと、ファンが皆勝手に色々と作るだろうなぁー( ・Д・)

アンドロイドとゼノモーフ

 さて今作ではアンドロイドのデヴィッドが完全にゼノモーフを喰ってしまっている訳ですが、これもリドリー御大が描きたい物を考えると仕方がない事なのかもしれない。
 リドリー・スコット監督は「どのようにして生きるか?」「人間の一番大事なものは何か?」といったテーマで作品を撮り続けている。そういったテーマを撮るための小道具が怪物(ゼノモーフ)や人造人間(アンドロイド)であり、撮りたい物はテーマであって小道具ではないわけだ。
 「人間とは何か?」、「神とは?」、「信仰とは?」みたいな宗教的・哲学的なテーマがどの作品の根っこの部分にあるように思えてならない。

 そういった事を前提に考えると、前作の『プロメテウス』に引き続き今作の『エイリアン・コヴェナント』”アンドロイドのデヴィッドの物語”になるのは、まぁ納得できる。

凶暴な怪物+暴走したアンドロイドで”エイリアン(異邦人)”のダブルミーニングをやっている事については前述しましたが、『エイリアン』の一作目が、”凶暴な怪物”の方に重点を置いてテーマを描いたのに対し、今作では、”暴走したアンドロイド”の方に重点を置いて物語を作っている印象を受けた。

前作『プロメテウス』ノミオ・ラパス演じるエリザベス・ショウ博士がずっと十字架を身に着けていたように、今作でも信心深い人物が出てくる。冒頭で船長職を引き継いだオラムがそうだ。

このいかにも頼りなさそうな、何かやらかしそうな男をビリー・グラダップが演じている。この頼りない船長代理は、何かとつけて自信の信仰について触れる。

結局は、ゼノモーフの宿主第一号になってしまうのだが、ゼノモーフを生み出すための素材となったのが、二人とも信心深い人間というのが凄い皮肉だと思う。

キリスト教信者ではないブログ主にとっては、”凄い皮肉”にしか思えないが、これも何らかの宗教的な意味合いがあるんでしょうかね?

今作も、アンドロイドがメインで宗教的・哲学的なお話をやっています。リドリー御大が何を撮りたいのかは分かりますが、出来ればもう少しエンターテイメントの事も考えて欲しいなぁーと思う訳です。

ほとんどの人が「エイリアン」を冠する作品に期待するのは、怪物が暴れまわるホラー作品だと思うんですよ(断言)。勿論当ブログ主もその類の人種です。もう少し”ゼノモーフ”の出番を増やして頂けないだろうか。

ほとんどの観客が、観たいのは”怪物が暴れまわる”作品であって”中二病のアンドロイドが暴走する”作品じゃないと思う。アンドロイド同士のマーベルヒーロー並みの格闘シーンも、マイケル・ファスペンダー同士のkissシーンも求めてないです。
 kissシーンのおかげでさっきから頭の中のルドガー・ハウアーが、何かを悟った顔をしながら(手には鳩)「これがBLか……」と呟いているんだがどうしてくれる!(笑)

(※ルドガー・ハウアー 「ブレード・ランナー」でレプリカントのリーダーを演じていた人)

そういえば『ブレードランナー』のリブート作品ももうすぐ公開されますが、人造人間の話はそっちで集中してやるわけにはいけないのだろうか?

屋台の親父:「一つで十分なんすよー。勘弁してくださいよー」

ゼノモーフ(エイリアン)のCGについて

最後に、CGで作られたゼノモーフについて、ちょいと触れておきたい。

正直CGの技術は、ここ数年あんまり変わってないような気がする。確か『エイリアン4』の水中で泳ぐシーンあたりから使われてるはずだが、フルCGだとまだちょっと違和感といいますか、質感が足りないような気がする。

しかし、コストの面では、昔ながらのパペットや着ぐるみを使った特撮よりも、フルCGの方が安く済むらしい。

さらに、良くも悪くもCG技術が出て来たおかげで、怪物が暗闇の中から出て来れたわけです。

パペットや着ぐるみを使っていた時代は、なんとかそれっぽく見せる為に、怪物をあまり画面に出さなかった。そのなかなか姿を現さない怪物が、ホラー映画の作風と上手くマッチングしたのが過去の名作ホラーだったと思う。

一作目の『エイリアン』今観ても傑作だが、怪物の出番はビックリするほど少ない。全身像が、映るのなんてラストの数分ぐらいです。

CGのおかげで、怪物を最初から最後まで、出し惜しみしないで済むようになったが、皮肉な事に、ホラー映画として大切な何かが削ぎ落とされてしまった感はあると思う。怪物の存在感だとか、神性みたいなもんです。そういったものが、技術の進歩と新たな才能により復活しないかなー、と思いながらここ何年か怪物映画を観ている。

良くも悪くも、技術の進歩は止められない。それが、コストの面でも有用ならばなおさらです。

それならば、技術的なブレイクスルーが起きる事を願うし、CGによる表現のより良い”落としどころ”が誕生して欲しいものです。

しかし、残念ながら今作は、怪物が襲ってくるシーンに不満が残る出来だった。怪物の襲撃シーンのほとんどが、やたらと画面が揺れて見にくい。画面を揺らす古典的な方法が、あまりフルCGの怪物と合っていなかった気がする。

結局、まだ技術的な解決方法は出て来てないみたいだが、きっとその内にいい方法が出てくると信じています。
 
これも「未来は今よりきっといいはずだ」、という神話性の話ですね(笑)

長々と書いてしまいましたが、僕の評価としてはA評価です。
「映画館に怪物映画を観に行く」←この行為そのものが一つのイベントとして成立しうるライフスタイルなんで、映画館で怪物映画が観れただけでAランクを付けたくなるくらいです(笑)
 これぐらい気合の入った怪物映画が毎年コンスタンスにやってくれれば嬉しいですがね。今年は『キングコング 骸骨島の巨神』、『ライフ』、『新感染』とやってくれて、さらに『猿の惑星 聖戦記』とアニメ版『ゴジラ』が控えている。

 うん、いい年だ(笑)

 

総評・感想まとめ

総評:♡♡♡♡♡♡♡♡ 8/10
キャラクター………〇
・若干影の薄い人がチラホラいる。  ・コントみたいな死に方多数、✖
・アンドロイドのデヴィッドが全てを持って行った作品。

ストーリー………〇
・惑星に降り立って寄生される様は、一作目の焼き直しである。
・デヴィッド祭り。   ・やや難解である。

カメラ・演出とう………△
・画面を揺らす演出を多用するのは勘弁してほしい。
・暗いシーン・目がチカチカするシーンも多いのが✖

怪物……〇
・デザイン等は文句なし。新型(プロトタイプ)もよかった。
・ゼノモーフの出番の少なさはがっかり✖

・このご時世にシャワーシーンの襲撃シーンをやってくれるゼノモーフ……萌え♡

 

雑多な感想
・全体的に一作目の焼き直しである。
・CGが期待よりも悪かった。
・哲学的・宗教的なテーマが目立った。  ・格闘シーンは、マーベルヒーローもの?(笑)

 

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