「クワイエット・フォレスト」感想・レビュー  ~”何か”に見つかる恐怖~

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映画

本日紹介する作品は「クワイエット・フォレスト」です。

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作品情報・スタッフ・キャスト

「クワイエット・フォレスト」
製作年:2016年
製作国:メキシコ/フランス合作
上映時間:95分
原題:「LAS TINIEBLAS/THE DARKNESS」

監督:ダニエル・カストロ・ジンブロン
脚本:ダビ・パブロス  ・撮影:ディアゴ・ガルシア
音楽:カルロ・アイヨン
出演:ブロンティス・ホドロスキー/アリオシャ・ソートニコフ/カミラ・ロバートソン・グレニー/フェルナンド・アルバレス・ㇾベイユ

予告編

「クワイエット・フォレスト」:あらすじ

「アンヘルは、兄と妹、父親と共に山奥の小屋で暮らしていた。外には何か恐ろしいものがいて、アンヘルたちは、それに見つからないように、ひっそりと息を殺して生活していた。

ある日、父親と兄が外に物資を調達しに向かい、父親だけが帰ってくる。

兄の死を信じきれないアンヘルは、隠し持っていたガスマスクを手に、兄を探しに小屋を抜け出すが……」

感想/ネタバレ有

ちょっと前に、似たような構図のパッケージを見たような……

ホラー映画ってB級のフォロワーが、割と出やすいジャンルだよね。
いや、正確にはパチモンタイトルか(笑)

さて、香ばしい匂いがプンプンする本作。
どんな内容かワクワクするぜ!

本作の邦題・パッケージは、少し前に公開された「クワイエット・プレイス」を意識している。

提供は、インター・フィルム、株式会社トランスフォーマー。

暗い・つらい・よく分からない。

何らかの人気作が出ると、B級映画専門の会社が、いわゆる”パチモン”を出してくる。そこまでは、いつものパターンだからそんなに驚くことではない。
 
 僕は、そういったB級作品が好きだから、むしろ率先して借りてくるぐらいだ。
しかし、いくらB級作品が苦にならないからといって「なんでもOK」、というわけではない。

 ホラー・SF・パニックジャンルのパチモンタイトル作品は「エロい・グロい・くだらない」の三拍子揃ったバカ映画で、ラストは爆破オチと相場が決まっている。

 だが、時々妙にシリアスな作品が混ざっており、そういったのは評価に困る。
こっちは、バカ映画だと思ってワクワク♪しながら借りて来たのに、やたらとシリアスで哲学的、芸術性の高い映像が続いたら、期待と現実のギャップで思考がフリーズしてしまう。

 本作品も、そういった妙にシリアスで芸術性の高い作品だ。

「音を立てたら即死」
、パクリ元を、一切隠す気がないキャッチコピーがついている。
ついでにあらすじ欄に「怪物」の文字。

冒頭から、笑い声を上げながら、家族総出でかくれんぼに興ずる主人公。
笑い声、扉を勢いよく開ける音、家族の日常会話。

この時点で「一切の音を立ててはならない」ピリピリした緊張感に、観客を巻き込んだ本家とは、似ても似つかない作品だという事が分かる。

じゃあ、どういったテーマの話なのか?
「自立したい子供と、過保護な親。それによって起こる悲劇」
、というこれまた創作ではお馴染みのテーマで、それに+αがされている。

 その+α部分が
「何らかのカタストロフィによって、人類の生存圏が衰退している」
、という妙なSF設定が付いている。
この+α部分が、ハッキリとせずにまとわりついてくる。

冒頭のかくれんぼ(ハイ・アンド・シーク)からずっと、
「何かに見つかる」
「何かに見られている」
、というモチーフを、手を変え品を変え映し出す作品だ。

ただ、その纏わりついてくる不気味さが、どこかで分かりやすい形で出てくる事はない。
最初から最後まで、不気味で意味ありげなだけ。

正直なところ、ちょっとばかし高尚すぎて、僕の頭では理解出来なかった。

キャストの演技は、上手かったと思う。
特に、女の子の何かをジッと見る表情が、よかった。

窓に張り付いてる虫を、ジッと見てるだけなんだけど、それがなんかスゲー嫌な雰囲気なの。
顔自体は可愛いのに、超怖い。

「怪物はささやく」「ジュラシック・ワールド 炎の王国」の監督、フアン・アントニオ・バヨナと、似たようなテーマで撮っているが、こっちの方が分かりにくい感じがする。

作品としては凄いのだろうが、どういった層をターゲットにしているか不明。
ましてや、パチモンタイトルのB級映画を借りる層とは、ミスマッチしか生まないと思うな~(; ̄Д ̄)

画の出来としては、レベルが高いと思うよ。
ただ、売り方がね……

 

よく分からないがモヤっとするよ。

本作は、怪物が全く出て来ない。
じゃあ、パッケージ裏のあらすじ欄が、嘘ばっかりかと言えばそうでもない。
腹の立つ事だが、こういった作品のあらすじ欄は、基本的に嘘は書いていない。

 劇中はっきりと語られないが、何らかの理由で人類は衰退している。山奥の小屋にひっそりと暮らす一家。年代の分かるものは、画面に一切出て来ない。いつの時代の話か、分からないようにしてある。

 主人公の少年アンヘルは、兄と妹、そして父親と共に暮らしていた。
外には”何か”がいて、父親と兄が外に調達に出掛ける際、地下室にアンヘルと妹を隠すのが日課になっている。
 時々、屋根の上に”何か”がいる物音がする。それに怯えながらも、家族で助け合って生きていた。

 ある日ハイティーンの兄貴が「帰ってきたら話がある」、と言い残して行方不明になる。
「兄ちゃんは、やつらに連れてかれた」、と言ったきり口をつぐむ父親。

 体の弱い妹。妹の集めた昆虫の死骸。
 勉強の為に、主人公が朗読させられる医療関連の本。

「窒息」と「間違った治療」の話。

 父親に「入ってはならない」と厳命されている部屋。
そこで見つけた、自分達そっくりの操り人形。怪しい仕掛け。
 ある日出会う他の生存者。
「兄の所に行こう」、と誘う同年代の少女。地下室の窓。動物の死体。恐ろしい夢。レコード。ガスマスク。妹の描いた絵……etc

とにかく、はっきりと言明する事は避けて、色んなモチーフを映し出す。
そうやって、モチーフに間接的に語らせるスタイルの映画なので、怪物が暴れまわるような「分かりやすいホラー作品」を求めて借りてくると肩透かしを喰らうハメになる。

私です。

 
怪物映画を楽しもうと借りてくると、高尚な芸術性の高い映画を観せられて困る。
映画のクオリティ自体は高いと思う。

ただ、このパッケージとタイトル、売り出し方では、視聴者と不幸な出会いしか、しないんじゃないかな?

「思春期の青少年と、過保護な親。それによって起こる悲劇」
なんてテーマのドラマ作品が、観たい人にはお勧め。

総評・感想まとめ

総評:☆☆☆☆☆☆☆ 7/10

キャラクター……◎

・キャラクターはいい。特に、何を考えているか分かんない親父。ついでにどっか病んでる妹。さらに、正体不明の二人組。

・基本的に病んでる人しか出て来ない映画。

●ストーリー……△

・よく分からなかった。モチーフを多用して間接的に語るスタイル。バカ映画だと思って借りてくると痛い目に遭う。

怪物……✖

・個人的には全く評価できない。理由は前述

「病んだ親父が元凶だが、危険な生物自体はいる」という解釈でいいのだろうか?

 

雑多な感想
・真面目な作品。
・「見られている」「見つかる」事についての恐怖。
・女の子の表情が怖い。
・気持ち悪いシーンも多い。虫の死骸とか虫の死骸とか、虫の死ry……。

 

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「クワイエット・プレイス」

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