今回紹介する映画は「アンダーウォーター」です。
久しぶりに面白い作品に出合えた。
目次
作品情報・スタッフ・キャスト
「アンダーウォーター」
・製作年:2020年
・製作国:アメリカ
・上映時間:95分
・原題:「Under water」
・監督:ウィリアム・ユーバンク
・脚本:ブライアン・ダッフィールド/アダム・コザット
・出演:クリステン・スチュワート/ヴァンサン・カッセル/ジェシカ・ヘンウィック/ジョン・ギャラガー・Jr./マムドゥ・アチー/T・J・ミラー……etc.
予告編
「アンダーウォーター」:あらすじ
「巨大企業ティアン社が運営する海底油田採掘施設・ケプラー基地。そこには316名の従業員が働いていた。
海底基地でエンジニアとして働くノラ(クリステン・スチュワート)は、ある日、大地震に遭遇する。ノラたち生存者は、海面下約11000メートル、水圧1トンの状況下で、急激に崩壊していく基地から潜水服を使って脱出する。
ノラは、他のクルーと共に、近くの中継基地・ローバックを目指して海底を歩いて移動する事になる。光の全くない深海で、水圧と酸素残量に怯えながら目的地を目指す一行。
しかし、深海には人類の想像を超えた恐怖が潜んでいて……」
海面下、約11000メートル・水圧1トンの状況下で繰り広げられる、未知の怪物との死闘を描いた作品。
いわゆる、「深海もの」である。
監督は、「地球最後の男」のウィリアム・ユーバンク。ヒロインを演じているのはクリステン・スチュワートと、この手の映画にしては珍しく気合を入れて作っている。
やっぱり予算とスタッフは大事ってことなのか、この手の「エイリアン」型ホラーの中では、かなり出来がいい作品だと思う。
(そもそも、なんで管理人と同類のボンクラどもは、低予算モンパニを撮りたがるのか?)
モンスター映画マニア以外の人にも、安心して勧められるクオリティーの作品である。
これぐらいのクオリティーなら、劇場公開いけたんとちゃうかい?
少なくとも、「未体験ゾーンの映画たち」あたりでやってもいい出来だと思うけど、やっぱりコロナの影響なんでしょうか?
「アンダーウォーター」:感想/ネタバレ
さて、本作は「深海を舞台に、海底施設の崩落事故に巻き込まれたヒロインが、未知の怪物と死闘を繰り広げる……」といったプロットだ。
そのせいか、やたらと「深海版『エイリアン2』」と評されている。
(分からんでもないが、個人的には、なんで“2”なんだろう? て感じ)
「深海版『エイリアン2』」ってそれって「リヴァイアサン」じゃね?というか、「エイリアン2」なら、監督のジェームズ・キャメロンつながりで「アビス」の方を思い浮かべた人も多いはず。
大雑把な印象なんだけど、前半は「災害パニックもの」で、後半は「モンスターパニック」の二弾構成になっている感じ。
正直な感想として、後半のモンパニ展開よりも、前半の「災害パニック」パートの方が面白かった。
早い展開。序盤から、飛ばしてはくれてます。
最近のホラー映画らしく、本作も序盤から展開が早い。この手の「エイリアン」型ホラーって、中盤までは登場人物の関係性だとか、テクノロジーの描写だとか、後々、伏線回収で使うであろうバックグランド(会社のやり方が酷いだとか、離婚した奥さんがいるみたいなやつ)を時間を掛けてやっていくのがベタな展開である。
最近公開された作品の中では「ライフ」なんかがそう。
本作は、オープニングクレジットを流しながら、海底基地の3D見取り図を背景に、文字で「水圧1トン」「奇妙な目撃談」「問題を検知」「新種の海洋生物」「ティアン社が隠蔽」と、視聴者が知っておくべき情報を手短に説明する。
そこから、クリステン・スチュワート演じる・ノラを映していくのだが、そこから数分で巨大地震に巻き込まれて崩壊していく基地の様子がノンストップで描かれていく。
「エイリアン」型ホラーにつきものの、序盤のダラダラパートが一切ないんだよ。そのダラダラパート=バックグランドの説明パートを、災害パニックものとして撮っている。
崩壊していく海底油田基地から逃げながら、各登場人物の性格だとか、関係や過去を説明していく。そのあたりが上手く物語に落とし込んであり、説明パートで退屈させないアイデアは凄いと思う。
U.M.A”ニンゲン”、モンスター映画に初登場!
さて、皆さんは通称”ニンゲン”、”ヒトガタ”と呼ばれたいるU.M.Aをご存知だろうか?
海中に住むとされる人型の未確認動物(U.M.A)である。南極で目撃されたものを”ニンゲン”。北極で目撃されたものを”ヒトガタ”と呼ぶ。なんでも、目撃者は、日本政府が行った、調査捕鯨の乗組員で、写真も撮影されているだとか。体調は数十メートルに達し、人間を思わせる二本の腕のような器官を持つことから”ニンゲン”、”ヒトガタ”と呼ばれる事となったのだとか。
(妖怪の、海坊主が再発見されただけじゃねーの?)
元々は、日本の某ネット掲示板のコラ画像だ元ネタらしい。
比較的新参のU.M.Aである。世界的な知名度がどれくらいなものかは知らないが、西洋にも”シー・モンク”なんて呼ばれる、海坊主的な伝説はあったはずだから、元々人型の怪物と海洋オカルトは相性がいいのかもしれない。
本作「アンダーウォーター」に出てくる怪物の正体は、劇中はっきりとしないが、その人型の造形から、公開前から一部の間では「ついに”ニンゲン”がホラー映画にでたぞ!」と話題になっていた。
前述したとおり、本作は前半は「災害パニック」で後半が「モンパニ」である。その後半戦部分を担う怪物なんだけど、残念ながら描き方がイマイチだと思う。
「未知のモンスターなんだから、ハッキリと描かない方がいい」という意見も分からんでもないが、せめて映し方は工夫して欲しかった。
襲ってくる場面が水中ばっかりで、とにかく「暗い」「画面がゆれる」「海底の砂を巻き上げる」「光が乱反射する」「動きが速い」と、数え役満てきな見にくさである。
何と言いますか「ハッキリしない」ではなく「画が見づらい」なんで、視聴していてストレスがたまる感じやつ。序盤の基地崩壊パートは、画面を揺らしながらも映像自体はクリアで見やすいものを撮ってただけに、却って残念に感じるのだ。
このスタッフの撮影技術なら、もうちょっとやれた気がすんのよ。
ついでに、怪物よりも「水圧怖い」の方が印象に残るため、な~ん影が薄く感じるのよ。
「ピシ…、ピキッ!……グシャん!!」て感じで、アレがあーなるんだってのを映像で見してくれて、「ああ…水圧って怖い!」って思うのに対して、怪物の描き方が大人しいと言いますか、やっぱり人を襲う瞬間はしっかり撮って欲しい。
この手の映画を評して「本当に怖いのは人間です」なんてのがあるが、それに引っ掛けて「本当に怖いのは”ニンゲン”(U.M.A)です」と言ってやろうと思ったんだが、水圧のが怖いんだもん。
おじさんギャグを封じる方向で作品を作るのはやめてくれないかな……。
デザインや生態が面白いだけに残念。
序盤の施設長の台詞「22人の脱出を確認」と、エピローグの会社発表の生存者数が合わないのをみると、脱出ポッドは全部捕まったんだよね。その辺が地味に怖い。
この手の映画では気合が入っている作品なんで、モンパニ映画クラスター以外の人にもお勧めです。
総評・感想まとめ
評価:♡♡♡♡♡♡♡ 7/10
●キャラクター……○
・この手の映画のテンプレを上手く料理している感じ。
・キャラクターの関係性を、物語の中で見せていくのが上手。
●ストーリー……○
・前半の展開が90点ぐらい。後半は50点ぐらい。
・説明パートを災害パニックとして撮っているのは面白い。
●撮影・音響……○
・基地の崩壊パートはよかった。バランスがいい。
・怪物の撮り方を、もう少し見やすい工夫をして欲しかった。
●怪物……○
・デザイン&生態はグット。
・怪物よりも、水圧の方が怖い。←深海ものってだいたいコレだよ!
●その他の感想
・コテコテの死亡フラグを立てていくとある登場人物には笑った。
・「壁にぶつかった魚はなんて?」→「ギョ、ギョ、」……魚君?
・水圧って怖い。
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