今回紹介する作品は「オーヴァー・ロード」です。
某有名ラノベではありません。あっちは「オーバーロード・ロード」表記。
”Operation Overlord”(大君主作戦)は「ノルマンディー上陸作戦」における作戦コード名。
作品情報・スタッフ・キャスト
「オーヴァー・ロード」
・製作年:2018年
・製作国:アメリカ
・上映時間:110分
・原題:「Overlord」
・監督:ジュリアス・エイブリー
・製作:J・J・エイブラムス/リンジー・ウェバー ・製作総指揮:ジョー・バーン
・脚本:ビリー・レイ/マーク・L・スミス ・音楽:ジェド・カーゼル
・出演:ジョヴァン・アデポ/ワイアット・ラッセル/マチルド・オリヴィエ/ピル―・アスベック/ジョン・マガロ/イアン・デー・カースデッカー/ジェイコブ・アンダーソン/ドミニク・アップルホワイト/ジャーニー・トーファー/ジョセフ・クイン……etc.
予告編
「オーヴァー・ロード」:あらすじ
第二次世界大戦下、課されたのはドイツ軍が保有する電波塔の爆破。空中戦、地上戦と続く戦場サバイバル。決死の戦いの後に、たどり着いたのはナチスの極秘研究所。そこで迫りくるのは、不死身化した人間兵器との闘い。変化する敵と共に、観る者をゆっくりと異常極まる恐怖世界に誘引していくなか、ミッション遂行は成されるのか…。
~Amazon作品紹介より抜粋~
今まで幾度もなく描かれてきた「ノルマンディー上陸作戦」の前哨戦。
それ+「ナチスが作ったゾンビ兵器」な作品。
J・J・エイブラムスが展開している「クローバー・フィールド」サーガに連なる作品という話もあったが、違うらしい。
「オーヴァー・ロード」:感想/ネタバレ有
さて本作のプロデューサーは、J・J・エイブラムスだ。この時点で「映像〇、演技〇、内容✖」な作品が容易に想像できる。何と言いますか、こっちの観たいものを把握しているのに、絶対に見せてくれない詐欺師みたいなところのある奴である。
「ラーメン屋でラーメン頼んだら、美味いうどんが出てきた……」みたいな、一瞬納得しそうになるが、一応文句言った方がいいやつである。
その辺は覚悟したうえで観賞した方が身のためである。
うん、それでもガッカリするのが、J・J・エイブラムス作品だ(笑)
露骨な脚本。
序盤の戦争シーンは面白かった。。高射砲が発射され、次々に撃ち落されていく輸送機。その地獄のような状況から落下傘降下を決める主人公。地上で待ち構えているナチスの部隊をかわし、目的地に侵入する主人公。
この輸送機の狭い機内で機銃掃射で穴だらけになるシーンや、「稲妻」「雷鳴」の合言葉のシーンなんて、古い戦争映画の焼き直し以外の何物でもない。
昔の名作のワンシーンを、今の技術で撮っているのはいいが、本作は戦争映画ではなくて、ホラー映画の類である。ましてや、怪物の出てくる映画だから、本筋とはあんまり関係ない戦争シーンを気合入れて撮られても、評価のしようがないのである。
案の定、面白いのは、序盤の戦争シーン、敵地に侵入するまでで、その後は中だるみが酷い。
「ナチスはクソだぜ!!」と「アメリカ軍はこんなにいい奴だぜ!」てのを延々と見せられる。
「ナチスがクソ!」なんてのはいつもの事だし、史実だが、よくここまで趣味の悪い、露骨な脚本を書いたものだと思うよ。
ついでに「女性上げ」と「主人公の黒人青年あげ」も描かれるが、もう少し上手く描けんものだろうか?
そんな感想が出てくるほど酷く露骨だ。よく言えば「わかりやすい」なんだけど、個人的には、ちょっと露骨すぎやしないかと思った。
ポリティカルコネクトとは無縁の、どんな風に描いても文句を言われない素材として、「ナチス、サメ、ゾンビ、エイリアン」があげられるが、本作は「ナチスが作ったゾンビ兵器」なもんで、まぁ、酷いこと酷い事(笑)
どんな風に料理したって、苦情なんてこないわけだ。
そんな訳で、「ナチスが作ったゾンビ兵器」なんて聞いたら、もっと派手なぶっ飛んだバカ映画を期待するのが人間というもの。本作はそういった「バカバカしさ」はあるものも、なんとも消化不良で終わってしまい残念だ。
以下その理由を示す。
この手の「不死身の兵士=ゾンビの親戚」みたいなのは、数がたくさん出てきてナンボなんで、人数、登場頻度ともに少ないのは致命的だと思う。
とにかく、このゾンビの親戚みたいな奴が、画面に出てこない。
初代「エイリアン」並に出てこない。序盤は戦争シーンと人間ドラマで尺を稼ぎ、中盤はジャンプスケアとそれっぽい音楽で尺を稼ぐ。
ゾンビを出せ(笑)
この手の吸血鬼のなりそこないみたいな、走るゾンビは数を出してナンボです。迫りくるゾンビにトミーガンを連射してなぎ倒したり、ナチスから奪ったパンツァーファウストをぶっ放して欲しかった。火炎放射器で「ヒャッハー!」する描写もあるが、基本的に「戦争>ゾンビ」で個人的にはガッカリ。
デジタルの時代に、ジャンプスケアと音楽だけで恐怖を演出するのは合わないんじゃないかと。ましてや、本作は「サバイバルアクション」なんて謳っているから、なおさらそういったクラシックスタイルのホラーと相性が悪い。
音楽は、なかなか緊張感があっていい感じだった。
調べたら「エイリアン・コヴェナント」や「アサシン・クリード」などに参加している。
「武器人間」の変態性を薄めて、代わりに戦争成分を濃くして大衆受けを狙ったかのような作品。そいったところが、個人的には合わなかったかな。
戦争シーンは迫力があってよかったが、その辺の労力をモンスター方面に、もうちょっと回して欲しかった。
どういった事を期待して観るかによって、評価が変わる映画だと思う。
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡ 5/10
●キャラクター………〇
・キャラは立っていたと思う。
・使われない設定の数々。
●ストーリー………△
・よく言えば分かりやすい、悪く言えば露骨な脚本。
・中だるみが酷い。
●カメラ・演出とう………〇
・映像は綺麗。
・音楽はよかった。
●怪物……△
・メイク・造形は〇
・出番が少ない。設定は謎。クロエのおばさんはどうしたの?
●その他・印象に残ったところ
・面白いシーンは序盤とクライマックスに集中している。
・戦争:ゾンビ 7:3みたいな感じ。
・ナチスドイツの兵隊が、物凄くポンコツなお笑い集団に描かれていた(笑)
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