今回紹介する作品は「ハロウィン」です。便宜上「ハロウィン(2018)」みたいに表記される事もある。
かの”殺人鬼マイケル・マイヤーズ”が有名な作品。シリーズ一作目のキャストとスタッフが集結して、三部作を作るのだとか。リメイク作品でも、リブート作品でもなくて「続編」です。
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「ハロウィン」
・製作年:2018年
・製作国:アメリカ ※R-15作品
・上映時間:106分
・原題:「HALLOWEEN」
・監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
・製作:ジェイソン・ブラム ・製作総指揮:ジョン・カーペンター
・脚本:ダニ・マクブライト ・音楽:ジョン・カーペンター
・出演:ジェイミー・リー・カーティス/ジュディ・グリア/アンディ・マティチャック/ニック・キャッスル……etc.
※マイケル・マイヤーズ役と、ローリー・ストロード役は40年前のキャストと同じ。印象的な音楽はジョン・カーペンターが手掛けている。(※ジョン・カーペンターの息子も音楽で参加している)
予告編
「ハロウィン」:あらすじ
1978年、ハロウィンの夜。殺人鬼マイケル・マイヤーズが精神病院から脱走し、街の人々を殺害する事件が発生。彼の目的はひとりの女子高生ローリー・ストロードの命だった。すんでのところでマイケルは射殺され、ローリーは事件の唯一の生存者となった。40年の時を経た2018年、ハロウィンの夜。精神病棟を移送中に事故が発生。マイケルは再び行方をくらまし、恐怖に満ちたハロウィンの夜が始まる-。
~Amazon作品紹介より抜粋~
リメイク作品・リブート作品ではなく、40年ぶりのシリーズ公式の続編といった形をとっている。
「2」や「3」、ロブ・ゾンビ版はなかったことになっている。
「ターミネーター」シリーズもそうなんだが、この「過去の作品はなかったことにする」ってどうなのよ?
ロブ・ゾンビ版好きなんだけどな……。
ついでに、新作が出たのはいいが、オリジナルである、1978年版が今では、観るのが難しい。
街のマニアックな品ぞろえの店を見つけるしかないのが(;´Д`)
レンタル屋はともかくとして、動画配信サービスでもないのはどうしてなんだ!
「ハロウィン」:感想/ネタバレ有
本作の内容を一言で表現すると、
「ババアVS殺人鬼」
……漫画☆太郎先生案件?
1978年版「ハロウィン」の後、事件のトラウマがもとで、「ターミネーター2」のサラ・コナーばりにパラノイア女戦士になったローリー・ストロードが、おばあちゃんになって登場。
マイケル・マイヤーズがいつ襲ってきてもいいように、武器の取り扱いを覚え、体を鍛えて、家を要塞化して備えています。そんな様子が周りからは、パラノイアに見えるらしく、人生うまくいってないようだ。そんなわけで、実の娘とも疎遠である様子。
そんな中、マイケル・マイヤーズに興味津々なネット記者が訪ねてくる。彼らのせいで、刑務所で40年間おとなしくしていたマイケル・マイヤーズが脱走。(このあたりの展開は最近の世相への皮肉だろうと思われる)
脱走したマイケル・マイヤーズは、その場に居合わせた街の人々を、次々に惨殺しながら、ローリーのもとに向かってきます。
ここで、「ババアVS殺人鬼」の火ぶたが切って落とされる!
個人的には、微妙な作品なんで、愚痴多め、毒多めの感想です。
意識高い系ホラー映画。
本作は、テーマとして「搾取される女性・暴力を受ける女性」の開放みたいなテーマが強い。そのような観点から紹介している映画雑誌・ブロガーが多くて、鑑賞する前から不安があった。
そういったテーマを否定するつもりないけど、ホラー映画にやたらと意識高い系の人が、群がって来るってどういうことなのさ?
映画情報誌に載っていた、2000年代前半のホラー映画の紹介記事なんて、アホなやつばっかりだったぜ。最近のアメリカでは、アメコミ原作の作品しか予算が集まらないと聞いたが、B級テイストの映画・ホラー映画も長く続いて、下手に大作になってしまうと、かえって作りにくいようだ。
なんだか、昔の尖っていた作品が、大衆向けにマイルドになってしまう事がほとんど。日本でも少し前に、深夜帯でやっていた人気番組をゴールデンに持ってきて軒並み失敗していたが、そんな感じだ。
「聖に俗を見て、俗に聖を見る」という姿勢も大切だと思うが、ホラー映画ぐらいアホな方向で作って欲しい。ティーンエイジャーが、友達とテレビの前でスナック菓子とコーラ片手に気軽に観える作品であった欲しい。
難しいテーマを入れるのなら、もっと他のジャンルがあるだろう!、意識高い奴らは巣に帰れ!!と言いたい。
なんとなく、最近の映画館で公開されるレベルのホラー映画・怪物映画って、「ここまではやっていい」という表現のリフレイン+女性・マイノリティの活躍+スタイリッシュな映像を組み合わせた、ある意味無個性な作品群ばかりな気がする。「多様性」をうたっている割には、「画一化」が進むという、かなりねじれた現象が起きてないかい?
印象に残るホラー映画のシーンなんて、言い換えればトラウマ以外の何物でもないから、印象に残らないのはいいのかもしれないが、ちょっと無個性すぎやしないか?
マイケル・マイヤーズ自体は、いつも通り容赦ないヤリっぷりで笑えた。しかし、マイケル・マイヤーズの生い立ちを詳しく描いたロブ・ゾンビ版を見た後だと、今作のマイヤーズは、バックボーンが一切語られないので、観ていて感情移入も何もあったもんじゃない。
いつものマイケルで安心する一方、ヤラれ役の奴らが、出てきてヤラれるだけの人なんで、こっちの方にもなんの感情移入も出来ない。過去の「ハロウィン」シリーズを鑑賞した人向けの、言うならば”同窓会”みたいなノリなんで、初見の人は、つまらないんじゃないかな?
マイケル・マイヤーズを”純粋な悪”として描きたいのか、善良な人々ばかり犠牲になる。しかし、味方によっては、善人としての記号をまとった人が、ぽっと出で淡々と殺されていくだけなんで、なんだかなぁーといった感じ。
ただし、孫娘を最悪なタイミングで口説いたオタクぽいあんちゃんが殺されるシーンは面白かった。ライトが点いたり消えたりするシーンで、気づくと目の前に立っているのには笑った。
ついでに、浮気していた彼氏は、次回作でまた出てくるポジションなんでしょうか?こいつに報いを!
全体的に、ヤル方もヤラれる方も印象が薄いし、ヒロインのローリー婆さんは若干キ〇ガイなんで、観ていて感情移入できる奴がいない。
ホラー映画で誰が犠牲になるべきか?
そもそも、今回「女性の活躍」シーンの為に、「死ななくていい奴」が死んでしまい、その結果テーマ以前に物語が破綻気味な気がするんですよね。
ローリーの娘婿と、老保安官は殺しちゃいけない奴だと思うよ。
「パラノイアの母親に育てられたせいでパラノイアに育った女性」と結婚して、曲がりなりにも幸せな家庭を築いていたなんて、このおやっさんただ者ではないぞ。それをテーマに一本映画が撮れるぐらいだ(笑)
このおやっさん、マイケル・マイヤーズの悪魔的な存在をいまいち信じていないキャラクターの代表だが、こういったキャラも生きてないと「マイケル・マイヤーズの存在を疑う者は死に、信じる者はパラノイアになる」なんて嫌な法則・メッセージが出来てしまう。
保安官にしても「マイケル・マイヤーズに立ち向かって生きており、なおかつ人生が狂わされていない」キャラクターだったのに、殺しちゃったから、なおさら、前述の法則・メッセージが強化される。
ついでに、この善玉のおっさん二人が死んだ時の女性陣の反応の薄さはなんなの?
もうちょっと、取り乱してもいいと思う。
祖母、母、孫と全員”鉄の女”過ぎて「なんだかなぁー」といった感じだ。
ただし、「かかったな!(gotcha)」の下りは最高だった。
映画の基本的な事はしっかりしているし、全体的にスペックは高いが「なんだかなぁー」て作品。悪くはない、悪くはないんだが、個人的な感想だが、あんまり印象に残らないというか、見終わった途端に凄い勢いで忘れていくような作品だった。
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡♡ 6/10
●キャラクター………〇
・ローリーが凶悪なババアになって登場。肉食系の鬼ババになってて笑う。
・↑が濃すぎて、他のキャラが薄く感じる。「ヤラれ役」の奴らは本当に出てきてヤラれるだけ。
●ストーリー………〇
・序盤の展開が無駄に長い。
・個人的には、殺してはいけないキャラクターをやっちゃっていると思う。どうなのよ?それ?
●カメラ・演出とう………◎
・シリーズの代名詞である、あの印象的な音楽は今作でも健在。
・グロ描写、残酷描写は容赦がない感じ。
●怪物……◎
・相変わらずの殺人マシーンぶりが拝める。よくも悪くもぶれない感じで好感が持てる。
・設定的には爺さんのはずだが、異常なパワーとタフネスさは健在。
●その他・印象に残ったところ
・”クローゼットの中のブギーマン”を忠実に再現。
・おばあちゃんが強すぎ。
・「かかったな!(gotcha)」の下り。
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