「白鯨との闘い」紹介&感想(ネタバレあり) ~ロン・ハワード監督が描く、「白鯨」のその後~

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アクション映画

本日紹介する作品は「白鯨との闘い」です。

19世紀に、実際にあった捕鯨船の悲劇を題材にした作品。

原作はハーマン・メルヴィルの「白鯨」、監督はロン・ハワードです。

 

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作品情報・スタッフ・キャスト

「白鯨との闘い」
製作年:2015年
製作国:アメリカ
上映時間:122分   ・日本公開日:2016年1月16日
原題:「IN THE HEART OF SEA」

監督:ロン・ハワード
製作総指揮:ブルース・ハーマン
脚本:チャールズ・リーヴィット  ・原作:ハーマン・メルヴィル「白鯨」

出演:クリス・ヘムズワース/キリアン・マーフィ/シャーロット・ライリー/ミシェル・フェアリー/ベン・ウィショー/ブレンダン・グリーソン/ポール・アンダーソン/トム・ホランド/ベンジャミン・ウォーカー/ジョルディ・モリャ…etc.

予告編

「白鯨との闘い」:あらすじ

名著『白鯨』の、隠され続けてきた衝撃の実話。
伝説の白鯨との死闘。
生き延びる為に、男たちが下した”究極の決断”とはー

1820年の冬、ニューイングランドの捕鯨船エセックス号を襲ったのは、誰もが目を疑う、信じがたいものだった。
その正体とは、人間のような復讐心を全身にみなぎらせた、とてつもなく巨大な一頭の鯨だったのだ。

実際に起こったこの海難事故に触発されて、ハーマン・メルヴィルは傑作『白鯨』を書き上げたが、
メルヴィルの小説は物語の半分を述べているに過ぎない。

難破した乗組員が嵐や飢餓や絶望と闘い、生き延びるため、およそ考えられない行動まで取らざるを得なくなる、その壮絶な後日譚を見届けよ。

~Amazon・作品紹介より抜粋~

ハーマン・メルヴィル著:「白鯨を元にした映画。「白鯨」自体はなんども映画化されているが、本作では、実際に起きた海難事件の生き残りに、メルヴィルが取材に訪れる場面から始まる。”白鯨”と遭遇から、生き残った老人の話を聞きながら、老人の回想形式で物語が進んでいきます。

”白鯨”との戦いよりも、敗れた後の漂流生活をメインに描く。さらに、ベテランの一等航海士のチェイス(クリス・ヘムズワースと、家柄だけで船長に選ばれたポラード(ベンジャミン・ウォーカーとの対立を軸にエセックス号の乗組員のドラマを描いている

 

「白鯨との闘い」:感想/ネタバレ有

タイトルからは、巨大鯨と海上でバトルを繰り広げるアクション映画を想像するが、描かれるのは、捕鯨船沈没後壮絶な漂流サバイバルが中心である。

元々あった、人間同士のいさかいが、漂流サバイバルで噴き出す。→なんだかんだあって、決着……ただし、やっぱり分かり合える奴と、分かり合えない奴がいて……みたいなお話。

襲い来る大自然+無慈悲な資本主義といったお話が中心。

白鯨は自然の象徴というよりは、舞台装置みたいな感じだったな。

みどころ。当時の帆船・衣装を再現。

当時の帆船・衣装を再現。
この手の歴史ものの楽しみ方としては、当時の衣装や建物の再現がある。
当時の帆船、鯨の解体の様子を再現しているのは面白い。

鯨の脳油の臭いは凄いらしい。ハーブの枝を口につっこまれ「ほら、入って来い」シーンには笑った。やっぱり下っ端は辛いです。
鯨一頭から、あんな風にして樽40~50杯分油が採取できらしい。
帆船の動力は風のみだが、食糧と水さえ補給できれば、何年でも航海できそうだ。

帆船スゲーや! 三日間ぐらい乗ってみたい。

大迫力の海洋シーンと、クローズアップを多用したカメラワークで主人公が置かれた状況を緊張感たっぷりに撮っている。

船のシーンは良かったと思う。

モンスターとしての白鯨・”モーディー・ディック”

本作は、白鯨との闘いよりも、漂流生活がメインである。
それでも、中盤の見せ場の一つ、予告編でも堂々と取り上げているので、白鯨について記す。

白鯨の対比作品が「バトルフィールド・アビス」なんで(※アサイラム作品)なんとも、説得力がないが、CGの出来はよかったと思う。

海や宇宙が舞台だと、対比物がないせいで、大きさがよく分からないという事が多々ある。
そういった「巨大生物」を売りにしてるくせに、巨大なスケールを表現しているのは致命的である。

本作は、そういったミスが比較的少なかったかと思われる
バトルシーンは、基本的にエセックス号やモリ撃ちボートで繰り広げられるため、サイズ比較は問題なし。
巨大な質量の怪物が眼前に迫ってくるのは、迫力がある。

ただし、やっぱり哺乳類を怪物として描くのは難しい。
その一番の要因は「眼」だと思う。怪物としての「眼力」が出せないのである。
ともすれば、「あ、貴方、意外と優しい眼をしているのね……」になりかねない。

(ちなみに、本物の動物を使うと、だいたいこの理由で可愛く見えてしまう)

怪物として、さらには「大自然を司る海の神」としての白鯨である。
神様の「眼」をCGで作る、そんな表現が出来るのであろうか?

技術の問題と言うよりは、感性の問題だが、本作ではそれは描けてないかなぁー、というのが僕の感想です。

ただし、CGの出来に関しては、モンパニ映画だったら十分すぎる出来です(笑)

サバイバル・漂流生活について。

サバイバル描写がなんとなく嘘くさく感じた。
最近の映像は綺麗すぎる。こちらの心に訴えてくる“何か”を削り取ってしまっている。
よくも悪くも泥臭さがない。
役者の演技や、映像が小奇麗にまとまりすぎている。
言葉では言い表せない、泥臭さをそぎ落とした結果、なんだか悲惨さが伝わってこないのだ。

髭ぼうぼうで、ガリガリに痩せて、役者の演技は迫真に迫っているが、なんだかなぁー、といった感じ。
デジタルになって悪い意味で「作り物」感が強くなってしまった気がする。

ついでに、メインキャラクター以外はあんまり描かれずに終わる。名前ありのキャラクターが、いっぱい出てくるが、誰が誰だか分からないうちに、画面からフェードアウトしていくので、その辺はモヤモヤした。

主人公が最初から最後までマッチョな男として描かれており、これといった成長がないのもこの作品を薄味なものにしている。

「白鯨」が持っていた神話的な成分は薄くなり、モンスター映画でもなく、サバイバルものとしても、なんだか薄い映画だったかな~と、思える。

 

迫力のある海洋シーンと、白鯨のスケール感は上手く出ていたからそれなりに満足です。

怪物映画ではなく、普通の映画に入れておきます。

総評・感想まとめ

総評:☆☆☆☆☆☆ 6/10
【よかったところ】
・当時の帆船を再現。
・白鯨のスケール感。
・カメラワーク

【悪かったところ】
・人間ドラマが薄く感じるところがしばしば。
・サバイバル生活があんまり悲壮感がない。
・白鯨がたまにアニメっぽく感じる。

 

●雑多な感想
・鯨の油をとるのは大変そう。
・遭難って怖いね。
・「白鯨」とモンスター映画の相性(笑)

 

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