今回紹介する作品は、アイルランド製のホラー・スリラー映画
「KILLERS WITHIN/キラーズ・ウィズイン」です。
目次
作品情報・キャスト・スタッフ
「KILLERS WITHIN/キラーズ・ウィズイン」
・製作年:2018年
・製作国:アイルランド
・上映時間:99分
・原題:「KILLERS WITHIN」
・監督:ポール・ブッシュ/ブライアン・オニール
・脚本:ポール・ブッシュ/ブライアン・オニール
・出演:スー・ウォルシュ/ジェフ・ドイル/ジョニー・エリオット/アンドリュー・マーレイ/サム・ルーカス・スミス…etc.
※監督・俳優共に日本では、ほぼ無名な人ばかりです。
予告編
「KILLERS WITHIN/キラーズ・ウィズイン」:あらすじ
「離婚した夫の借金トラブルのせいで、一人息子を誘拐されたアマンダ。
アマンダは元夫と、仲間たちと供に、裕福な銀行家からお金を奪うことを計画する。
人里離れた豪邸に押し入り、銀行家の家族を人質にとる。計画は成功し、全ては順調だったはずだった。
しかし、アマンダたちを想像を絶する恐怖が襲うのだった……」
「KILLERS WITHIN/キラーズ・ウィズイン」:感想/ネタバレ有
訳ありの奴らが、即席の強盗集団を結成して、金持ちの家を襲撃。
しかし、被害者のはずのセレブ一家は、人間じゃなかった……。
襲う方も、襲われる方も一癖ある映画。
低予算のB級映画の中では、観られる方だと思う。
コロコロ入れ替わる「被害者」と「加害者」
今回紹介するのは、アイルランド産のホラー・スリラー映画です。
何気にアイルランド産の映画を取り上げるのは、初めてかもしれない。色んな国の映画が簡単に手に入る様になったのは、映画ファンとっては嬉しいかぎりだ。
本作のプロットは「山奥の屋敷に踏み込んだ一行が、殺人鬼・怪物に遭遇して酷い目に遭う」
といった、ハリウッド映画で使い古されたものだ。
ただし、この作品がちょっと変わっているのは、主人公たちは強盗団・「加害者」で、襲ってくる怪物は、主人公たちに襲われた「被害者」であるという点だ。
パッケージの「強盗先のセレブ一家の正体は!?」の煽り文句が内容を端的に表している。
ついでに、パッケージでこの映画の怪物がなんなのかネタバレしている。
序盤に「被害者」と「加害者」の立場が入れ替わって、以降、物語の中でそれがコロコロひっくり返る構造を持っている。
その辺りは盲目の老人に襲われる「ドント・ブリーズ」や、襲撃者が特殊な訓練を受けたヒロインに逆襲される「サプライズ」と、同じような物語の構成をしている。
それに加えて、登場人物が曲者ぞろいで展開が読めないのがよかった。
意外な人物が活躍する、展開・テンポがハリウッド映画とは、ちょっと違うのもいい。
ただ、最後に今回の事件の発端である犯罪者集団が、あっさり片付けられる展開は笑った。
まぁ、爬虫類人と死闘繰り広げた後なら、犯罪者なんて雑魚だよな……。
爬虫類人・高速移動・暖炉
今回画面に登場するのは、爬虫類人である。
「人間の中に潜み、人間社会を裏から支配している人喰い人種……」といった、「陰謀論」ではお馴染みのモンスターだ。
正体を現して、鱗だらけの姿はインパクトがあるが、やっている事・映画の表現的にほぼ「吸血鬼」と、同じようなキャラクターになってしまっているのが、少し残念に感じた。
その「爬虫類」属性のためか、中盤あるシーンで、暖炉の近くに陣取って暖をとっていたのには、不覚にも和んでしまった。
ついでに、自分たちの正体や歴史を、丁寧に分かりやすく説明してくれる、基本的には親切なトカゲ人間である(笑)
怪物のビジュアル的な造形は、低予算映画にしては頑張っていたと思う。シンプルだが、嫌悪感を誘う見た目がいい。
ともすれば、滑稽に見えてしまう「トカゲマスク」も、暗闇を上手く使って、それなりに見えるようにしていたのは〇
低予算ホラーはどうしても、「暗闇でごまかす」のが必須になってしまうが、本作はそういった明暗の使い方がわかっている方だと思う。
造形や設定は面白いが、残念だった点もある。
まず、目にも止まらない高速で移動するのだが、その動きが平面のみ。
凄い速さで接近してくるだけなのだ。とんでもない速さで動ける設定なら、壁や天井を使った、立体的な動きを入れてくれたら、もっと面白かったと思う。
ただし、その場合主人公サイトがつみます(笑)
そして何よりも残念だったのは、「目に留まらない速さで動く敵」に対してどう立ち向かうかが、雑だった点だ。
「強引に銃弾を命中させる」「刃物でぶった切る」といったもので、もう少し「頭を使って攻撃を当てる」展開・描写があってもよかったと思う。
至近距離で銃弾をかわす、反射神経と運動能力を持っている敵に、攻撃が当たる場合と当たらない場合の違いが、一切ないのはちょっといただけない。
それでもクライマックスの、主人公&ヒロインと、ラスボスの肉弾戦は単純に面白かった。
「来いよ、ベネット! 銃なんて捨ててかかって来い!」
と、ばかりに原始的な肉弾戦が始まるのはいい。
「人間もケダモノであってそれならモンスターにも対抗できる理論」
は、お約束だが、燃える。
そして、エンディングの途中で、この「怪物一家」の顛末が明かされるのだが、それがまた「ベタなお約束」でいい。
それに合わせてエンディングのメタル調のロックが再開されるのが、またなんとも言えん(笑)
全体的に、そこそこ,よくできたB級映画だと思う。
大作映画とは、比べるまでもないが、休日にテレビの前でゴロゴロしながら観る分には十分なできだと思う。
B級映画好きの方は是非!!
総評・感想まとめ
総評:♡♡♡♡♡♡ 6/10
●キャラクター……〇
・キャラクターの見せ方、使い方がうまい。意外な奴が活躍する・粘るので展開に厚みがでる。
・観終わってからパッケージを見ると、一人全く活躍しなかった奴がドヤ顔で映っていて笑う。
●ストーリー………〇
・テンプレ通りのプロットかと思ったが、序盤の展開に一工夫ある。
・ハリウッド映画とは、少し違う展開が多い。いや、もう自由にハンドルを切ってる感じがなんとも言えない魅力だ。
●怪物………〇
・よくあるモンスターではなく「人間のふりをして人間界に溶け込んでいる」のが特徴。
・「吸血鬼もの」に近い設定である。よくある都市伝説を設定に組み込んでいる感じだ。
・「ダレ得?」の爬虫類人のサービスシーンもあるよ♡
●雑多な感想
・展開に一捻りある作品。
・オチはこの手の映画のお約束。
・キャラクターしぶとく、バトルに粘りがあってよかった。
・低予算のB級映画にしては、そこそこ出来がいい。
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