( ・Д・)<加齢だよ!
いや、親父ギャグって、無駄に感染力が高いっていう研究結果があってね。
見たり、聞いたりすると感染していくんだよ。それも潜伏期間が長いんだぜ……。
そんな恐ろしい感染映画を、今回はご紹介しよう。
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「デス・フロア」
・製作年:2017年
・製作国:イタリア
・上映時間:98分
・原題:「In un giorno la fine」
・監督:ダニエーレ・ミシシチア
・製作:アントニオ・マネッティ
・出演:アレッサンドロ・ロヤ/クラウディオ・カミッリ/エウリーディチェ・アクセン……etc.
予告編
※↑再生にひと手間かかりますが、他に見つからなかったので張っておきます。
「デス・フロア」:「あらすじ」
ビジネスマンのクラウディオは、商談のためにエレベーターに乗り込む。
しかし、エレベーターは発電機のトラブルで停止してしまう。いっこうに復旧しないエレベーターに、しびれを切らすクラウディオ。
だが、エレベーターの外では、人間を凶暴化させる恐ろしいウィルス感染が広まっていた……。
「デス・フロア」:感想/ネタバレ有
エレベーターに閉じ込められた時の正しい対処法(ゾンビ映画編)
「主人公のクラウディオは、性格に難があるがやり手で優秀なビジネスマン。
そんなクラウディオが、顧客に会うために乗り込んだ自社ビルのエレベーターが、緊急停止。
渋滞で遅れてイライラしているクラウディオは、管理会社の連中に早く仕事をする事を要請。
エレベーターが復旧しない中、ゾンビパンデミックが発生し、クラウディオは、半開きのエレベーターの中に閉じ込められてしまう。果たしてクラウディオの運命は……」
というのが、本作のあらすじだ。
序盤はこのクラウディオが、とにかく嫌な奴として描かれる。
部下の若者や、管理会社のブルーカラーには、傲慢な態度で接し、既婚者ながら会社の女性は片っ端から口説く、自己中心的で臆病な男として描かれている。
「優秀なビジネスマン」要素も、部下の態度からなんとなく分かるといった具合で、本人が優秀そうな描写はない。
ただ、強引で押し出しが強いから、その辺は向いているのかもしれない。
本編中ではハッキリと語られないが、閉所恐怖症設定らしい。
とりあえず、クラウディオ改め、面堂終太郎と呼ぶことにする。
そんなクラウディオ面堂終太郎が、エレベーターの中に閉じ込められてしまう&ゾンビパンデミック。
エレベーターの緊急連絡に出た守衛は、
「誰か来たみたいです」
「誰だ?仕事中だ」
「うわぁぁーーー!!」
という、ギャグの様なテンプレの台詞を残して退場する。
その流れるような台詞の連続に、シリアスなシーンなんだが笑ってしまう。
妻からの電話、スマホから見た動画サイトで、異変が起こっていることが間接的に語られていく。
どうにか脱出しようと、頑張って扉を30cmセンチ程こじ開けたクラウディオ面堂終太郎の目に飛び込んできたものは……ゾンビが人を襲う地獄絵図。
その中には、クラウディオ面堂終太郎のかつての浮気相手の姿も……。
とんでもないことが起こっていることに、気づくクラウディオ面堂終太郎。
そこからなんとか抜け出そうと、じたばたするのがこの作品の大半を占める。
全くびくともしないドアの隙間から、覗く廊下。
そこに生存者がちょくちょく通りかかっては、喰われていく。
その時のクラウディオ面堂終太郎の反応が、
同僚の男(太ったおっさん)→対応やる気なし。
新人の女の子(美人)→必死。
秘書の女性(美人)→必死。
と、非常に分かりやすい(笑)
ここまで筋の通った助平野郎だと、一周回って好感が持てる。
やはり面堂終太郎の名に相応しい。
そして消える電気。
↓
(※画像はイメージです)
狭くて暗いエレベーターに閉じ込められ、精神的に限界のクラウディオ面堂終太郎の前に、ヒーローが現れる。
彼の名は、マルチェロ。ガチムチのひげ面の大男。
部隊からはぐれたこの警察官が、本作の真の主人公である。
「ヒーローは遅れて現れる!! それがメキシコ式」
(※漫画『稲中卓球部』より抜粋)
ここに来て、クラウディオ面堂終太郎が、実質ヒロインポジションに移動するのが笑える。
その後は、ひげ面の大男(マルチェロ)をラジコン操作して、二人でタバコ吸うイベントが待っている。
「何を言ってるかよく分かんない」かもしれないが、だいたいそんな映画。
おっさん人生を振り返る(ゾンビ映画編)
本作の前半は、エレベーターの中でのゾンビとの攻防戦が描かれる。
エレベーターの中、非常に狭いスペースで繰り広げられる籠城戦ものである。
それに対して、後半はややヒューマンドラマ・「分かりやすいいい話」の要素が強い。
「ゾンビパンデミック」という非日常が、「自分の今までの人生、これでよかったのだろうか?」と振り返るきっかけとなるパターン。
その辺りは、同じくGAGA(ギャガ)配給のゾンビ映画『サンズ・オブ・ザ・デッド』と同じような流れ。
この手のヒューマンドラマは、ともすればチープになり、中だるみの原因になるが、俳優陣の演技が十分及第点に達しているのと、台詞回しがクールなんで面白かった。
やっぱり、役者の演技と台詞は重要だ。
おっさん二人でタバコをふかしながら、ちょっと人生を振り返る……なかなか味があっていいシーンだと思うよ。
GAGA(ギャガ)プレゼンツらしく、ややひねった内容のホラー作品。
低予算ながら、演技・音響・カメラワークなどの基本的な事柄は、一定のクオリティを満たしている。
ゾンビの特殊メイクも気合が入っていていい感じだ。
しかし、残念な部分もある。
全編エレベーターの中で行われる、ワンシュチュエーションホラーなんだが、全体的に緊張感がないのが残念。
侵入もできないが、脱出もできない、マルチェロ曰く「神様だって入れない」エレベーターの中。
いわゆる監禁状態なのに、主人公はスマホのバッテリーの心配はしない、水を節約せずに血を洗い流すのに使う、後半けっこうな重傷を負うが、あんまりこたえてないない……etcと、
「やべぇ!ピンチやん!」と、伝わってこないのだ。
もうちょっと「飢え死に」や「バッテリー切れ」「怪我による失血死・感染症」さらには、閉所恐怖症・暗所恐怖症などを表現してもいいと思う。ハラハラドキドキ感がない。
そのせいで「ホラー」というよりは「ゾンビの出てくるちょっといい話」になってしまっている。
もうちょっと「ホラー」要素がしっかりしていたら、違う評価になったのに、惜しい。
最後に、エンディングについて。
どういったわけか、最後の最後でコメディっぽい終わり方をする。
全編通して、シリアスな作品だったのに、最後の最後で「THE END?」はないんじゃないだろうか?
『ゾンビランド』や『ショーン・オブ・ザ・デッド』じゃないんだから、「?」をつけなくていいかと思う。
と言いつつ、途中から「あれ?主人公が面堂終太郎に見えるぞ……」と思ってしまい、コメディ映画感覚で観てしまった。
親父ギャグだけじゃなく、「映画のみかた」も感染するんだぜ……。
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡ 5/10
●キャラクター………〇
・主人公のクラウディオがいい感じにクズ。
・ダメ人間だが所々で人間臭さを見せる。親しみを覚えるタイプのダメ人間。
●ストーリー………△
・あってないような物。ワンシュチュエーションホラーのゾンビ物→おっさんの告白・懺悔もの。
・ガッツリとしたホラー・スリラーを期待して観るとがっかりするかもしれない。
●カメラ・演出とう………△
・基本的に同じような構図が多い。
・アイデアは面白いと思うが、後半ちょっと飽きる。
●怪物……〇
・ゾンビの出来はいい。
・グロ表現はマイルド。その辺りは好き嫌いが分かれると思う。
●その他・印象に残ったところ
・途中で登場する、ガチムチひげ面の大男の警官が実質的な主人公で。
・クラウディオが、ヒロインポジに移行するのが笑える。これもうわかんねぇな……。
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