今回紹介する作品は「ザ・プレデター」です。
去年、劇場まで足を運んだのですが、忙しかったり、体調を崩してたりで、感想を書かずにそのままだった。年を越せないといけないので、書いときます。
……うん、年は越せたな。
目次
作品情報・スタッフ・スタッフ
「ザ・プレデター」
・製作年:2018年
・製作国:アメリカ
・上映時間:107分
・原題:「THE PREDATOR」 ・参考→公式HP← ・※R-15作品
・監督:シェーン・ブラック /「アイアンマン3」「ナイスガイズ」
・製作:ジョン・デイビス/ローレンス・ゴードン
・出演:ボイド・ホルブルック/オリヴィア・マン/ジェイコブ・トレンブロイ/トレヴァンテ・ローズ/キーガン・マイケル・キー/トーマス・ジェーン/スターリン・K・ブラウン/ジェイク・ビューシイ/アルファ―・アレン/アウグスト・アギレラ/イヴォンヌ・ストラホスキー……etc.
※監督を務めているシェーン・ブラックは、役者として『プレデター』の一作目に出ている。
ダッチ・シェイファー(シュワルツェネッガー)率いる特殊部隊最初の犠牲者であり、プレデターにスクリーン上で最初に殺された男、ホーキンスを演じていた。下ネタばっかり言っていた通信担当の兵隊。
出演陣で要注目なのは、トーマス・ジェーンとジェイク・ビューシイの二人。
・トーマス・ジェーンは「ディープ・ブルー」「ドリーム・キャッチャー」「ミュータント・クロニクル」「ミスト」などの「出来のいいモンスター物」で主役級を務めている人。
こうやって、改めて出演作を調べていくと、管理人の好きな映画には、だいたい出てる様な気がして来た(笑)
「ミスト」のお父さんと言えば、分かってもらえるだろうか。
本作では、PDSTに苦しむ元海兵隊員のバクスターを演じている。
・ジェイク・ビューシイは「スターシップ・トゥルーパーズ」で、主人公のジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)の戦友エース・レビー役を演じた。
本作「ザ・プレデター」で彼が演じるのは、ピーター・キース捜査官(演じていたのは父で俳優のゲイリー・ビジー)の息子の、ドクター・ショーン・キースだ。
「プレデター2」において、父親のピーター・キースは、あんな事になってしまったが、さて息子の方はどうだろう?
予告編
『ザ・プレデター』:あらすじ
元特殊部隊員の傭兵クインの息子ローリーは、父が偶然に入手した謎の装置を起動させてしまう。それは、最凶最悪のハンター、プレデターを地球に呼び寄せるものだった。一方、プレデターと接触したことで、その存在を隠蔽したい政府に監禁されてしまったクインは、ルーニーズと呼ばれるならず者の兵士たちと脱走を図り、危険が迫る息子の元へ急ぐが…。
~公式HPのあらすじから抜粋~
怪物映画なんだけど「家族の絆」や「人と人の繋がり」のドラマパートも、ちゃんとやらんといかんのは時代だろう。
もう、「怪物の出てくるアクションホラー」なんて作品を能天気に作れる時代じゃないのかもしれない……と思っていたら、シェーン・ブラックがやりたい放題やっててスカッとした。
こういう「意識低い」作品でいいんだよ!
「ザ・プレデター」:感想/ネタバレ有
残虐シーンはかなり多め
本作はアクションシーンが多めである。その結果アクション映画で、ヒーローが、雑魚キャラを大量に薙ぎ払うのを「プレデター&モブ兵士」でやってるため、そりゃまぁ、酷い事になる(笑)
「いや”かっこ笑い”じゃねーよ」、お怒りの方もおられるだろうが、あんまりにも極端にバッサバッサと景気よく散って逝くため、もはやギャグである。
「MEG・ザ・モンスター」がかなりマイルドな流血シーンだったのに対して、こちらはかなりの「残虐ファイト」多めである。
人体破壊描写、流血シーンをかなり派手にやってるため、そういったシーンが苦手な方は注意。
R-15指定作品です。
「ザ・プレデター」見どころ
●プレデターの出て来る「特攻野郎Aチーム」
・本作も、一作目の「プレデター」を彷彿とさせる、曲者揃いの兵達(つわものたち)が集結する。
そのチームが、まとまっていく過程をかなり丁寧に描写するため、途中までは”プレデター”の出て来る「特攻野郎Aチーム」みたいなノリ。
タフガイ達が、きわどいギャグを連発するコメディタッチなシーンも多い。
●今回の”新プレデター”の出来はどうなの?
・本作「ザ・プレデター」は、公開前から色々な情報が出て来て、ファンをヤキモキさせてきた。
と言うのも、前作「プレデターズ」のあいつら(新種の”バーサーカー”)が、どいつもこいつもアッサリ退場したためだろう。
今回の新プレデターは、かなりやりたい放題しますぜ。
少なくとも、「もったいぶって登場した割にはサッパリ」なんてことはない。
人間どもに、残虐ファイトを仕掛けてくる。
その点は、安心してもらっていい。
ただし、プレデターが使う新兵器の出番は、相変わらず少な目でその辺は不満が残る。
とは言っても、シリーズを重ねる度に新しい武器が追加されていった結果、武器が膨大な量になってしまい、とてもじゃないが、全部出せないのだろう。
・プレデターの武装に関しては、テレビゲームや、アメコミのメディアミックスで補完される事が、前提になってそう。武器や設定が増えた結果、全部描くには尺が足りない。
本作では、プレデターのヘルメットの様子が詳細に描かれる。ヘルメットの内側を描写するのは、何気に本作が初めてである。
・映画本編の話ではないが、パンフレットでプレデターの装備の解説ページがなく、その辺が残念だ。
毎回「エイリアン」と「プレデター」に関しては、劇場でパンフレットを購入してくる。設定やコンセプトアートを眺めるのが楽しみなんだ。
毎度毎度、プレデターの武器解説ページを楽しみに買っている層としては、今回のパンフレットには不満が残る。
●「プレデター」「プレデター2」関連ネタ豊富。
・ジェイク・ビューシイのキース ネタを含め、過去作品との繋がりが所々に見られる作品。
「プレデター」ファンならニヤリとなるシーン多め。
・シリーズ一作目の後に、「ダッチ・シェイファーがどうなったのか」について、想像力を掻き立てる台詞もある。
また、過去のプレデター達が、使っていた装備の数々も出て来る。研究所で保管されているが、どれくらい彼らのテクノロジーが、解明されたのか?
その辺りも気になるところ。
一作目の、印象的なあの音楽も出て来るよー♪
「ザ・プレデター」考察
●人間はプレデターの後塵を拝している。
本作では、プレデターにまたもや人間に近い設定が追加された。
彼らは、よその星で採取した生物のDNAを抽出し、自分に注射。それによって自分たちを種として”強化”(バージョンアップ)している設定が追加された。
これについては、人間も同じような事をしていると言えないだろうか?
毒蛇の血清の作り方しかり、インフルエンザの薬が海藻ベースで作られる事しかり、
「科学によって、他の種から抽出したものを自身の体内に取り込んで活用する」
そういった活動の「惑星規模」か「宇宙規模」かのスケールの違いしかない。
人類の科学が進み、DNAの解析が今より進み、遺伝子工学をもっと安全に使えるようになったら、遺伝子を操作しての肉体改造だってかなりカジュアルに行われるのではないか。もうこれも時間の問題かも。
●「言葉」と「犬」
本作では、「言葉」と「犬」が人間とプレデターの共通軸として描かれている。
劇中プレデター達が、人類の言葉を解析し、人類の事をかなり深く理解していると取れるシーンが多い。死体の親指を立てるシーンなんかがそうだが、こちらの「言葉」を解析し、文化も理解している。しかし、そこに「情」も「尊敬(リスペクト)」もないから、人類とプレデターの関係は、非対称的なブラックユーモア地味たものとして描かれている。
そういった「似て非なるもの」として、「犬」との関係性があったのではないか。
本作では、劇中なんども「犬」が出てくる。ケイシーが初登場時に散歩していた犬。ローリーに吠え掛かるイ隣の犬。プレデター犬との対決シーンでうろうろしていた犬。
対して、アルティメットプレデターが猟犬として連れて来た”プレデター犬”なんてのも出てくる。前作「プレデターズ」でも犬を使う要素はあったが、本作では、「犬」に対する態度の違いが「人間」と「プレデター」の違いを端的に表しているようで面白い。
あくまでも「道具」としてしか見ていないプレデター。これはアルティメットプレデター個人の問題ではなくて、「対象を物理的に定義し、それを用立てる」という科学的・物質主義的な見解「事実的な効用」を突き詰めていくと、こういった「血も涙もない」状況に行き着くという、シェーン・ブラックなりの(ブラック)ユーモアなんじゃなかろうか?
そしてその姿は、「人類が今のシステムのまま突き進むとそうなる姿」であり、ここで「プレデター」シリーズお約束の「なんて醜い顔なんだ」に通じてくる。
本作では、ヒロインのケイシー(女性でインテリ科学者)も、ローリー(子供、障害時で天才児)も、最後には「暴力装置」である軍隊に吸収される。主人公のクイン(特殊部隊員)も、殺されかけたのを水に流して軍隊に復帰する。
「男も女も勤労奉仕に駆り立てられることを余儀なくされる。彼らはみな徴用(ベシュテレン)されるのである」 byマルティン・ハイデガー
それこそが「人類が今のシステムのまま突き進んでいる」ことを端的に表しており、また一歩人類は文明的に「プレデター」に近づいた所で映画は終わる。そういった意味では、ラストシーンで出てきた”プレデタースーツ”は、ただの視覚的なメタファーでしかない。
以上のように、本作「ザ・プレデター」は、バカ映画に見せかけて、実はけっこうSF的に考察しがいのある映画だと思う。
しかし、最後のスーツ通称”プレデター・キラー”で人類側をパワーアップさせるよりも、「エクスペンタブルズ」に出演している80年代・90年代のアクションスターと戦わせた方が、面白いんじゃないかな?
「ザ・プレデター」:続編は?
最後に登場した強化スーツ”プレデター・キラー”。
どう見たって「アイアンマン」です、本当にありがとうございます。
シリーズを重ねるごとに強化されるプレデターサイドに対して、人類側もパワーアップする必要があるのも分かるが、あれはやり過ぎだろう。
”プレデター・キラー”を大量配備した人類側とプレデター軍団の対決も観てみたい気もするが、そうなったら完全に別の作品である。少なくとも、一作目のようなホラー要素は、きれいさっぱり消え失せるだろう。
しかし、「エイリアン・コヴェナント」もそうだったが、続編作る人が困りそうな展開で締めるのが多すぎる気がする。
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡♡♡♡ 8/10
●キャラクター………◎
・一作目のと同じく「濃い面々VSモンスター」をやりたかったのだろうが、シュワルツェネッガーに比べてインパクトが弱い。
・キャスティングのせいと言うよりは、一昔前に比べて、”自分の濃さ”が出せない時代のせいな気がする。
・もう「エクスペンタブルズ」とコラボするしかない。
●ストーリー………〇
・前半戦はプレデターの出てくる「特攻野郎Aチーム」である。
・本作品に限らず、最近「怪物」の意味合いが「人間」側のメタファーになっているせいか、変な説教臭さが嫌だ。
●カメラ・演出とう………〇
・B級モンスター映画に比べたらクオリティが高いが、後半、暗い・揺れる・よく分からないシーンが多い。残念。
●怪物……◎
・シリーズを重ねるごとに魔改造されるのには笑う。
・武器・設定が増え過ぎた結果、全体的に薄味になってしまう悲劇。
・怪物が、あんまり人間臭くなるのもどうかと思う。
●雑多な感想
・プレデタードックはどうなったんだろう? ・残虐ファイトぷりには笑った。
・次回作で、本作のオチはどうやって処理するんだろう。
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